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去年の夏に毎日かぶった綿の帽子、よく見ると額のところに茶色い汗じみ。洗っても落ちないし、日に当たったツバの上だけ色がぼんやり抜けて、なんだか古びて見える。形は気に入っているから捨てたくない——そんな帽子、うちにも2つあります。
先に結論。綿や麻の布帽子なら、布用染料で自分で染め直せます。今より濃い色(黒や紺が一番失敗しにくい)に染めれば、汗じみも色あせもまとめて目立たなくなります。ただし染まらない素材があること、そして帽子は「煮る」より「常温で染める」方が型崩れしにくいこと、この2つを知っていれば、失敗はぐっと減るんです。
この記事では、まず自分の帽子が染められるかの見分け方、染める前の下処理、常温染めの手順、色止め、ありがちな失敗と防ぎ方、そして「これは店に頼んだ方がいい」の目安まで、順番に見ていきましょう。
先に確認:その帽子、染められる? 洗濯表示と素材を見る
染料は繊維の種類によって、染まる・染まらないがはっきり分かれます。帽子の内側の洗濯表示タグで素材の割合を確認してください。
- 綿100%・麻・レーヨン→ よく染まる。家庭用の布用染料はこの素材向けに作られています。キャップ、バケットハット、キャンバス地の帽子はたいていここ
- 綿とポリエステルの混紡(綿65%など)→ 綿の部分だけ染まるので、表示の色より淡く、少し霜降りのように仕上がります。それを味と思えるなら可
- ポリエステル100%・ナイロン→ 家庭用の染料ではほとんど染まりません。ポリエステル用の染料もありますが、高温で長時間煮る必要があり、帽子の形を保つのは難しいです。自分では染めない方向で
- ウール(フェルト帽・ニット帽)→ 動物繊維用の染料で、低い温度で染めます。綿用の染料では色が入りません。縮みやすいので初めてなら店へ
- 麦わら・ペーパー・ラフィア→ 染めない。水に浸けると編みが緩んで型崩れし、乾いた後に割れやすくなります
素材のほかに、もう2つ見てほしいところがあります。1つはツバの芯。キャップのツバはプラスチック芯なら水に浸けても大丈夫ですが、厚紙の芯だと水でふやけて波打ちます。ツバを指で曲げてパキッと戻るならプラ芯、ぐにゃっと曲がって跡が残るなら厚紙の可能性。もう1つは金具・革の飾り・刺しゅう。金具は変色、革は硬くなる、刺しゅうの糸はポリエステルが多いので元の色のまま残ります。外せる飾りは外してから。
染める前の下処理——汗じみを先に落としておく
「染めれば汗じみも隠れる」と思って、汚れたまま染液に入れるのがいちばんよくある失敗です。皮脂や汗の成分が残っている部分は染料が入りにくく、そこだけ色が浅くなってムラの原因になります。
- 酸素系漂白剤を溶かしたぬるま湯(40℃くらい)に1〜2時間浸ける。汗じみが完全に消えなくても、薄くなればじゅうぶん。塩素系は生地を傷めるので使いません
- いつもの洗剤で洗って、すすぐ。新品に近い帽子なら糊が付いていることがあるので、これで糊も落とします
- 乾かさずに、濡れたまま染めの工程へ。乾いた布を染液に入れると、水を吸う速さの差でムラになるためです
染料の選び方:今より濃い色、そして「黒が一番失敗しにくい」
染料は元の色に重なるだけで、元の色を消してはくれません。だから、色あせた紺の帽子をベージュにはできませんし、赤の帽子を青にすると紫寄りになります。
- 元の色より濃い色を選ぶ。紺→黒、ベージュ→茶や紺、グレー→黒や紺、が定番
- 黒か紺が一番失敗しにくい。ムラも汗じみも飲み込んでくれます。淡い色ほど、ムラと元の色の影響が出ます
- 柄・ロゴは残る。プリントは染まらず、刺しゅう糸も元の色のまま。全体が濃くなるとロゴが浮いて見えることがあるので、それも想像してから
- 染料の量は、説明書の「布の重さ」に対して。帽子1個なら、たいてい小袋1つで足ります
手順:煮染めと常温染めの違い、帽子は「常温染め」で
布用染料には、鍋で80〜90℃に温めて染める煮染め(高温染め)と、バケツのぬるま湯で染める常温染めがあります。煮染めの方が濃くしっかり染まりますが、帽子は芯が入っていて、立体で、縮んだら被れないので、私は常温染めをおすすめします。少し淡く仕上がる分は、染液の濃さや時間で補えます。
作業の前に3つだけ。ゴム手袋を必ず。窓を開けて換気。鍋やバケツは食品用とは別のものを使い、終わったら子どもの手の届かない所へ。粉の染料は舞いやすいので、袋を開ける時は顔を近づけず、濡れた新聞紙の上で。シンクや浴槽に染液がつくと色が残るので、床にビニールや新聞紙を敷いておくと後が楽です。
- バケツに40℃くらいのお湯を、帽子が完全に沈む量。染料を説明書の分量で溶かし、必要なら塩(綿・麻用の染料は塩で染まりがよくなるものが多い)を加えてよく混ぜる
- 下処理で濡らした帽子を、ツバから静かに沈める。空気が残ると染まらないので、内側の汗止めテープの裏まで手で押して液を含ませる
- 30分〜1時間、ゴム手袋の手でずっと動かし続ける。ここがムラを防ぐ肝。ときどきではなく、ほぼずっと。底に沈めたままにすると、接した面だけ濃くなります
- 取り出して、色水が薄くなるまで水ですすぐ。最初は驚くほど色が出ますが、それは余分な染料。透明に近づくまで
- 色止め(次の見出しで)
- 形を整えて陰干し。中に丸めたタオルやビニール袋を詰めて頭の丸みを作り、ツバは平らな所に置くか、洗濯ばさみでつまんで形を保つ。直射日光は色あせを早めるので日陰で
色止めと、洗濯や汗で色が移らないようにする
染めた直後の帽子は、余分な染料がまだ繊維に残っています。これを落ち着かせるのが色止めで、ここを省くと汗で額や襟に色が移ることがあります。
- 染料と一緒に売られている色止め剤(定着剤)を使うのが確実。すすいだ帽子を、指定の濃さに溶かした液に15〜30分浸けて、もう一度すすぐ
- 色止め剤がなければ、酢や塩を使う方法が染料の説明書に載っていることもあります。染料の種類で合う合わないがあるので、必ず自分の染料の説明書の方法で
- 乾いたら、白いタオルを濡らして、内側の汗止めテープをこすってみる。タオルに色が付くなら、もう一度すすぎと色止めを
- 最初の2〜3回の洗濯は単独で、手洗いか洗濯ネット。白い服とは一緒に洗わない
- 汗をたくさんかく日は、額に当たる部分に汗取りパッドを貼っておくと、色移りも汗じみの再発も防げます
失敗例:ムラ・縮み・ツバの波打ち——原因と防ぎ方
- まだらにムラになった→ 汗じみを落とさずに染めた、乾いた状態で入れた、動かさずに放置した、の3つのどれか。薄いムラなら、もう一度濃い染液で染め重ねると目立たなくなります
- 縮んだ・被れなくなった→ 熱いお湯で煮た、乾燥機に入れた。綿は熱で縮みます。常温染めなら縮みはほとんど出ません
- ツバが波打った→ 厚紙芯だった。残念ながら戻りません。ここは染める前の見分けが全てです
- 思った色にならない→ 元の色が残るため。淡い色を選んだ、または混紡で染まらない繊維が混ざっていた。濃い色に染め重ねるのが現実的
- 汗止めテープだけ色が違う→ テープがポリエステルだった。内側なので見えなければ気にしなくて大丈夫
- 手やシンクが染まった→ 手袋と新聞紙を省いた結果。皮膚に付いた時は石けんで洗い、数日で落ちます。目に入ったらすぐ流水で洗って、痛みが続くなら受診を
自分で染めない選択肢:店に頼む・買い替える目安
ここまで読んで「面倒だな」と思ったら、それも正しい判断です。染め直しをやっている店(クリーニング店の一部や、染め直し専門の店)なら、帽子1点で数千円前後からが目安。素材の判断から色止めまで任せられて、ウールや混紡の帽子も相談できます。
- 店に頼む方がいい:思い出のある帽子、ウールやフェルト、高かった帽子、白や淡い色に染めたい(それは「染め直し」ではなく「脱色」が要るので家庭では無理)
- 買い替える方がいい:ポリエステル100%、麦わら、厚紙芯のキャップ、そもそも生地が薄くなっている帽子。染めても寿命は延びません
- 自分で染めていい:綿や麻の、数千円までで買った日常使いの帽子。失敗しても笑える一品から始めると気持ちが楽です
ちなみに麦わら帽子の汗じみは、染めるのではなく洗って落とす方向で。麦わら帽子の洗い方にまとめています。
ゆきこ( ゚Д゚)『息子の綿のバケットハット、額の汗じみが3回洗っても落ちなくて、紺から黒に染めました。動かし続けろと言われても40分は長い。でも途中で手を止めた5分の跡が、うっすら底の面に残っていて、「ほぼずっと」の意味を体で覚えました』
染料は色数が多いので迷いますが、初めてなら黒か紺の小袋を1つ。色止め剤がセットになっているものを選ぶと、買い忘れがなくて楽です。
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染め直しのついでに、伸びたあごゴムも替えてしまうなら帽子のゴムの付け方を。染められない麦わら帽子の手入れは麦わら帽子の洗い方で。
まとめ:素材を見て、汗じみを落とし、常温で動かし続けて、色止め
- 染まるのは綿・麻。ポリエステル100%・麦わら・厚紙芯のツバは染めない
- 染める前に酸素系漂白剤で汗じみを薄くし、濡れたまま染液へ
- 色は今より濃い色。黒か紺が一番失敗しにくい。柄とロゴは残る
- 帽子は常温染め。30分〜1時間ずっと動かし続けて、形を整えて陰干し
- 色止めのあと、白タオルでこすって色移りを確認。手袋・換気・鍋は食品用と分ける
保存版:この記事の早見表
手順を1枚にまとめました。



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