ポータブル電源は災害にいらない?——モバイルバッテリーで足りる用途、要る家と要らない家の分かれ目、何が何時間動くかを自分で計算する式

防災

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防災の準備を調べていると、必ず出てくるのがポータブル電源。あると安心なのは分かるけれど、決して安い買い物ではないし、置き場所も取ります。「本当に要るのかな」「モバイルバッテリーじゃだめなのかな」と、カートに入れたまま何日も迷っている——そんな方は多いと思います。夫が単身赴任で、停電の夜は子ども2人と自分だけ、というわが家の状況を考えると、つい手が伸びそうになる気持ちはよく分かります。

先に結論をひとつ。「いらない」かどうかは、あなたの家が停電の時に何を動かしたいかで決まります。スマホだけならモバイルバッテリーで足りますし、逆にエアコンや電子レンジを期待しているなら、家庭で買える大きさのポータブル電源では応えられません。大事なのは、この記事で「何が何時間動くか」を自分で計算できるようになること。そこまで分かれば、答えは自然に出ます。順番に見ていきましょう。

まず、用語をここで1回だけ整理します

数字が並ぶと難しく見えますが、覚えるのは2つだけです。

  • 容量:その電源が「どれだけ電気をためられるか」。ワットアワー(Wh)という単位で書かれています。500Wh、1000Whといった数字がそれです
  • 消費電力:動かしたい機器が「1時間にどれだけ電気を使うか」。ワット(W)です。扇風機やノートパソコンの本体、または説明書、電源アダプタの表示に書いてあります

この2つが分かると、おおよその目安が出せます。

目安の時間 = 容量(Wh)÷ 機器の消費電力(W)

ただし正直にお伝えすると、この計算どおりには動きません。電気の形を変えて取り出すときに必ずロスが出るので、実際は2割ほど短く見ておくと現実に近くなります。気温が低い日はさらに短くなることもあります。だから商品ページの「スマホ○回分」という数字も、そのまま信じずに幅のある目安として読むのがいいと思うんです。

わが家の用途を3つに仕分けしてみる

ここがこの記事のいちばん大事なところです。停電の時に動かしたいものを、次の3つに分けてみてください。

  1. モバイルバッテリーで足りるもの……スマホの充電、小さな照明、携帯ラジオ、モバイルルーター。ここだけなら、正直ポータブル電源は要りません。手のひらサイズのものを家族の人数分そろえたほうが、置き場所も金額も現実的です
  2. ポータブル電源の領域……ノートパソコン、扇風機やサーキュレーター、小型の照明、電気毛布、小さな調理器を短時間。コンセントの形で電気が要るもの、と考えると分かりやすいです
  3. どちらでも足りないもの……エアコン、電子レンジ、ドライヤー、電気ケトル、そして冷蔵庫を何日も回し続けること。これは家庭で買える大きさの機械では現実的ではありません。ここを期待して買うと、いちばん後悔します

紙に書き出してみると、意外と1番だけで済む家と、2番がしっかりある家に、はっきり分かれるんですよね。

動かしたいものを3つに仕分ける→答えが出るモバイルバッテリーで足りるスマホの充電小さな照明携帯ラジオ短い停電なら十分→ 買わなくてよいポータブル電源の領域ノートパソコン扇風機・小型の照明電気毛布短時間の調理→ ここが分かれ目どちらでも足りないエアコン電子レンジドライヤー・ケトル冷蔵庫を何日も→ 期待しない目安の時間 = 容量(Wh)÷ 機器の消費電力(W)変換のロスがあるので、出た数字より2割ほど短く見ておくと現実に近い膨らみ・変形・異臭は使わない/車内や布団の上に置かない/発電機とは別物

「いらない」と言える家、「あったほうがいい」家

どちらが正しいという話ではなくて、暮らしの条件が違うだけなんです。

いらないと言える家

  • 停電の時に動かしたいものがスマホだけ。モバイルバッテリーを人数分そろえるほうが早い
  • 近くに避難所や親族の家があり、長く停電するなら移動できる
  • 集合住宅で置き場所がない。重さのある機械なので、置き場所は本当に大事です
  • ふだんは使わず、防災用にしまい込むだけになりそう(電池は使わなくても年々弱ります)

あったほうがいい家

  • 在宅の仕事があって、停電で止まると困る
  • 電気が要る医療機器を使っている方が家族にいる。ただしこの場合は必ず主治医と機器メーカーに、その電源で使ってよいかを確認してください。自己判断で代わりにするのはとても危険です
  • 台風や雪で毎年のように停電する地域
  • 車中泊やキャンプ、庭仕事などでふだんから使う場面がある。防災専用にせず、日常でも回せる人がいちばん元が取れます

買うと決めたら、見るところは3つだけ

  1. 容量(Wh)。さきほどの式に、自分の家の機器の消費電力を入れて逆算します。「何時間動かしたいか × 消費電力」が、必要な容量のおおよその下限。ロスを見て少し上を選ぶと安心です
  2. 同時に使える消費電力の上限(W)。ここを見落とす方が多いところ。容量が大きくても、この上限を超える機器はそもそも動きません。動かしたい機器のいちばん大きなワット数より、余裕のある機械を選んでください
  3. 電池の種類と寿命の目安。何回充電できるか(充放電の回数)が書かれています。長くしまっておく前提なら、ここは金額と同じくらい大事な項目です

金額は容量でも時期でも変わるので、ここでは断定しません。候補を2〜3台に絞ってから、同じ容量帯で比べるのが結局いちばん納得できます。買って後悔した人がどこでつまずいたかは、ポータブル電源を買って後悔した理由と選び方に詳しくまとめてあります。買う前にひととおり読んでおくと、迷いがかなり減るはずです。

買ったあとに気をつけること——ここが本題かもしれません

ポータブル電源はリチウム電池を積んだ機器です。ここだけは、買う前に知っておいてほしいことがあります。

  • 膨らんだ・変形した・妙に熱い・異臭がする。ひとつでも当てはまったら使わないでください。そして押さない・刺さない・水につけない。刺激を与えるのがいちばん危険です
  • 夏の車内や直射日光の下に置きっぱなしにしない。「車に積んでおけば安心」と思いがちですが、真夏の車内は電池にとって過酷な場所です
  • 布団や毛布、ソファの上で充電しない。熱が逃げず、こもります。硬くて平らな場所に置いてください
  • 燃料を燃やす発電機とは、まったく別のものです。発電機はガソリンなどを燃やすので、屋内やベランダ、車庫で使うと一酸化炭素中毒を起こします。「非常用の電気」でひとくくりにせず、分けて考えてください
  • 使わない期間も定期的に充電する。しまい込んだまま何年も放置すると、いざという時に動かないことがあります。防災用品の見直しと一緒に、季節ごとに残量を見る習慣を
  • 処分する時は、燃えるごみや燃えないごみに出さないでください。自治体の案内か、メーカー・販売店の回収に従います。膨らんだ電池の扱いは膨らんだモバイルバッテリーの捨て方にも書いています

車から給電するV2Hという選択肢の注意点は、電気自動車は災害時にデメリット?で整理しています。

結局、わが家はどうするか

用途の仕分けをして、まだ迷うなら、私は「先にモバイルバッテリーを人数分そろえて、それで足りない場面が実際にあったら考える」順番をおすすめします。停電を経験してみると、意外と「スマホさえ生きていれば何とかなる」家と、「照明とパソコンがないと詰む」家に、はっきり分かれるからです。

ゆきこ( ゚Д゚)『台風の夜に数時間の停電を経験して、困ったのは電気そのものより暗さだった、という声をよく読みます。子どもが心細がって、大人は懐中電灯を探してうろうろ。本当に欲しいのは大容量の電源より、部屋をぼんやり照らす灯りなんですよね。買い物の前に「自分が本当に困る場面」を想像してみるのって、けっこう大事だと思います』

それでも「うちは要る」と判断したなら、防災用として売られているものは容量と同時出力の表示が分かりやすく書かれているものが多いので、比べる時の入口としては見やすいと思います。逆に表示が見つけにくい商品は、候補から外していいと私は思っています。

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要る・要らないが決まった後に——ポータブル電源は「使い道」から順番に決める

要る家と要らない家が分かれた後、要ると決めた家は容量の数字より先に「使い道」から決めると失敗が減ります。

ポータブル電源は、容量の数字から選ぶと失敗しやすい道具です。使い道から順番に決めます。

  • 何を動かすか:スマホと照明だけか、冷蔵庫や電気毛布まで動かすか。動かす物の消費電力を足す
  • 何日もつか:容量を1日の消費で割り、2〜3割の余裕を見る。太陽光パネルで足すかも決める
  • 買った後の決まり:保証の年数、返品できる期間、使い終わった時の回収の有無

ポータブル電源のメーカーの一つ、ジャクリの公式ページには、次のように書かれています(2026年10月時点の公式ページより)。

  • 製品ごとに容量(Wh)と定格出力(W)が表示され、拡張バッテリーや太陽光パネルを組み合わせる型がある
  • 最短翌日配送、30日間の返品期間、最大5年の保証(製品と登録の条件による)の案内
  • 使い終わった電源は無料で回収する案内。電話とチャットの窓口がある

価格や条件は変わることがあるので、申し込む前に公式ページで確かめてください。容量は「動かしたい物×時間」から逆算すると選びやすくなります。

ポータブル電源は「使い道」から決める① 何を動かすかスマホ・照明だけか冷蔵庫・電気毛布か合計の消費電力② 何日もつか容量÷1日の消費余裕を2〜3割太陽光で足すか③ 買った後の決まり保証の年数返品の期間使い終わりの回収

✅ こんな人は、公式ページで容量ごとの違いと保証の決まりを見てみてください

  • 停電の時に動かしたい物(冷蔵庫・電気毛布・スマホ)が決まり、容量の目安が分かった
  • 買った後の保証の年数と、返品できる期間を先に読んでおきたい
  • 使い終わった時の回収まで含めて、長く持つ前提で選びたい

▶ Jackery(ジャクリ)のポータブル電源

※価格・容量の表示・保証の条件は製品ごとに違い、変わることがあります。代引きなど支払い方法で条件が変わる案内もあるので、申し込む前に公式ページの最新の表示を確かめてください(2026年10月時点)

あわせて読みたい

「うちの場合、何日持つの?」という続きはポータブル電源は何日持つ?わが家で計算する方法にまとめました。表を埋めるだけで、自分の家の答えが出ます。買う前の下調べにはポータブル電源を買って後悔した理由と選び方を。スマホだけで足りそうな方はモバイルバッテリーを買って後悔した理由のほうが役に立つはずです。

買ったあとの困りごとについても、別の記事で一つずつ整理しています。キャパシタ式のデメリットといらない人。必要なところだけどうぞ。

買ったあとの困りごとについても、別の記事で一つずつ整理しています。発電機のアースの取り方。必要なところだけどうぞ。

まとめ:要るかどうかは「何を動かしたいか」だけで決まる

  1. スマホだけならモバイルバッテリーで足ります。無理に買わなくて大丈夫
  2. 目安の時間は容量(Wh)÷消費電力(W)。実際は2割ほど短く見る
  3. エアコン・電子レンジ・冷蔵庫を何日もは期待しない。ここで後悔します
  4. 見るのは容量・同時に使える上限・電池の寿命の3点だけ
  5. 膨らみ・変形・異臭は即使用中止。発電機を屋内で使わない

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

ポータブル電源が災害に要るかどうかの早見表:動かしたいものを3つに仕分ける。モバイルバッテリーで足りるのはスマホの充電、小さな照明、携帯ラジオ、短い停電。ポータブル電源の領域はノートパソコン、扇風機、小型の照明、電気毛布、短時間の調理。どちらでも足りないのはエアコン、電子レンジ、ドライヤー、電気ケトル、冷蔵庫を何日も回すこと。目安の時間は容量ワットアワーを機器の消費電力ワットで割り、変換の損失があるので2割ほど短く見る。買うなら容量、同時に使える消費電力の上限、電池の種類と寿命の3点を見る。安全は膨らみ・変形・異臭があれば使わない、押さない刺さない水につけない、夏の車内や布団の上に置かない、燃料を燃やす発電機とは別物で屋内では使わない、医療機器の電源は主治医とメーカーに確認、処分は自治体か回収へ

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