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体にいいと聞いて鯖缶で味噌汁を作ったら、ひと口で子どもが箸を置いた。炊飯器を開けた瞬間、部屋じゅうが魚のにおいになった。……この記事にたどり着いた方は、たぶん今まさに鍋か炊飯器の前で困っているんじゃないでしょうか。家族の分をまとめて作った日に限ってこれをやってしまう、という声もよく聞きます。
先に結論をひとつ。鯖缶の生臭さの多くは、缶汁と、空気に触れて動いた脂から出ています。つまり、においの元がはっきりしているぶん、あとからでも打つ手があるということ。今できるリカバリーと、次からの一手を、順番に見ていきましょう。捨てる前に、まず読んでみてください。
生臭さの正体——「脂」と「缶汁」の2つです
青魚のにおいは、鯖が悪いわけでも缶詰が悪いわけでもなくて、成分の性質からくるものなんですよね。ざっくり分けると2つあります。
- 脂の変化。鯖の脂は空気に触れると変わりやすい性質を持っています。缶を開けて時間が経つほど、においが立ちやすくなる。開けてすぐ使うか、すぐ火を通すかで、印象が変わります
- 缶汁に出た成分。缶の中で加熱される間に、においの元になる成分が汁のほうへ出ています。身よりも汁のほうがにおいが強い、と覚えておくと迷いません
- 加熱の仕方。煮立てないまま「なんとなく温かい」状態で長く置くと、においが料理全体にゆっくり移ります。汁ものは一度しっかり煮立てるほうがすっきりします
- 合わせる相手。味噌汁や炊き込みご飯は、においを受け止めるものが少ない料理です。だし、しょうが、油、香りの強い野菜のどれかが足りないと、鯖のにおいだけが前に出てしまいます
逆に言うと、汁を減らす・しっかり加熱する・香りを足すの3つで、たいていのケースは落ち着きます。ここから具体的にいきますね。
味噌汁が生臭い——今できるリカバリー5つ
すでに鍋にできてしまった味噌汁。まだ食べられます。上から順に、効きが強いものを並べました。ひとつずつ試して、味を見ながら止めてください。
- しょうがを入れて、ひと煮立ちさせる。いちばん効きます。すりおろしでもチューブでも構いません。1人分でひとしぼり、2〜3人分ならたっぷり。入れたら弱火のままにせず、一度きちんと煮立てるのが大事です
- 酒を少し加えて、しっかり煮立てる。大さじ1程度。煮立てることで、においと一緒に飛ばすイメージ。ふたは開けたままで
- 味噌を少し足す。味噌の香りはにおいを覆う力が強いです。ただし塩辛くなるので、少しずつ。だしを足して薄めながら味噌も足す、が安全
- ねぎと油揚げを入れる。ねぎの香りと、油揚げの油。この2つが入るだけで、汁の当たりがまるく変わります。玉ねぎでも代わりになります
- ごま油をほんの少し落とす。仕上げに数滴。香りのふたをする役です。入れすぎると重くなるので、数滴で止めてください
やってはいけないのは、生臭いまま弱火でだらだら温め続けること。においは飛ばず、むしろ全体になじんでしまいます。加えたら煮立てる、です。
炊き込みご飯が臭い——原因はたいてい「缶汁を全部入れた」
鯖缶の炊き込みご飯は、缶を汁ごとあけて炊飯器のスイッチを押すだけ、というレシピをよく見かけますよね。手軽なのですが、においの元が濃い缶汁を、逃げ場のない炊飯器の中で米に吸わせていることになります。閉じた釜の中で蒸されるので、味噌汁より強く出やすいんです。
- 缶汁は全部入れない。使うなら大さじ1〜2まで。残りは思い切って捨てるか、別の炒めものに回す。水分は水かだしで補います
- しょうがを一緒に炊く。せん切りかチューブを、米に混ぜてから炊く。あとから足すより、炊いている間に香りが回るほうがずっと効きます
- しょうゆと酒を先に入れる。酒は米1合につき大さじ1程度。炊く前の水加減に含めて計算してください
- 身は最後に上へのせる。米に混ぜ込まず、上にのせて炊いて、炊き上がってからほぐす。においが均一に回りにくくなります
- 炊き上がりに香りを混ぜる。刻みねぎ、大葉、白ごま、しょうがの甘酢漬け。湯気が立っているうちに混ぜると、香りが立って印象が変わります
- にんじんときのこを足す。甘みと香りのある具が入ると、鯖の存在感がやわらぎます
もう炊けてしまったものにも手はあります。炊き上がったご飯に、しょうがのせん切り・刻みねぎ・白ごま・ごま油を少し混ぜて、しばらくふたを開けて湯気を逃がす。それでも気になるなら、フライパンで炒めご飯にしてしまうと、においがかなり飛びます。卵を足せば、子どもも食べてくれることが多いです。
作る前の一手——次からはこれで防げます
ここまでは救急処置の話でした。次に作る時は、下ごしらえに30秒かけるだけで、ずいぶん変わります。
- ざるにあけて、熱湯をさっと回しかける。いわゆる湯通しです。表面の脂と汁が流れて、においがかなり落ちます。身が崩れやすいので、ざるの上から静かに。やけどしないよう、シンクの中で作業してください
- キッチンペーパーで汁気を取る。湯通しをしない日はこれだけでも。押さえつけず、身をのせて軽く吸わせる程度で十分です
- 身をほぐしてから使う。かたまりのまま入れると、中に汁を抱えたままになります。ほぐして、水分を落としてから鍋へ
- 開けたらすぐ使う。開けて器に出したまま置く時間が長いほど、においは立ちます。作る直前に開けるのが結局いちばん効きます
- 香りの強い相手をひとつ決めておく。しょうが、ねぎ、大葉、にんにく、カレー粉のどれか。鯖缶を使う日は必ず1つ入れる、と決めてしまうと失敗が減ります
この中でいちばん出番が多いのがしょうがです。生のものを毎回すりおろすのは正直しんどいので、チューブを冷蔵庫の扉に常備しておくのがおすすめです。汁ものにも炊き込みにも、あけてひとしぼりで済むのが本当に楽なんですよね。
水煮と味噌煮の使い分け——生臭さで選ぶなら
- 水煮:味がまっさらなので、どんな料理にも寄せられます。その代わり、においを覆うものが何もないので、しょうがや味噌などを自分で足す前提。味噌汁や炊き込みご飯に使うなら、下ごしらえは丁寧に
- 味噌煮:最初から味噌の香りでおおわれているぶん、生臭さを感じにくいです。「今日は失敗したくない」という日は味噌煮のほうが安全。味噌汁に使うなら、味噌の量を減らして調整を
- しょうゆ味・蒲焼き風:甘辛い味が付いているので、炊き込みご飯には相性がいいです。調味料はほとんど足さなくて済みます
缶を開けてそのまま食べる時も、この使い分けはそのまま効きます。かけるだけ・混ぜるだけの食べ方は鯖缶をそのまま食べる時の10通りにまとめました。
それでもだめな時は、味の方向ごと変えてしまう
下ごしらえもリカバリーも試したけれど、まだにおいが気になる。そんな日は、和食のまま何とかしようとするのをやめるのが早いです。においを消すのではなく、別の香りで塗り替えてしまう作戦。
- カレー粉。汁ものならカレー粉を入れてスープカレー風に。炊き込みご飯なら炒めてカレー味の焼き飯に。いちばん強く上書きできます
- トマト。トマト缶かミニトマトを入れて煮る。酸味がにおいを切ってくれます。オリーブ油とにんにくを足すと洋風のスープに
- キムチ。汁ごと入れて、豆腐と一緒に煮る。辛みと酸味と発酵の香りで、鯖の風味が完全に別のものになります
- 味噌とバター。汁ものに少量のバターを落とすと、香りが一気に西洋寄りに。子ども向けにはこれがいちばん通りがよかったです
ゆきこ( ゚Д゚)『鯖缶の味噌汁を汁ごとどぼんと入れて、ひと口飲んだ子どもに真顔で「これはちょっと」と言われた、という話はよくありますよね。あわててしょうがを入れて煮立てて、ねぎと油揚げを足すと、二杯目はおかわりしてくれることも多いです。缶汁は全部入れない、と決めておくのがいちばん確実だと思います』
しょうがのチューブは、鯖缶を常備するなら一緒に置いておきたい相棒です。あけてひとしぼりで済むので、汁ものにも炊き込みご飯にも、面倒がらずに使えるのが何よりありがたいところ。
作り置きと保存——においが変わったら食べない
- 開けた鯖缶は、缶のまま冷蔵庫に入れない。清潔な保存容器に移してふたをする
- 作った汁ものや炊き込みご飯は、粗熱を取って冷蔵で翌日までが目安。それ以上置くつもりなら、最初から量を減らして作るほうが安心です
- 食べる前に、においや味がいつもと違うと感じたら食べない。魚の料理は特に、迷ったらやめる判断でいいと思います
- 缶汁を大量に飲まない。塩分も脂も濃いので、飲みものとして扱うものではないんです
- 子どもに出す時は、かたい骨が残っていないかほぐして確かめてから
生の鯖が余った時の考え方は鯖の保存方法に、しめさばの扱いはしめさばの保存方法に書いています。缶詰も生の魚も「開けたら、そこから別の食べ物」と思っておくと、判断に迷いません。
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火を使わずに食べたい日は鯖缶をそのまま食べる時の10通りへ。かけるだけ・混ぜるだけの食べ方をまとめています。朝のお弁当に入れたい人は鯖缶をお弁当にそのまま入れる時の注意を。においを抑える詰め方と保冷の条件を書きました。生の魚の保存は鯖の保存方法としめさばの保存方法もあわせてどうぞ。
まとめ:汁を減らして、香りを足して、しっかり煮立てる
- 生臭さの正体は空気に触れた脂と、缶汁に出た成分の2つです
- 味噌汁はしょうがを入れてひと煮立ち。ねぎと油揚げも効きます
- 炊き込みご飯が臭い原因は缶汁を全部入れたこと。使うなら大さじ1〜2まで
- 次からはさっと湯通し、紙で汁気を取る。開けたらすぐ使う
- だめならカレー粉・トマト・キムチで味の方向ごと変えてしまう
保存版:この記事の早見表
手順を1枚にまとめました。



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