ポータブル電源は何日持つ?——「わが家の場合」を出す計算式と書き出し表、スマホ何回分の考え方、冷蔵庫がむずかしい理由、足りない時の3つの手

防災

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「ポータブル電源って、停電の時に何日持つんですか」。防災の話をしていると、必ず出てくる質問です。私も最初は「◯日持ちます」という数字がどこかに書いてあるものだと思っていました。でも調べていくと、そういう答えは出せないんですよね。

先に結論をひとつ。何日持つかは、その家が何を、どれだけ使うかで決まります。同じ機械でも、スマホの充電だけなら何日ももちますし、電気毛布を一晩つけっぱなしにしたら一晩ももちません。だから数字を差し上げるより、「わが家の場合」を自分で出せる形をお渡しするのがいちばん親切だと思うんです。使うのは、かけ算とわり算だけ。順番に見ていきましょう。

覚える式はひとつだけ

使える時間の目安 = 容量(Wh)÷ その機器の消費電力(W)

容量は、そのポータブル電源が「どれだけ電気をためられるか」。商品ページや本体に、ワットアワー(Wh)という単位で書かれています。消費電力は、動かしたい機器が「1時間にどれだけ電気を使うか」で、単位はワット(W)です。

ただし、正直にお伝えしておきたいことがあります。この式で出た数字どおりには動きません。 ためた電気を家電が使える形に変えるときに、どうしてもロスが出るからです。出た数字から2割ほど引いて見ておくと、現実に近くなります。さらに気温が低い日は電池の働きが落ちるので、冬の停電はもっと短く見ておいたほうが安心です。

ですので、この記事でも具体的な機種の「◯日」は書きません。あなたの家の機械と、あなたの家の使い方で計算するのがいちばん正確です。

わが家の必需品を書き出してみる

紙でも、スマホのメモでもかまいません。次の表を作って埋めてみてください。これが、この記事でいちばんやってほしいことです。

使いたい機器 消費電力(W) 1日に使う時間 1日に使う量(Wh)
スマホの充電(家族の人数分) 充電器の表示を見る    
照明(小型のもの) 本体の表示を見る    
扇風機・サーキュレーター 本体の裏の表示を見る    
ノートパソコン 電源アダプタの表示を見る    
電気毛布 本体の表示を見る    
1日の合計      

いちばん右の欄は消費電力 × 使う時間で出ます。全部足したものが「わが家の1日ぶん」。あとは容量 ÷ 1日ぶんで、だいたい何日かが見えてきます。ここでも2割ほど引いておいてくださいね。

この表を一度作ると、驚くほど話が具体的になります。「思っていたより持つ」と分かる家もあれば、「電気毛布ひとつで一晩ぶんが消える」と気づく家もあります。

消費電力はどこに書いてある?

  • 本体の裏か底のシール。家電はたいていここに「消費電力 ◯◯W」と書かれています
  • 説明書の仕様のページ。手元になくても、メーカーのサイトで型番から探せることが多いです
  • 電源アダプタの表示。ノートパソコンやモバイル機器は、四角いアダプタの側面に書かれています。「出力 20V 3.25A」のように書かれていたら、かけ算するとおおよそのワット数になります
  • 暖める・冷やす・回す機器は消費電力が大きく、光らせる・充電するだけの機器は小さい。この感覚を持っておくと、表を作る前でも見当がつきます

スマホは何回充電できる?——考え方だけ

商品ページによく「スマホ○回分」と書かれていますが、スマホの電池の大きさは機種でかなり違います。だから、こう考えてください。

スマホの電池の大きさは、たいていミリアンペアアワーという単位で書かれています。ざっくりワットアワーに直すには、その数字を1000で割って、3.7をかけるとおおよその値になります。あとは容量 ÷ その値。ここでも変換のロスと、充電しながら使うぶんがあるので、出た回数より少なめに考えておくと外しません。

ただ、実際のところスマホの充電だけが目的なら、ポータブル電源はいささか大げさです。手のひらサイズのモバイルバッテリーを人数分そろえたほうが、置き場所も持ち出しやすさも現実的だと思います。そのあたりの線引きはポータブル電源は災害にいらない?の記事で詳しく書きました。

「何日持つ」は自分で出せる。順に3ステップ① 容量を確かめる本体か商品ページのワットアワー(Wh)これが「ためた量」例:500Wh、1000Whと書かれている数字② 消費電力を調べる本体の裏のシール説明書の仕様の欄電源アダプタの表示暖める・冷やす・回す機器ほど大きい③ 割り算する消費電力×使う時間=1日に使う量容量÷1日に使う量=日数の目安2割引いて見る/冬は短い冷蔵庫は「動くか」と「何日持つか」が別問題。断続的に動くので計算しにくい回し続けるより、保冷剤とクーラーボックスに移すほうが確実なことが多い足りない時は「容量を上げる/ソーラーパネルを足す/使う機器を減らす」

冷蔵庫は「動かせるか」と「何日持つか」が別の問題です

停電の相談でいちばん多いのが冷蔵庫です。ここは正直にお伝えします。

  • 動き出す瞬間に、ふだんよりずっと大きな電力が要ります。 表示された消費電力だけを見て「動かせる」と思っても、動き始めの一瞬に上限を超えてしまい、そもそも起動しないことがあります
  • 冷蔵庫は動きっぱなしではありません。 庫内が冷えたら止まり、温まったらまた動く、を繰り返します。だから「消費電力 × 24時間」で計算すると実際よりだいぶ多くなり、かといって正確に見積もるのもむずかしい
  • 扉を開ける回数、気温、庫内の量でも変わります。夏の停電はいちばん条件が悪いところです

そのうえで現実的な話をすると、停電の時に冷蔵庫を回し続けようとするより、保冷剤とクーラーボックスに移すほうが確実なことが多いです。冷凍室のものを保冷剤代わりにして、扉を開けない。これだけでかなり時間が稼げます。ポータブル電源の電気は、照明や通信、暑さ寒さをしのぐほうに回したほうが、家族は楽に過ごせると思います。

足りないと分かった時、打てる手は3つ

  1. 容量を上げる。いちばん素直な手ですが、大きくなるほど重くなり、置き場所も金額も上がります。持ち上げて運べる重さかどうかは、買う前に必ず確認してください
  2. ソーラーパネルを足す。日中に少しずつ足していける形にすると、停電が長引いた時の心細さがかなり違います。ただし天気しだいで、曇りや雨の日はほとんど期待できません。「これがあれば無限」ではなく「目減りを遅くするもの」と考えると、がっかりしません
  3. 使う機器を減らす。実は、これがいちばん効きます。暖める・冷やす機器をひとつ我慢するだけで、日数の見え方が変わります。表を作ると、どれを削れば効くかが一目で分かるはずです

ゆきこ( ゚Д゚)『この表を作ってみたら、いちばん電気を食っていたのがドライヤーだった、という話はよく聞きます。停電の日にドライヤーは使わないと思うのですが、ふだんの電気代を見直すきっかけにもなるのは思わぬ副産物ですよね。数字にすると、なんとなくの不安がちゃんと「対策できること」に変わるのが気持ちいいです』

足りないぶんを昼のうちに少しずつ足していきたいなら、折りたためるソーラーパネルは収納も現実的です。選ぶ時は、手持ちのポータブル電源につなげる形かどうかを先に確かめておくと安心ですよ。

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使う前に、ここだけは

  • 膨らんだ・変形した・熱い・異臭がする時は使わないでください。そして押さない・刺さない・水につけない
  • 夏の車内や直射日光の下、布団や毛布の上に置かない。熱がこもる場所が苦手な機械です
  • 電気が要る医療機器の電源にする場合は、必ず主治医と機器メーカーに確認を。 計算上足りていても、自己判断で代わりにしていいものではありません
  • 燃料を燃やす発電機とは別のものです。 発電機は屋内やベランダ、車庫で使うと一酸化炭素中毒の危険があります。混同しないでください

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そもそも買うべきかで迷っている方はポータブル電源は災害にいらない?用途の仕分け方から読むと順番がいいと思います。機種選びで失敗したくない方はポータブル電源を買って後悔した理由と選び方へ。スマホだけで足りそうならモバイルバッテリーを買って後悔した理由のほうが近い話です。

まとめ:数字をもらうより、自分で出せるほうが強い

  1. 目安は容量(Wh)÷ 消費電力(W)。ここから2割引いて見る
  2. 機器・消費電力・使う時間の表を作れば、わが家の答えが出ます
  3. 消費電力は本体の裏・説明書・電源アダプタに書いてあります
  4. 冷蔵庫は計算しにくい。保冷剤とクーラーボックスのほうが確実
  5. 足りない時は容量を上げる・ソーラーを足す・使う機器を減らす

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

ポータブル電源が何日持つかを自分で計算する早見表:手順1は容量を確かめる、本体か商品ページのワットアワーの数字を見る。手順2は使いたい機器の消費電力を調べる、本体裏のシール、説明書の仕様、電源アダプタの表示を見る。手順3は消費電力かける使う時間で1日ぶんを出し、容量を1日ぶんで割ると日数の目安になる。変換の損失があるので出た数字から2割ほど引いて見て、冬はさらに短く見る。冷蔵庫は動き出す瞬間に大きな電力が要り断続的に動くので計算しにくく、回し続けるより保冷剤とクーラーボックスに移すほうが確実。足りない時は容量を上げる、ソーラーパネルを足す、使う機器を減らすの3つ。膨らみ・変形・異臭があれば使わず押さない刺さない水につけない、医療機器の電源は主治医とメーカーに確認、燃料を燃やす発電機とは別物

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