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ケーキの箱から出てくる、白い煙をまとった不思議な氷——ドライアイス。「あれって何度くらいあるの?」と聞かれて答えられますか。答えは約−79℃。家庭の冷凍庫(−18℃)より60℃以上も低い、身近な物質では別格の低温です。この記事では、ドライアイスの温度と正体、白い煙のカラクリ、氷との違い、そして触ってはいけない理由を、お子さんにも説明できるようにまとめます。
ドライアイスの温度と基本データ 早見表
| 項目 | データ |
|---|---|
| 温度 | 約−79℃(−78.5℃) |
| 正体 | 二酸化炭素(CO2)を固めたもの |
| とけ方 | 液体にならず気体になる(昇華) |
| 気化後の体積 | 固体の約750倍 |
| 白い煙の正体 | CO2ではなく冷やされた空気中の水蒸気 |
−79℃はどれくらい低いのか、比べてみる
| もの・場所 | 温度 |
|---|---|
| 家庭の冷蔵室 | 約3〜6℃ |
| 家庭の冷凍庫 | 約−18℃ |
| 南極の最低気温(観測記録級) | 約−80〜−89℃ |
| ドライアイス | 約−79℃ |
| 液体窒素 | 約−196℃ |
つまりドライアイスは、「南極の最も寒い日」レベルの冷たさを台所に持ち込んでいるようなもの。冷凍庫に入れても「ぬるい」と感じる温度差で、家庭の冷凍庫では昇華を止められない理由もここにあります。
なぜ溶けずに消える?「昇華」の仕組み
氷は0℃で水(液体)になりますが、ドライアイスは液体にならず、固体からいきなり気体に変わります。これを「昇華」といいます。
二酸化炭素が液体として存在するには約5.2気圧以上の圧力が必要で、私たちが暮らす1気圧の世界では「固体か気体か」の二択しかありません。だからドライアイスは水たまりを残さず、跡形もなく消えるのです。ケーキの保冷にドライアイスが選ばれるのは、強力な冷却力に加えて「溶けて箱を濡らさない」というこの性質のおかげです。
白い煙の正体は「CO2」ではない
ドライアイスといえばモクモクの白い煙。実はあの白い煙は二酸化炭素そのものではありません。二酸化炭素は無色透明です。
白い煙の正体は、ドライアイスの冷気で急冷された空気中の水蒸気が、細かい水や氷の粒になったもの——つまり「ミニチュアの雲」です。お湯にドライアイスを入れると煙が激しくなるのは、お湯からの豊富な水蒸気が一気に冷やされるから。舞台のスモーク演出と同じ原理です。
触ってはいけない理由:低温やけど(凍傷)
−79℃の物体に素手で触れると、皮膚の水分が瞬間的に凍り、数秒で低温やけど(凍傷)になります。氷のつもりでギュッと握るのが最も危険です。
- 扱うときは軍手・厚手のタオル・トングを使う
- 子どもには「触っていい氷」と「触ってはいけない氷」の違いを伝える
- 万一触れて痛み・白変がある場合は、ぬるま湯でゆっくり温め、症状が続けば医療機関へ
- 口に入れるのは絶対NG(口腔内の凍傷、飲み込めば体内でのガス膨張の危険)
また、気化した二酸化炭素は空気より重く低い場所にたまるため、狭い部屋や車内で大量に扱うときは必ず換気してください。
−79℃を楽しむ:安全な自由研究アイデア
温度の性質を知れば、ドライアイスは最高の理科教材になります(すべて大人同伴・換気・軍手着用で)。
- 雲をつくる実験:ぬるま湯+ドライアイスで白い煙を観察。「煙の正体は水」を確かめる
- 風船をふくらませる:小さなかけらを風船に入れて口を縛ると、昇華したガスで膨らむ(入れすぎ注意・密閉容器は使わない)
- シャボン玉を浮かせる:水槽にたまったCO2の上でシャボン玉がふわりと浮く(CO2が空気より重い証拠)
- スプーンの音実験:金属スプーンを押し当てると「ビィィー」と振動音。急激な昇華ガスがスプーンを振動させる現象です
実験用ドライアイスの入手先は関連記事「どこで買える?」を参考にしてください。
ドライアイスの温度のよくある質問
Q. ドライアイスの化学式は?
A. 二酸化炭素と同じCO2です。「ドライアイス」は商品名として広まった呼び名で、物質としては固体二酸化炭素と呼ばれます。
Q. 保冷剤や氷と比べてどれくらい強力ですか?
A. 氷は0℃・一般保冷剤も0℃前後、強力な氷点下タイプでも−16℃程度です。−79℃のドライアイスは別格で、アイスクリームを凍ったまま持ち運べるのはドライアイスならではです。
Q. ドライアイスで物を凍らせることはできますか?
A. できます。果物やジュースを凍らせる実験は定番です。ただし炭酸飲料の缶・瓶をドライアイスで急冷すると破裂の危険があるためやめてください。
Q. −79℃より冷たくすることはできますか?
A. 家庭では困難です。実験室ではドライアイス+アルコールの寒剤で−70℃台を安定維持する手法が使われますが、それより低温は液体窒素(−196℃)の領域になります。
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Q. 食品に直接触れさせていい?
基本は避けてください。マイナス79℃で食品が凍結したり、変質したりすることがあります。新聞紙やタオルで包み、食品との間に一枚挟むのが安全です。アイスクリームなど元々冷凍のものは直接でも問題ありませんが、野菜や果物、飲み物は凍って破損します。
Q. 保冷剤と併用してもいい?
相性がよい組み合わせです。ドライアイスを上、保冷剤を下や側面に配置すると、庫内全体が均一に冷えます。ドライアイスがなくなったあとも保冷剤が効き続けるので、長時間の保冷に向いています。
Q. 何℃くらいまで下がる?
ドライアイス自体はマイナス78.5℃です。クーラーボックス内は入れる量と断熱性で変わりますが、マイナス20℃以下を保つことも可能。冷凍食品を溶かさず運びたいときに有効ですが、冷やしすぎたくないものは離して置いてください。
まとめ:−79℃・煙は水・素手はNG、これだけで説明上手
ドライアイスの温度は、①約−79℃で冷凍庫より60℃以上低い、②液体にならず気体へ変わる「昇華」で跡形なく消える、③白い煙はCO2ではなく冷やされた水蒸気、④素手・密閉・換気不足の3つが危険——です。仕組みを知れば、ケーキの箱の白い煙も立派な理科の教材。お子さんに「−79℃なんだよ」と教えてあげてください。


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