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お気に入りのニット帽をかぶって出かけたのに、風が吹くたびにずるっと目のあたりまで下りてくる。自転車をこいでいる途中で飛びそうになって、片手で押さえながら帰ってきた。ダンスの発表会で、動くたびに帽子が回転して前が見えなくなり、本番前に半泣きになる子の話もよく聞きます。
ニット帽のゆるさは、直せるものと、直らないものがはっきり分かれます。先に結論を言うと、今日すぐできる対処は「頭に触れる面をふやすこと」。折り返しを増やす、すべり止めを足す、髪の留め方を変える。この3方向で、たいていの帽子はその日から落ちなくなります。伸びてしまった帽子を縮められるかは素材しだいなので、そこも順番に見ていきましょう。
今すぐゆるさを直す5つ
- 折り返しを1段増やす。いちばん簡単で、いちばん効きます。縁を1回だけ折っている人は2回に。二重になった部分が頭をしっかりはさむので、それだけで止まることが多いんです。折り返した分だけ浅く見えるので、後ろを少し引き下げてバランスをとると自然です
- 内側の縁にすべり止めのテープを貼る。帽子用の細いテープが売っていて、内側にぐるりと一周貼るだけ。見た目は変わらないのに、頭との摩擦が段違いになります。汗をかく季節でなければ、これが一番きれいな解決です
- ヘアピンやクリップで髪ごと留める。帽子の内側から髪をすくって、耳の上あたりで留める。左右2か所留めれば、走っても踊っても動きません。お子さんが使う時は、先が丸くなっているピンを選んであげてくださいね。細くて先のとがったものは、転んだ時に危ないので避けたいところです
- 内側に細いゴムを縫い付ける。縁の内側に沿って、少し引っ張りながら細いゴムをざっくり縫っていく方法。ゴムの長さを頭のサイズより2〜3cm短くするのがコツで、縫い目は表からほとんど見えません。ミシンでなくても、手縫いのなみ縫いで十分もちます
- 内側に一周、生地を足す。使っていない靴下や薄手のニットを輪に切って、縁の内側に縫い付けるだけ。厚みが出て頭にぴったり沿います。見えない部分なので、色が合わなくても平気です
①と③はお金がかからないので、まず今日それを試してみてください。それでも落ちるなら②か④、というふうに進めると迷いません。
伸びた帽子は縮められる?——素材で答えが変わります
ここは期待と現実の差が大きいところなので、正直に書きます。縮められるのは羊毛(ウール)が主体の帽子だけです。
- 羊毛・カシミヤなど動物の毛 → 縮められます。毛の表面には細かいうろこがあって、お湯と摩擦が加わると絡まって縮む性質があるからです。これを縮絨(しゅくじゅう)と言います
- アクリル・ポリエステル・綿 → ほとんど縮みません。うろこがないので絡まりようがないんです。ここは無理をせず、折り返しやゴムで物理的に直すほうが早いです
- 表示に「手洗い不可」「水洗い不可」とある帽子は、縮める作業もできません。無理をするとつぶれた形のまま戻らなくなります
羊毛の帽子を縮める手順は、40〜50度くらいのお湯に5〜10分つけて、両手で少しずつ内側に寄せるようにもみ、様子を見ながら繰り返す、というもの。ぬるま湯からやけどしない温度で、少しずつが鉄則です。そしてここが大事なのですが、縮絨は元に戻せません。縮みすぎた帽子を伸ばし直すことはできないので、必ず裏側や折り返しの内側など、目立たない所で少し試してから全体にかかってください。1回で決めようとせず、2〜3回に分けるくらいがちょうどいいです。セーターが伸びた時の考え方も同じなので、伸びたセーターを戻す方法もあわせてどうぞ。
洗える?洗えない?——見分けは表示と素材から
「ニット帽 洗濯 できない」で調べる人が多いのは、たぶん表示を見ても分かりにくいからですよね。私も毎回、タグを日にかざして目を細めています。判断はこの順番でつけると迷いません。
- 洗い方の表示を見る。桶の絵に手が入っていれば手洗いができます。桶に大きなバツが付いていたら水洗いはできないので、それはお店に相談するか、汗を拭くだけにとどめます
- 形を作る芯やつばが入っているものは避ける。中に硬い芯や厚紙のような部品が入っている帽子は、水で形が崩れます
- 飾りが多いもの、革のワッペンが付いたものは部分洗いに。飾りの周りだけ洗剤をつけたタオルでたたくやり方が安全です
- アクリルや綿の日常づかいの帽子はだいたい洗えます。むしろ汗を吸ったまま次の冬まで置くと、においや変色の元になります
洗い方はごくシンプル。30度以下のぬるま湯におしゃれ着用の洗剤を溶かし、押して沈めて浮かせるを20回ほど。ぐるぐる回さない、こすらない、ねじって絞らない。これだけです。すすいだらタオルではさんで水気を取り、平らな所に広げて陰干し。丸めたタオルを中に入れて、頭の形を作りながら乾かすときれいに仕上がります。ハンガーに掛けると、水の重みで縁が伸びてしまうので気をつけて。
どうしても洗濯機を使いたい時は、手洗いの表示があることを確かめたうえで、洗濯用のネットに入れて、いちばん弱い水流で短時間。脱水は10秒くらいで止めます。ネットが手元にない時の代わりは洗濯ネットの代わりになるものにまとめています。色があせてきた帽子は、洗うより先に帽子を自分で染め直す話も読んでみてください。
踊っても、自転車でも落ちない被り方
被り方だけで、驚くほど変わります。ポイントは頭のいちばん太い所より下まで、帽子の縁を下ろすこと。ここを越えていないと、どんな帽子でも上に押し戻されて浮いてきます。
- 眉のすぐ上まで深くかぶる。おでこを出したい気持ちは分かるのですが、浅くかぶるほど落ちます。深くかぶってから、前だけ少し上げて調整するときれいです
- 耳を半分隠す。耳の上のふくらみが引っかかりになって、横ずれが止まります
- 後ろは首の付け根近くまで下ろす。前だけ深くて後ろが浅いと、動いた時に後ろから抜けていきます
- 髪は低い位置でまとめる。頭のてっぺんでお団子にすると、その山で帽子が持ち上げられて滑ります。低い位置で結ぶか、下ろしたまま帽子の中に入れる
- 留めるのは耳の上の左右2か所。帽子の内側から髪ごとピンで。前後に4か所も留める必要はありません
- 激しく動く日は、すべり止めテープと2か所留めの合わせ技。これで発表会も自転車も乗り切れます
毛玉・におい・静電気の困りごと
- 毛玉は、生地を指で軽く浮かせてから、小さなはさみで根元を切る。引っ張って抜くと穴が広がります。刃物を使うので、お子さんの帽子でも作業は大人が
- においは、まず風の通る所で半日陰干し。それでも残るなら洗うタイミングです。汗を吸うのは主に縁の内側なので、そこだけ洗って乾かすだけでもかなり違います
- 静電気で髪が広がるのは、帽子の素材と髪の乾燥が組み合わさったもの。かぶる前に髪に少し油分を足す、部屋の湿度を上げる、静電気を抑えるものを裏側に軽く。代わりになるものは静電気を防ぐものの代用に書いています
- 形が崩れた帽子は、湿らせてから丸めたタオルをつめて平干し。乾く時の形が、そのまま次の形になります
ゆきこ( ゚Д゚)『発表会の前日の夜に、帽子の内側へすべり止めテープを一周貼って、当日は一度も直さずに踊り切った、という話を読んで、親のほうが泣きそうになる気持ちがよく分かりました。ピンが刺さると嫌がる子には、先が丸いものに替えると文句が止まることが多いです。道具ひとつで平和が来る、はよくある話ですね』
いちばん手を出しやすいのは、やっぱり内側に貼るすべり止めのテープです。細くて薄いものを選ぶと、貼ったことが外から分かりません。家族のぶんをまとめて直せるので、1本あると冬じゅう活躍しますよ。
あわせて読みたい
伸びてしまったニットの考え方は伸びたセーターを戻す方法が近いです。色があせた帽子は帽子を自分で染め直す話を、洗濯ネットが足りない時は洗濯ネットの代わりになるものをどうぞ。冬の髪の広がりが気になる人は静電気を防ぐものの代用も参考になると思います。
買ったあとの困りごとについても、別の記事で一つずつ整理しています。【図解あり】ニット帽の保管方法——伸びない・虫に食われないしまい方と、シーズン中の置き場所。必要なところだけどうぞ。
まとめ:ゆるさは折り返しとすべり止め、縮めるのは羊毛だけ
- 今すぐ直すなら折り返しを1段増やす・すべり止めテープ・ピンで2か所留め
- 縮められるのは羊毛やカシミヤだけ。アクリルや綿はほぼ縮みません
- 縮絨は元に戻らないので、必ず目立たない所で少しずつ試すこと
- 洗うならぬるま湯で押し洗い、ねじらず平干し。ハンガーは伸びの原因に
- 落ちない被り方は眉の上まで深く・耳を半分隠す・髪は低い位置で
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手順を1枚にまとめました。



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