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竿が根元からぽきりといった日。引っ越したその日に、洗濯機だけ先に回してしまった日。部屋干しをしたいのに、そもそも干す場所がどこにもない日。物干し竿が急に必要になる場面って、たいてい前ぶれがないんですよね。
検索すると「突っ張り棒が使えます」「室内物干しスタンドで代用できます」という答えは並ぶのですが、そのどれが自分の場合に当てはまるのかが、じつは書かれていないことが多いです。同じ突っ張り棒でも、下着を数枚干すのと、家族4人分のバスタオルを干すのとでは、まるで別の話になります。
そこでこの記事では、何を干すか、つまり重さを軸に選択肢を並べてみました。重さで分けると、使えるものと使えないものがすっきり分かれますし、危ない使い方も自然に避けられます。
濡れた洗濯物は、思っているより重いです
まずここから始めさせてください。ほとんどの失敗が、この一点の見落としから起きています。
洗濯物は、脱水したあとでも乾いた状態の1.5倍から2倍ほどの重さになります。脱水がしっかりかかった綿のシャツで1.5倍あたり、脱水の弱い設定や、厚手のバスタオル、デニム、フリースのような水を抱えやすい素材だと2倍を超えることもあります。
これがどれくらいの話かというと、たとえば乾いた状態で1枚300グラムのバスタオルを4枚干すとします。乾いた重さの合計は1.2キロ。ところが濡れていれば、およそ2キロから2.4キロになります。ここに家族分のシャツやタオルが加われば、竿1本にかかる重さは簡単に5キロを超えていきます。
そして厄介なのが、この重さが時間とともに減っていくことです。干した直後がいちばん重い。つまり「昨日は大丈夫だったのに今日は落ちた」というのは、たいてい昨日より水分を多く含んだ洗濯物を干したというだけの話だったりします。落ちる時はいつも、干した直後です。
ですから代用品を選ぶときは、乾いた重さではなく、いちばん重い状態を基準にするのが要点になります。おおよその目安を出しておきます。
| 干すもの | 乾いた重さの目安(1枚) | 濡れた状態の目安(1枚) | 10枚干した時 |
|---|---|---|---|
| ハンカチ・靴下 | 約20グラム | 約30から40グラム | 約0.4キロ |
| 下着・肌着 | 約50グラム | 約80から100グラム | 約1キロ |
| ワイシャツ | 約150グラム | 約230から300グラム | 約3キロ |
| フェイスタオル | 約80グラム | 約120から160グラム | 約1.6キロ |
| バスタオル | 約300グラム | 約450から600グラム | 約6キロ |
| ジーンズ | 約600グラム | 約900グラムから1.2キロ | 2本で約2.4キロ |
| シングルのシーツ | 約500グラム | 約750グラムから1キロ | 2枚で約2キロ |
| 毛布(シングル) | 約1.5キロ | 約2.2から3キロ | 1枚でこの重さ |
数字はあくまで目安で、素材や脱水の設定によって前後します。それでも、この表を眺めるだけで「バスタオル中心の日は別枠で考えないといけないな」という感覚は持てるのではないかと思います。
突っ張り棒は物干し竿の代わりになる?
これがいちばん多い問いだと思います。答えは条件つきでなります。そして条件はけっこうはっきりしています。
突っ張り棒には大きく2つの方式があります。
ひとつがバネ式。棒の中にバネが入っていて、縮めて押し込むと、バネの反発だけで両端を壁に押しつけて止まります。カーテンや暖簾のような軽いものを掛けるために作られたもので、耐荷重は数百グラムから数キロというところです。洗濯物を掛ける用途には向きません。
もうひとつがジャッキ式。棒の端をぐるぐる回して伸ばし、ネジの力で壁を押し広げて固定するタイプです。ネジは小さな力を大きな力に変える仕組みなので、バネ式とは比べものにならない圧が出ます。製品によっては耐荷重が数十キロと表示されているものもあります。洗濯物を干すなら、こちらの一択です。
ただし、表示された耐荷重をそのまま信じきるのも危ないところです。突っ張り棒が落ちるかどうかは、実は重さだけでは決まりません。
- 伸ばすほど弱くなります——同じ製品でも、いちばん縮めた状態がいちばん強く、めいっぱい伸ばすとたわみが出て、真ん中に荷重が集中します
- 荷重の向きで変わります——真下に引く力には強く、斜めや横に引かれる力にはとても弱いです。洗濯物が風で揺れると横向きの力が生まれます
- 壁の面で変わります——凹凸のある壁紙、タイル、柱の角では、突っ張った圧が一点に逃げてしまいます
この3つは物干し用途にそのまま効いてくるので、落ちない付け方のコツは突っ張り棒が落ちない方法のほうに、力の向きの図を入れてまとめてあります。洗濯物を掛ける前に一度見ておいてもらえると、事故がだいぶ減ると思います。滑り止めや落下防止の受け具を100円ショップで探す話は、突っ張り棒が落ちないようにする100均グッズのほうにあります。
安全のための確認:突っ張り棒は、製品に表示された耐荷重を超えて使わないでください。洗濯物は濡れた状態で乾いた時の1.5倍から2倍の重さになります。掛ける前に、干すものの乾いた重さを合計して2倍し、その数字が耐荷重の範囲に収まるかを確かめてください。表示の耐荷重は、正しく取り付けたうえで真下に静かに掛けた場合の値です。
安全のための確認:突っ張り棒を、人の頭上や、寝ている場所の真上に設置しないでください。落下は必ず前ぶれなく起きます。棒そのものに加えて、掛かっていたハンガーや洗濯物も一緒に落ちます。ベビーベッドや布団の上、ソファの真上、子どもの遊び場の上には設置しないでください。
安全のための確認:突っ張り棒や物干しの代用品で、避難経路をふさがないでください。玄関からの動線、廊下、ベランダの避難ハッチや隔て板の前は、緊急時に通れる状態を保っておく必要があります。特にマンションのベランダの仕切り板は、いざという時に蹴破って隣へ逃げるためのもので、その前にものを置かないよう管理規約で定められていることがほとんどです。
ベランダに竿受けだけ残っている時
竿が折れた、あるいは前の住人が持って行ってしまった。でも壁から出ている竿受け(竿を載せる金具)はある——この場合はいちばん恵まれた状況です。載せるものさえ用意すれば元通りになります。
選択肢は3つあります。
- 物干し竿を買い直す——ホームセンターや量販店で、伸縮するタイプが手に入ります。伸縮式は車に積めるので持ち帰りが楽です。ここは素直に買うのがいちばん早いです
- 丈夫な棒で代用する——太めの木の丸棒、園芸用の支柱を束ねたもの、金属パイプなど。ただしたわみと錆びという2つの弱点がつきまといます。木は濡れると重くなり、たわみ、いずれ腐ります。鉄パイプは錆びて洗濯物に色を移します
- ジャッキ式の突っ張り棒を竿受けの上に載せる——できなくはないのですが、突っ張り棒は「突っ張って固定する」ことで強度を出す道具なので、載せるだけだと本来の性能が出ません。転がりやすくもあります
竿受けがあるなら、そこは無理をせずに竿そのものを調達するのが結局はいちばん安全だと思います。
竿受けごと無い時と、部屋の中でしのぐ道具
ベランダに竿受けが付いていない部屋、そもそもベランダがない部屋、あるいは花粉や梅雨で外に干せない時期。この場合は床置きか、建具を使うかの二択になります。
床置きの物干しスタンドが、いちばん素直な答えです。X字に開くタイプ、タオル用のバーが並んだタイプ、洗濯物を囲むように広がるパラソル型など、形はいろいろあります。重いものを干すならこれ一択で、シーツやバスタオルをまとめて掛けても、床に置いてあるので落ちようがありません。難点は場所を取ることと、畳んでもそれなりに大きいことです。
鴨居用のハンガーラック・鴨居フックは、和室の鴨居や、洋室のドア枠の上端に引っかけて使う金具です。取り付けに道具が要らず、外せば跡も残りません。ただし引っかけているだけなので、耐荷重は数キロ程度と考えておいてください。下着やハンカチ、シャツ数枚といった軽い洗濯物向きです。
ドアハンガーは、ドアの上端に掛けて、ドアを閉めると固定される仕組みのものです。これも軽いもの向きです。掛けている間はそのドアが開閉できなくなるので、出入りするドアには使わないほうが無難です。
浴室の乾燥機能は、備わっているなら思い切って使う価値があります。浴室にはたいてい竿を掛ける金具かバーが最初から付いていますし、換気扇が回り続けるので、部屋干し特有のにおいが出にくいのが利点です。電気代はかかりますが、生乾きのにおいをやり直す手間を思えば、という日もあります。
コインランドリーの乾燥機は、毛布やシーツのような大物を、その日のうちに乾かしたい時の切り札です。とくに引っ越し直後で何も道具がそろっていない時期は、道具をそろえるまでのつなぎとして割り切ってしまうのが早いです。
- 室内物干しスタンド(床に置いて使うタイプ。バスタオルやシーツなど重いものも安心して干せます):楽天市場で見る
ゆきこ( ゚Д゚)『干した直後がいちばん重いって、盲点…』
今夜1回だけ、どうにかしのぐなら
洗濯機を回してしまってから気づいた、という状況もあると思います。応急でできることを、軽いものから順に並べておきます。
- 椅子の背もたれを2脚並べて、間に棒を渡す——ダイニングチェアの背に、園芸支柱や突っ張り棒を渡します。荷重は真下にかかるので比較的安定します。ただし椅子が動くと崩れるので、通り道は避けてください
- ドア枠の上端にハンガーを直接掛ける——枠に厚みがあれば、ハンガーの肩の部分が引っかかります。1枚ずつなら十分に持ちます
- 階段の手すり——タオル類を掛けるには具合がいいのですが、階段は転落の危険があるので、上り下りの妨げにならない場所だけにしてください
- カーテンレールは避けてください——よくやってしまう応急ですが、カーテンレールはカーテンの重さしか想定していません。曲がると閉まらなくなりますし、レールごと落ちると窓ガラスを割ることがあります
- ハンガーを増やして分散させる——1か所にまとめず、部屋のあちこちに数枚ずつ。乾きも早くなります
部屋干しで乾きが悪い時は、干す場所より空気が動いているかのほうが効きます。扇風機やサーキュレーターを洗濯物の下から当てておくと、同じ場所でも乾き方がまるで変わります。
ちなみに、ラグやマットのような大きくて重いものを家で洗ってしまった時は、干す場所の確保そのものが山場になります。乾かし方のコツはラグを自宅で洗う方法のほうにまとめてあります。
竿が風で回る・落ちる時のストッパー代用
竿はあるのに、風が吹くたびに竿がくるんと回って洗濯物が落ちる。あるいは竿受けから竿ごとずれて落ちる。これも地味に困る問題です。
本来はここに竿ストッパーという部品が入ります。竿受けと竿を固定して、回転とずれを止めるための小さな樹脂やゴムの部品です。専用品が手元にない時は、次のようなもので近いことができます。
- 結束バンド——竿と竿受けをまとめて縛ります。手軽で効きますが、屋外の紫外線で樹脂が劣化するので、季節ごとに掛け替えてください
- 滑り止めのゴムシート——竿受けの受け皿部分に敷いて、竿との間の摩擦を上げます。回転を止めるのに向いています
- 自転車の古いチューブやゴムバンド——竿に巻きつけて、竿受けの中で滑らないようにします
- ビニールテープを竿に巻く——応急としては使えますが、日光で粘着が溶けてべたつくので、あくまで一時的に
ただし、どの代用も専用のストッパーほどの保持力はありません。風の強い日は、代用のままにしておかないでください。
安全のための確認:ベランダで物干しの代用品が風にあおられて落下すると、階下の人や車に当たる事故になります。強風や台風の予報が出ている日は、竿も洗濯物もハンガーも室内に取り込んでください。竿受けに載せてあるだけの棒、突っ張り棒、軽い樹脂製のハンガーは特に飛びやすいものです。
安全のための確認:ベランダの手すりに洗濯物を直接掛けることは、自治体の条例やマンションの管理規約で禁止されている場合があります。景観の問題だけでなく、落下と、避難の妨げになることが理由です。掛ける前に、管理規約や入居時の案内を確認してください。
- 物干し竿のストッパー(竿と竿受けを固定して、回転とずれを止める部品です。風の強い地域では専用品のほうが確実です):Amazonで見る
台風が来る前のベランダの片づけ方は、竿の外し方から植木鉢の扱いまで台風のベランダ対策のほうにまとめてありますので、季節が近づいたら見てもらえたらと思います。
重さと場所から引く早見表
いま干したいものと、置ける場所から逆に引けるようにまとめておきます。
| 干したいもの | 濡れた重さの目安 | 向いている代わり | やめておくもの |
|---|---|---|---|
| 下着・靴下・ハンカチ | 1キロまで | 鴨居フック・ドアハンガー・バネ式の突っ張り棒 | 特になし。どれでも足ります |
| ワイシャツ数枚 | 1から3キロ | ジャッキ式の突っ張り棒・室内物干しスタンド | カーテンレール |
| フェイスタオル10枚 | 約1.6キロ | ジャッキ式の突っ張り棒・室内物干しスタンド | バネ式の突っ張り棒 |
| バスタオル数枚 | 3から6キロ | 床置きの物干しスタンド・浴室の乾燥機能 | 鴨居フック・ドアハンガー |
| シーツ・毛布 | 2から3キロ(かさばる) | コインランドリー・浴室の乾燥機能・パラソル型スタンド | 突っ張り棒全般(風を受けて横向きの力がかかります) |
| ジーンズ2本 | 約2.4キロ | 床置きスタンド・ジャッキ式の突っ張り棒 | 鴨居フック |
| ベランダに竿受けだけある | — | 伸縮式の物干し竿を買い直す | 錆びる鉄パイプ・たわむ木の棒 |
| 竿が風で回る | — | 竿ストッパー・結束バンド・滑り止めゴム | ビニールテープの常用(日光でべたつきます) |
まとめ:重さで選べば、危ない使い方を避けられます
- 濡れた洗濯物は、乾いた状態の1.5倍から2倍の重さ。いちばん重いのは干した直後です
- 突っ張り棒はジャッキ式なら代わりになります。バネ式はカーテン用の軽荷重なので、洗濯物には向きません
- 突っ張り棒は、表示された耐荷重を超えて使わないでください。掛ける前に、乾いた重さを合計して2倍した数字で判断を
- 人の頭上や、寝ている場所の真上には設置しないでください。落下は前ぶれなく起きます
- 避難経路をふさがないでください。ベランダの隔て板や避難ハッチの前は空けておく必要があります
- 竿受けがあるなら、竿を買い直すのがいちばん安全です。伸縮式なら持ち帰りも楽です
- 重いものは床置きのスタンドか、浴室の乾燥機能か、コインランドリー。吊るす系の道具では持ちません
- 今夜1回だけなら、椅子2脚に棒を渡す・ドア枠にハンガー。カーテンレールだけは避けてください
- 竿が回る時のストッパーは代用できますが、風の強い日は取り込んでください。ベランダからの落下は階下の事故になります
- 手すりへの直干しは、条例や管理規約で禁止されている場合があります。掛ける前に確認を
保存版:この記事の早見表
重さ別の選び方と、安全の線引きを1枚にまとめました。スマホに保存しておくと、売り場でも、干す前の判断にもそのまま使えます。



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