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電気毛布を使わずに冬の夜をしのぎたい。理由はきっと人それぞれで、電気代が気になる方もいれば、朝起きると喉がカラカラで乾燥がつらいという方、子どもと一緒に寝ているから低温やけどが心配という方、そもそも寝床のそばにコンセントがないという方もいると思います。旅先や、停電のあとの夜という場合もありますよね。
理由の詮索はしないでおきます。ここでお渡ししたいのは「では、代わりに何を使えば暖かく眠れるのか」のほうだけです。そして先に結論めいたことを書いてしまうと、いちばん効く一手は、たぶん買い物ではありません。今ふとんの上にかかっている毛布を、一枚どこに置くか——それを変えるだけで、今夜の寝床の暖かさはけっこう変わります。
なぜそんなことになるのか。人が寝ていて「寒い」と感じる時、熱がいちばん逃げているのは上ではなく体の下だからです。ここが分かると、代わりになるものの選び方が一本の筋で通ります。順番に見ていきますね。(ちなみに「電気毛布ってやっぱりやめたほうがいいの?」という部分が気になっている方は、電気毛布で後悔した理由と安全な使い方のほうにまとめてありますので、そちらをどうぞ。この記事は代わりの手に集中します。)
寒いのは上からではなく、下から——熱の出口は体の背中側にあります
電気毛布を手放すかどうかの話をする前に、寝床がどうやって暖かくなっているのかを一度だけ整理させてください。ここが分かると、この先の代わりの品を選ぶ時に迷わなくなります。
ふとんが暖かいのは、布そのものが熱を出しているからではありません。繊維のあいだに空気を抱え込んでいて、その空気が熱を通しにくいからです。羽毛にしても、綿にしても、ふわふわしたものが暖かいのは、抱えている空気の量が多いからなんですね。
ところが寝ている時、この「空気の層」は上下で条件がまるで違います。掛け布団のほうは体重がかからないので、ふくらんだまま空気をたっぷり抱えています。一方で体の下の布団は、自分の体重でぺしゃんこに潰れています。空気が抜けた布は、ただの薄い布です。断熱の力がぐっと落ちて、体温がそのままマットレスや床のほうへ吸われていきます。
しかも熱は、温度差の大きいほうへ速く移動します。冷えた床や畳は真冬だとかなり低い温度になっていて、そこへ向かって背中側から熱が引っ張られ続ける。「掛け布団を一枚増やしたのに、なんだか底のほうが寒い」という夜の正体は、たいていこれです。
つまり寝床の寒さは、上から入ってくるというより、下から抜けていく。だとしたら、ふさぐべきなのは下側です。電気毛布が効くのも、実は多くの人が敷いて使っていて、この「下から抜ける道」を熱で埋め戻しているからなんですね。それなら、電気を使わずに同じ場所を埋めればいい——というのが、この記事全体の考え方です。
毛布は「かける」より「敷く」——今夜ゼロ円でできる重ね順の見直し
というわけで、いちばん最初にやってみてほしいのがこれです。今、体の上にかけている毛布を、体の下に敷いてみる。買い足すものはありません。今夜からできます。
やり方はそのままで、敷布団やマットレスの上に毛布を広げて、その上に横になり、掛け布団だけを上にかけます。上に重ねる布が一枚減るので「寒くなるのでは」と不安になるのですが、実際に寝てみると、多くの場合こちらのほうが暖かく感じられます。潰れて薄くなっていた背中側に、もう一枚ぶんの断熱が入るからです。
ついでに言うと、毛布が下にあると寝入りばなの「布団が冷たい」感じもやわらぎます。毛布の起毛は熱を伝えにくいので、肌が触れた瞬間にひやりとしにくいんですね。同じ温度でも、シーツより毛布のほうが冷たく感じないのはこのためです。
ただし、掛け布団が羽毛の時だけは話が変わります
ここに一つだけ例外があります。掛け布団が羽毛布団の場合は、毛布を体の上に重ねるなら「羽毛布団の上」にしてみてください。
羽毛は、体温で温められてふくらむことで力を出す素材です。体に直接かけると熱がすぐ伝わってよくふくらむのですが、あいだに毛布をはさむと、その熱が羽毛まで届きにくくなる。せっかくの羽毛が本気を出せないまま朝を迎える、ということが起きます。だから羽毛布団は体側に、毛布はそのさらに上から重石のように——という順番が、素材の性質には合っています。
ただ、毛布が二枚あるなら話はもっと単純で、一枚を下に敷き、もう一枚を羽毛布団の上に重ねるのがいちばん収まりがいいです。掛け布団が化繊や綿のものなら、体に直接毛布をかけても不都合はありません。この場合も、余っている一枚があるなら下に回すほうが体感は上がります。
敷く毛布を選ぶなら、薄手より「厚み」のあるもの
下に敷く毛布は、ひらひらの薄手より、少し厚みがあってへたりにくいもののほうが向いています。潰れにくさがそのまま断熱の力になるからです。とはいえ「そのために買う」ほどのことではなくて、家にある毛布のうちいちばんふかふかしているものを下に回す、くらいの選び方で十分です。
それから、下に敷いた毛布は汗や皮脂を吸うので、上にかけていた時より汚れます。シーズン中に一度は洗いたいところですが、大きい毛布を家の洗濯機で回していいのか迷いますよね。その判断は毛布は洗濯機で洗える?のほうにまとめてあります。
敷きパッドとアルミシート——下からの冷えをせき止める道具
重ね順を変えてもまだ底冷えする、あるいは敷布団が薄くて床の冷たさが直に来る、という場合。ここからは少しだけ道具の話になります。どちらも「下をふさぐ」という点では、毛布を敷くのと同じ発想の延長です。
あったか素材の敷きパッド
敷きパッドは、シーツの上に重ねて使う薄い寝具です。冬用のものは起毛やマイクロファイバーで作られていて、肌が触れた瞬間の冷たさが出ないのが大きいところ。人は「寝床に入った最初の数秒」で寒いかどうかを決めてしまうところがあるので、この一枚があるかどうかで冬の寝つきがずいぶん変わります。
毛布を下に敷くのと役割は似ていますが、敷きパッドは四隅のゴムでマットレスに留められるので、朝までよれません。毛布を敷いた時にいちばんストレスなのが「寝返りでずれて足元がむき出しになる」ことなので、そこが解決されるのは地味に大きいです。洗濯機で洗える表示のものを選んでおくと、ひと冬の扱いが楽になります。
今ある毛布で足りているなら、無理に足す必要はありません。ただ「毛布を下に敷いてみたら暖かかった。じゃあこれ専用のものがあると、ずれなくていいな」と思われたら、その時に探すくらいがちょうどいいと思います。楽天市場で見る/Amazonで見るから、厚みとサイズ感だけ眺めてみてください。
アルミシート(保温シート)は、敷布団の「下」に
ホームセンターで売っている銀色のアルミ蒸着シート。これを敷布団やマットレスの下に敷くと、床からの底冷えがかなり違ってきます。原理は二つあって、一つはアルミの面が体から出た熱(赤外線)を跳ね返すこと。もう一つは、シートの内側にある発泡素材が、そもそも熱を通しにくいことです。実のところ後者のほうが効いています。
置き場所は体の下ではなく、敷布団の下です。体に近すぎると熱がこもって蒸れますし、寝心地もかさかさして落ち着きません。床とふとんのあいだに一枚はさむ、という使い方が素直です。フローリングに直接ふとんを敷いている方だと、いちばん効果を感じやすいと思います。
安全のための注意です。アルミシートを、電気毛布・ホットカーペット・こたつなどの暖房器具の上に載せないでください。熱を跳ね返して閉じ込めるシートなので、発熱するものの上に重ねると内部に熱がこもり、器具の過熱・故障・火災の原因になります。断熱材を敷くなら、必ず暖房器具より下(床側)です。これは「たぶん大丈夫」で試していい種類のことではありません。
もう一つ、アルミシートは湿気も通しにくいので、ふとんの裏に結露してカビが生えることがあります。週に一度はふとんをめくって、シートの表面とふとんの裏を乾かしてください。ずっと敷きっぱなしにしないことだけ、覚えておいていただけたらと思います。
湯たんぽとカイロは、「寝る前の予熱」に回すのが上手な使い方
電気毛布の代わりというと、まっさきに湯たんぽを思い浮かべる方も多いですよね。実際とても心強い道具です。ただ、使い方に一つコツがあって、ずっと抱いて寝るものというより、寝床をあらかじめ温めておく道具と考えたほうが、安全にも快適さにもつながります。
電気毛布のありがたさの半分は「布団に入った時点で、すでに暖かい」ことにあります。逆に言えば、その半分は湯たんぽで再現できるということです。寝る三十分ほど前に、湯たんぽを布団の足元に入れておく。それだけで、入った瞬間の冷たさが消えます。あとは自分の体温と、下に敷いた毛布が、朝までその熱を抱えていてくれます。
湯たんぽが手元にない、あるいは今夜だけしのぎたいという場合は、家にあるもので代わりを立てることもできます。ただしペットボトルなど「お湯を入れる容器」は、耐熱かどうかで安全性がまったく変わります。お米カイロの作り方や、使ってはいけない容器の見分けも含めて、湯たんぽの代用は家にあるもので足りるのほうに詳しくまとめてありますので、そちらを見ていただくのが早いです。ここで中途半端に書くより、あちらを読んでいただいたほうが安全に済みます。
低温やけどのことだけは、固くお伝えします
低温やけどは、44〜50℃程度の「熱い」と感じないくらいの温度でも、長時間触れ続けることで起こります。湯たんぽも、使い捨てカイロも、次の章で触れる電気あんかも同じです。肌に直接当てないでください。タオルや布、専用のカバーで必ず包んでください。そして、体に触れ続けさせないでください。足で抱えて眠るのではなく、少し離れた位置に置くのが原則です。
低温やけどは皮膚の深いところから静かに進むため、痛みが出た時にはすでに重くなっていることがあります。眠っている間は熱さを避ける動きも取れません。小さなお子さん、ご高齢の方、感覚が鈍くなる持病のある方、お酒を飲んで眠る方は特に注意してください。赤みが引かない、水ぶくれができた、皮膚が白っぽく硬くなっているという場合は、流水で冷やしたうえで医療機関を受診してください。
部屋を温めるか、寝床だけ温めるか
寝る前に暖房で部屋ごと温めておく、という手もあります。布団も家具も壁も一緒に温まるので、暖房を切ったあとの冷え方がゆるやかになるのが利点です。寝る一時間前くらいから寝室のドアを閉めて暖めておくと、就寝時に暖房を切っても急に冷えません。
ただ、部屋全体を温めるのはどうしても電気代や灯油を使いますし、乾燥もします。電気毛布を避けたい理由が電気代なら、部屋ではなく寝床だけを温めるほうが、圧倒的に少ないエネルギーで済みます。温める体積がぜんぜん違うからです。この記事で下側の断熱にこだわっているのも、結局は同じ理屈になります。
なお石油ストーブを使っている方は、就寝中につけっぱなしにするのは避けてください。一酸化炭素中毒・酸欠・火災という別種の危険があります。事情があってどうしても、という場合の現実的な折り合いのつけ方は石油ストーブを夜つけっぱなしにしていい?のほうにまとめました。
着るもので変えるなら、狙うのは首・手首・足首
道具を足さずにできることが、もう一つあります。寝る時に着るものを見直すことです。
体の熱は、太い血管が皮膚の近くを通っているところから逃げやすくなっています。首、手首、足首。いわゆる「三つの首」です。ここを覆うと、そのぶん外へ持っていかれる熱が減ります。ネックウォーマー、長めの袖、レッグウォーマー。どれも家にあるもので間に合うことが多いですし、寝返りでずれても布団の中に残ってくれるのがありがたいところです。
足先が冷たくて眠れない、という方は多いですよね。この時、厚い靴下を重ねるより、レッグウォーマーで足首を覆うほうが眠りやすいことがあります。足の裏は寝ている間に汗をかいて熱を逃がす場所でもあるので、そこをきつく塞ぐと、かえって蒸れて冷えるという逆転が起きるからです。
そして、締めつけの強いものは避けてください。ゴムのきつい靴下や、体にぴったりした重ね着は、血の巡りを妨げて末端の冷えを悪くします。暖かくしたいのに冷える、という時はたいてい締めつけが犯人です。ゆるめのものを、ふわりと。それだけで違います。
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それでも電気の力を借りたい時の選び方
ここまで電気を使わない手を並べてきましたが、「電気毛布はやめたいけれど、電気そのものを断ちたいわけではない」という方もいらっしゃると思います。その場合の選択肢も置いておきますね。
電気あんかは、足元だけを温める小さな道具です。温める範囲が狭いぶん消費電力も小さく、体全体を包む電気毛布とは体感がだいぶ違います。ただし電気あんかも、就寝中につけっぱなしにしないでください。同じ場所に当たり続ける以上、低温やけどの条件は電気毛布と変わりません。布団を温めておいてスイッチを切る、あるいはタイマーで切れるようにしておく——この使い方をおすすめします。
ホットカーペットを寝床の下に、という発想もありますが、こちらは注意が必要です。ホットカーペットの上に厚い布団やマットレスを敷きっぱなしにしないでください。熱がこもって内部が過熱し、故障や発火につながります。取扱説明書にも布団を重ねないよう書かれている製品がほとんどです。寝る前に温めて、寝る時には電源を切って布団を敷く、という順番なら現実的です。
タイマー付きの暖房で寝室を先に温めておいて、寝入りばなに切れるようにしておく手もあります。人がいちばん寒さを感じるのは布団に入った直後で、そこさえ越えれば体温で布団の中の温度は保てるので、この時間差の使い方は理にかなっています。
ちなみに、電気毛布を手放すのではなく「表示が出て動かなくなった」という理由でこの記事に来られた方もいるかもしれません。その場合は電気毛布のエラー表示(E1・Fなど)のほうを先に見てみてください。買い替えずに済むこともあります。ただし、焦げ臭い・一部だけ異常に熱いといった症状がある場合は、すぐに使用をやめてコンセントを抜いてください。これは様子を見ていい種類の異常ではありません。
こたつでしのぐという方は、こたつ布団が見当たらない時の代わりの立て方をこたつ布団の代わりになるものにまとめてあります。薄い布をヒーター部に近づけると発火の危険があるので、こちらは代用の前に安全のほうを先に読んでいただけると安心です。
今夜できる順の早見表
手の届く順に並べておきます。上から順に試して、足りなければ次へ、という読み方で大丈夫です。
| 代わりの手 | かかるお金 | 暖かさの出方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 毛布を体の下に敷く | 0円 | 下から逃げる熱をせき止める | 掛け布団が羽毛の時は、毛布を羽毛布団の上に重ねる |
| 着るものを見直す(首・手首・足首) | 0円 | 体から逃げる熱を減らす | 締めつけの強いものは血流を妨げるので避ける |
| 寝る前に寝床を温めておく | 0円〜 | 入った瞬間の冷たさが消える | 湯たんぽ・カイロは就寝時に肌から離す |
| あったか素材の敷きパッド | 数千円 | 触れた瞬間から冷たくない | 洗える表示のものを選ぶ。四隅のゴムでずれを防ぐ |
| アルミシート(保温シート) | 数百円〜 | 床からの底冷えを断つ | 敷布団の下に敷く。暖房器具の上には絶対に載せない。時々乾かす |
| 湯たんぽ | 数千円 | 寝床の予熱と足元 | 布で包む。体に触れ続けさせない。低温やけどに注意 |
| 電気あんか | 数千円 | 足元だけを温める | 就寝中はつけっぱなしにしない。タイマーを使う |
| ホットカーペット | 数千円〜 | 床側から広く温める | 上に厚い布団を敷きっぱなしにしない(過熱・発火の危険) |
上の三つはお金がかかりません。まずそこまでを試してから、足りない分を道具で埋めるという順番が、いちばん無駄が出ないと思います。
まとめ:ふさぐべきは、上ではなく下でした
- 寝床の寒さは、上から入るのではなく体の下から抜けていきます。下の布団は体重で潰れて空気の層が減るため、断熱の力が落ちるからです
- だから毛布は、体の上にかけるより下に敷くほうが暖かくなります。今夜ゼロ円でできて、いちばん効く一手です
- 掛け布団が羽毛の時だけは例外で、毛布は羽毛布団の上に重ねます。羽毛は体温で温められてふくらむ素材だからです
- 敷きパッドはずれない一枚として、アルミシートは敷布団の下に。アルミシートを暖房器具の上に載せることは、過熱・故障・火災につながるので絶対にしないでください
- 湯たんぽやカイロは、寝床の予熱に回すのが上手な使い方。低温やけどは44〜50℃程度でも長時間で起こるので、肌に直接当てず、体に触れ続けさせないでください
- 着るものは首・手首・足首を覆い、締めつけないこと。厚い靴下より、ゆるいレッグウォーマーのほうが眠りやすいことがあります
- 電気の力を借りるなら、電気あんかも就寝中はつけっぱなしにしない。ホットカーペットの上に厚い布団を敷きっぱなしにしない。タイマーで寝床を先に温める使い方が現実的です
電気毛布そのものを今後どうするか——直して使うのか、手放すのか——は、また別の判断になります。使い続ける場合の安全な使い方は電気毛布で後悔した理由と安全な使い方に、湯たんぽを手放す時の分別は湯たんぽの捨て方にまとめてあります。電気式や蓄熱式のものは、そのまま燃えないゴミに出せないことがあるので、そこだけご注意ください。
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代わりの手を一枚の画像にまとめました。スマホに保存しておけば、寒い夜に押し入れの前で迷わずに済みます。ご家族に「毛布、下に敷いてみて」と伝える時にも、そのまま見せられますよ。



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