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ストーブに給油して、ポンプを引き抜いて、さて、これをどこに置こう。ポリタンクの上にそのまま乗せると先から垂れるし、床に置けばもっと困るし、袋に入れれば袋のほうがにおうし——結局、玄関のすみに新聞紙を敷いてその上に転がしている、というお宅は本当に多いと思います。
「灯油ポンプ ケース 代用」で調べると、ペットボトルを切ったものや牛乳パックを使う方法がいくつも出てきます。どれも間違ってはいないのですが、そのとおりにしてみても、しばらくすると玄関がやっぱり灯油くさい。わたしもここでずいぶん遠回りをしました。
じつは、においの原因は入れ物のほうではありません。ポンプの中に残ったままの、ほんの数滴の灯油です。ここを先に片づけないかぎり、何に入れても同じことが起きます。そこでこの記事では、しまう前にすることを最初に置いて、そのうえで入れ物の候補と、置いてはいけない場所、ポンプ本体がない時の話までまとめました。
においの正体は、ポンプの中に残った数滴
灯油ポンプの中身を思い浮かべてみると、細い管が2本、蛇腹のふくらんだ部分を挟んでつながっている形をしています。給油が終わってストーブから抜いた時点で、この管の内側にはまだ灯油が張りついたまま残っています。手押し式でも電動式でも、ここは変わりません。
灯油は水と違って、常温でもゆっくり気化します。においがするのは、この気化した分が空気に混ざるからです。つまりポンプの中に灯油が残っているかぎり、においは出続けます。袋に入れれば袋の中にたまり、袋を開けたときに一気に出てくる。ケースに入れればケースがにおう。入れ物を替えても解決しないのは、そういう理屈でした。
もうひとつ、垂れる問題も同じところから来ています。ノズルを下に向けて置くと、管の内側に残った灯油が重力で先端に集まって、時間をかけてぽたりと落ちます。玄関のたたきや廊下に染みができるのは、しまい方の向きが原因であることがほとんどです。
ということは、やることは1つです。しまう前に、ポンプの中身をできるだけ空にする。ここさえ通れば、入れ物は驚くほど何でもよくなります。
しまう前の3ステップ——戻す・立てる・拭く
手順としては、次の3つです。全部あわせても2〜3分で終わります。
- ノズルの先をポリタンクの口に差したまま、蛇腹を数回押して灯油をタンクへ戻します。手押し式なら、吸い上げる側と吐き出す側を逆にする感覚で、押して空気を送り込むイメージです。電動式ならスイッチを入れたまま先端を持ち上げて、空気を吸い始める音に変わるまで待ちます
- ノズルを上に向けて、数分そのまま置きます。管の内側に張りついていた分が、重力で下へ落ちてタンクに戻ります。ここを飛ばすと、あとから必ず垂れます
- キッチンペーパーか新聞紙で、ノズルの外側と蛇腹のまわりを拭きます。とくに先端と、タンクの口に触れていた部分。使った紙はそのまま丸めず、後で書く方法で処分します
電動ポンプの場合、機種によっては本体を逆さにすると内部に灯油が回ってしまうものもあるので、取扱説明書に書かれた「使用後の処理」の項目があればそちらを優先してもらえたらと思います。
安全のための確認:この作業は、火の気のない場所で行ってください。灯油は火気厳禁です。ストーブに火が入ったまま、給湯器の近く、コンロのそば、たばこを吸いながらの作業はしないでください。ストーブへの給油そのものも、必ず火を消して本体が冷めてから行ってください。
安全のための確認:拭き取りに使った紙は、ためこまずに処分してください。灯油のしみた紙をポリ袋にまとめて置いておくのは避けてください。屋外で広げて乾かしてから、自治体の指示に従って捨てるのが確実です。
ケースの代わりになるもの(4つと、それぞれの弱点)
中身を空にできたら、ここからが入れ物の話です。よく挙がる4つを、弱点つきで並べます。
1. ペットボトルを切ったもの
2リットルの角型ペットボトルの上部を切り落として、筒状にしたもの。ポンプを立てて差しておく受け皿として使います。口が広めのものを選ぶと出し入れが楽です。切り口が鋭いので、ビニールテープを巻いておくと手を切りません。
弱点は、背が低いとポンプが倒れやすいこと。それと、この使い方はあくまで「ポンプを立てて入れる受け皿」であって、灯油を入れる容器ではありません。ここは後の章でもう一度書きます。
2. 牛乳パック
内側が防水加工されているので、少量の垂れなら受け止めてくれます。1リットルのパックにポンプを差すとちょうどよく、汚れたら丸ごと替えられるのが最大の利点です。手押し式のポンプなら、パックを2つ重ねて背を高くすると安定します。
弱点は、紙なので長く使うとふやけてくること。シーズン中に何度か交換する前提の使い方になります。
3. 新聞紙で巻く
いちばん素朴ですが、においと垂れの両方に効くという点では優秀です。新聞紙はインクと紙の繊維が油をよく吸うので、わずかに残った分を吸い取ってくれます。ノズル側を厚めに、蛇腹側をゆるめに巻いて、輪ゴムでとめるだけ。
弱点は見た目と、シーズン中にたびたび巻き直すことになる点です。玄関に置くなら、この上からもう一段何かに入れたくなると思います。
4. ポリ袋の二重
ポリ袋を2枚重ねてポンプを入れ、口は結ばずに、軽く折り返すだけにします。中に新聞紙を1枚入れておくと、垂れも吸ってくれます。持ち運びやすいので、物置まで運ぶ時にも便利です。
弱点は、袋の口をきっちり縛りたくなること。ここは我慢して開けておいてください。理由は次の章です。
5. 専用ケース
灯油ポンプ用として売られているケースは、ノズルを立てて収める形になっていて、受け皿部分がついているものが多いです。年に何度も出し入れするものなので、毎年ここで悩むくらいなら1つ用意してしまうのも手だと思います。
- 灯油ポンプ用の収納ケース(ノズルを立てて入れる形のもの。受け皿つきだと垂れを受けられます):Amazonで見る
密閉できる容器に入れてはいけない理由
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
安全のための確認:ポンプを入れる容器のふたを、密閉しないでください。ポンプに残った灯油は少量でも気化します。密閉された空間では、気温が上がった時に内側の圧力が高まり、ふたを開けた瞬間に気化した灯油が一気に出てきます。灯油の蒸気は空気より重く、低いところにたまる性質があるため、床近くに滞留したところへ火の気があると危険です。ジッパー付きの保存袋、パッキン付きの密閉容器、ねじ式のふたのついた瓶などは使わないでください。
使ってよいのは、空気が抜ける入れ物です。上を切ったペットボトル、牛乳パック、新聞紙、口を折り返しただけのポリ袋。どれも「においを閉じ込める」のではなく「垂れを受けて、空気は通す」ための道具だと思ってもらうと、選び方を間違えません。
そして、もっと大事な線引きがあります。
安全のための確認:灯油そのものを、ペットボトルや空き瓶、ポリ袋に入れて保管しないでください。灯油の保管は、消防法にもとづく基準を満たした専用の容器(金属缶またはポリエチレン製のポリタンク)で行うことが定められています。ペットボトルは灯油に対する耐性がなく、時間の経過とともに変形・劣化して漏れます。さらに、飲み物の容器に入っていることによる誤飲事故が実際に起きています。
この記事で「代用してよい」と書いているのは、あくまで「使い終わったポンプを一時的に入れておく受け皿・包み」です。「灯油を入れて保管する容器」ではありません。この2つは、まったく別の話です。
ゆきこ( ゚Д゚)『入れ物の話だと思ってたら、火の話だった…』
どこにしまう?——玄関・物置・ベランダの可否
置き場所も、灯油ポンプの悩みどころだと思います。おおまかな考え方は「灯油タンクと同じ場所に、火の気と直射日光を避けて」です。ポンプだけを室内の別の場所にしまうと、におい元が家の中に増えるだけになってしまいます。
| 置き場所 | 可否 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 屋外の物置 | 向いています | 直射日光が当たらず、風が通る位置に。ポリタンクと一緒に |
| 屋根のある玄関先・勝手口の外 | 向いています | 雨がかからない位置。夏場の日差しに注意 |
| 玄関の中(三和土) | やむを得ない場合のみ | 火の気がないことが前提。においがこもるので換気を |
| ベランダ | 条件つき | 直射日光と、隣戸との距離。マンションは規約の確認を |
| 室内の押し入れ・物入れ | 避けてください | 密閉に近く、においがこもります |
| ストーブ・給湯器のそば | 置かないでください | 火気厳禁。灯油の蒸気は低いところにたまります |
| 車のトランク | 避けてください | 夏場は庫内が高温になります |
安全のための確認:灯油とポンプを、ストーブ・給湯器・コンロなど火を使う機器の近くに置かないでください。また、直射日光の当たる場所や高温になる場所での保管も避けてください。ポリタンクの劣化と、内圧の上昇につながります。
マンションのベランダは、避難経路として使われることを前提に規約が定められている場合があります。物を置いてよい範囲は物件ごとに違うので、迷ったら管理規約を見てもらえたらと思います。
においを残さない片づけの順番
ここまでの内容を、実際の動線どおりに並べ直しておきます。
- ストーブの火を消して、本体が冷めてから給油します
- 給油が終わったら、ノズルを差したまま蛇腹を押して灯油をタンクへ戻します
- ノズルを上に向けて数分置き、内側に残った分を落とします
- キッチンペーパーで先端と蛇腹まわりを拭きます
- ノズルを上にして、受け皿か新聞紙に立てて収めます——横に寝かせると、残りが先端に集まって垂れます
- 灯油タンクと同じ場所へ、火の気を避けて置きます
- 拭いた紙は屋外で乾かしてから、自治体の指示に従って処分します
この順番のうち、いちばん省略されやすいのが2番と3番です。そしてにおいと垂れの原因は、ほぼここにあります。
それでもこぼしてしまった時の後始末は別の話になるので、灯油をこぼした時の対処にまとめてあります。染み込んだ床とカーペットでは手順がまったく違うので、慌てる前に見てもらえたらと思います。
ポンプそのものがない時(やっていい代用と、やってはいけない代用)
「灯油ポンプが見つからない」「引っ越し先に持ってきていない」という時の話です。検索でもよく聞かれているところなので、ここも書いておきます。
やっていいこと
- 買いに行く——ホームセンター、ドラッグストア、100円ショップ、ガソリンスタンドの併設売場などで手に入ります。冬場ならコンビニに置いている店舗もあります
- 給油サービスを使う——灯油の配達をしている販売店なら、ストーブへの給油まで対応してくれるところもあります
- タンクごと持って行って、販売店で入れてもらう
やってはいけないこと
安全のための確認:ホースやチューブを使ったサイフォンで灯油を移す時に、口で吸って呼び水をしないでください。灯油は誤って飲み込むと危険で、とくに気道に入った場合には化学性肺炎を起こすおそれがあります。粘り気が少なく肺に入りやすいため、少量でも重い症状につながることがあります。万一飲んでしまった場合は、吐かせずに、すぐに医療機関を受診してください。吐かせることで、かえって肺に入るおそれがあります。医師には「灯油を飲んだ」と具体的に伝えてください。
安全のための確認:タンクを持ち上げて傾け、口から直接そそぐ移し替えもしないでください。18リットルのポリタンクは満タンでおよそ14キログラムあり、片手で角度を調整しながら注ぐのは無理があります。こぼれた灯油が床や衣服に染みると、においも火災の危険も残ります。
灯油そのものが余ってしまった時の扱いは、また別の判断になります。灯油を排水口や地面に流して捨てることは、絶対にしないでください。土壌や水質を汚すうえ、法令上も問題になります。処分は購入した販売店か、お住まいの自治体に相談してください。持ち越しの可否も含めて、古い灯油の持ち越しと処分にまとめてあります。
シーズン終わりにやっておくこと
春になってストーブをしまう時、ポンプについても3つだけ手を入れておくと、次の冬が楽になります。
- ポンプの中身を空にして、よく拭く——シーズン中の片づけと同じ手順ですが、最後は念入りに。残った灯油は時間とともに変質します
- 電動ポンプは、必ず電池を抜く——ここがいちばん大事です。乾電池を入れたまま半年以上置くと、内部で液漏れを起こして端子が腐食し、次の冬に動かなくなります。抜いた電池は別に保管してください
- 直射日光の当たらない場所へ——ポンプの蛇腹やチューブは樹脂なので、紫外線と高温で硬くなり、ひび割れの原因になります
電動ポンプの液漏れは、本当によく起きます。「去年は動いていたのに」の正体はだいたいこれで、端子が白い粉をふいていたら、そのポンプは寿命と考えたほうが安全です。灯油を扱う道具で無理をする理由はありません。
- 電動の灯油ポンプ(自動停止機能つきだと入れすぎを防げます。単一・単二など使う電池のサイズは商品ごとに違います):楽天市場で見る
そもそもストーブをいつ出していつしまうか、という時期の目安は石油ストーブはいつから使う?にまとめています。暖房を灯油以外に替えることを考えている場合は、オイルヒーターはつけっぱなしで火事になるのかと電気ストーブをつけっぱなしにしても大丈夫かもあわせてどうぞ。燃やす暖房と燃やさない暖房では、危険の質そのものが違います。
困りごとから引く早見表
いま起きていることから逆に引けるように、まとめておきます。
| 困っていること | 原因として多いもの | すること |
|---|---|---|
| しまってあるポンプがにおう | 中に灯油が残っている | タンクへ戻し切る。ノズルを上にして数分置く |
| 置いた場所に染みができる | ノズルを下向き・横向きにしている | ノズルを上にして立てて収める |
| 袋に入れたのに玄関がにおう | 袋の口を縛って蒸気がこもっている | 口は折り返すだけに。中に新聞紙を1枚 |
| 入れ物が見当たらない | — | 牛乳パックか、上を切ったペットボトル。切り口はテープで |
| 灯油を小分けしておきたい | — | 専用のポリタンク以外に入れないでください |
| ポンプが手元にない | — | 買いに行くか販売店へ。口で吸うサイフォンはしない |
| 電動ポンプが動かない | 電池の液漏れ・端子の腐食 | 電池を確認。粉をふいていたら交換を検討 |
| 灯油が余った | — | 販売店か自治体へ相談。流して捨てない |
| 床にこぼした | — | 火の気を断って換気。素材ごとの手順は別記事へ |
まとめ:入れ物より先に、中身を空にする
- においと垂れの原因は、ポンプの中に残った灯油です。入れ物を替えても、ここが残っていれば同じことが起きます
- しまう前に、戻す・立てる・拭くの3ステップ。2〜3分で終わります
- ケースの代用は、ペットボトルを切ったもの・牛乳パック・新聞紙・ポリ袋の二重。どれも「垂れを受けて、空気は通す」ためのものです
- ふたを密閉できる容器は使わないでください。気化した灯油がこもり、気温の上昇で内圧が上がります
- 灯油そのものは、専用のポリタンクか金属缶以外に入れないでください。ペットボトルでの保管は法令上も安全上も不可です。容器が劣化して漏れ、誤飲事故にもつながります
- 置き場所は灯油タンクと同じところへ。火気と直射日光を避けてください。ストーブ・給湯器・コンロの近くには置かないでください
- サイフォンで移す時に、口で吸わないでください。誤飲した場合は吐かせずに医療機関へ
- シーズン終わりは、中身を空にして電動ポンプの電池を抜く。液漏れによる腐食が、翌シーズンの故障のいちばんの原因です
- 余った灯油を排水口や地面に流さないでください。処分は販売店か自治体へ相談を
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しまう前の3ステップと、入れ物に使えるもの・使ってはいけないものを1枚にまとめました。給油のたびに見返せるよう、スマホに保存しておくと便利です。



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