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オイルヒーターを買った日に、まず思うのは「これ、朝までつけていて平気なのかな」ではないでしょうか。炎は見えないし、風も出ないし、さわっても石油ストーブほど熱くない。だからこそ、かえって判断がつかないのだと思います。
検索してみると「安全です」と書いてあるページと「火事になります」と書いてあるページが並んでいて、どちらを信じたらいいのか分からなくなる。じつはどちらも半分ずつ当たっていて、オイルヒーターは本体から火が出にくい代わりに、電気の通り道が危ないという、少し変わった性格をもっています。
そこでこの記事では、なぜ燃えていないのに火事が起きるのかという仕組みから順番に整理しました。洗濯物を掛けてはいけない理由、延長コードがいちばん危ない理由、低温やけど、シーズン初めのにおい、そして石油ストーブや電気ストーブとは危険の質がまるで違うことまで、まとめています。
まず、おうちの暖房はどれでしょう
暖房の安全の話は、器具の名前でひとくくりにすると、いちばん大事なところがぼやけてしまいます。「ストーブ」と呼ばれているものの中に、燃やすものと燃やさないものが混ざっているからです。ここだけ先に分けておくと、この先の話がすっきり入ってくると思います。
- 石油ストーブ・石油ファンヒーター——灯油を燃やして暖める器具です。燃えたガスが部屋に出るので一酸化炭素が関わり、換気と給油と消し忘れが中心の話になります。夜つけっぱなしにしていいのかは石油ストーブを夜つけっぱなしにしていいのかにまとめてあります
- オイルヒーター——燃やしません。電気で内部の油を温めて、その熱を金属の表面から放つ器具です。一酸化炭素は出ません。この記事はここの話です
- 電気ストーブ(ハロゲン・カーボン・石英管など)——こちらも燃やしませんが、赤く光る発熱体がむき出しで、触れたものが直接燃えます。危険の質がオイルヒーターとまるで違うので、電気ストーブをつけっぱなしにしても大丈夫かを見てもらえたらと思います
同じ「つけっぱなし」という言葉でも、石油ストーブでは中毒と消し忘れ、電気ストーブでは着火、オイルヒーターでは電源まわりの発熱、というふうに、心配すべき場所がそれぞれ違います。混ぜて考えると、ちょうど大事なところを見落としてしまうところです。
燃えていないのに火事になることがあるのはなぜ
オイルヒーターの中身は、案外シンプルです。金属のフィン(板のようなひだ)の内側に難燃性の油が密閉されていて、その油を電気ヒーターで温めます。温まった油はフィンの中をゆっくり循環し、金属の表面から部屋へ熱が伝わっていきます。油を燃やしているわけではなく、油は熱を運ぶ役目をしているだけで、外へ出ることもありません。
だから炎は出ませんし、燃焼していないので一酸化炭素も出ません。送風もないのでホコリが舞い上がらず、燃焼にともなう水分も出ないぶん、空気の質が変わりにくい暖房ではあります。ここまでだけ聞くと、たしかに安全そうに思えます。
ではなぜ火事の注意喚起が出るのかというと、火の出どころが本体ではなく、電気の通り道にあるからです。オイルヒーターは部屋全体をじんわり温めるために、大きな電力を長時間使い続けます。定格の消費電力が1200ワット前後の機種が多く、これは家庭用のコンセント1口が扱える容量にかなり近い数字です。
大きな電流が長い時間流れると、その電流が通るところ——プラグの刃、コンセントの受け口、延長コードの中の細い線、タップの内部——が発熱します。新しくて太いコードなら熱は逃げていきますが、細い延長コード、ほこりのたまったコンセント、内部が傷んだタップだと、熱が抜けきらずにたまっていきます。燃えたのはヒーターではなく、そこに電気を送っていた側だった、というのが実際に起きている型です。
もうひとつ、本体側にもゼロではない道があります。オイルヒーターの表面温度は炎ほどではないものの、機種によっては60℃から80℃ほどになります。ここに布をかぶせたり、ぴったり押しつけたりすると熱の逃げ場がなくなり、内側の温度がじりじり上がっていきます。木材や紙は、この程度の温度でも長い時間あぶられ続けると少しずつ性質が変わり、やがて低い温度でも発火しやすい状態になることが知られています。「触って平気だから燃えない」は成り立たない、というのがここです。
ゆきこ( ゚Д゚)『火が出るのは、暖房じゃなくてコンセントのほうだったんだ…』
洗濯物を掛けてはいけない理由
冬の部屋干しに困っていると、ちょうどいい高さの温かい板が目の前にあるわけで、つい掛けたくなります。ただ、ここはメーカーがそろって禁止しているところです。
安全のための確認:オイルヒーターに洗濯物を掛けないでください。布や紙で覆わないでください。上に物を置かないでください。これは「乾きが悪いから」ではなく、火災を防ぐための指示です。
理由は3つあります。
- 熱がこもる——オイルヒーターは表面から空気へ熱を渡して暖める器具です。布でふさぐと熱の出口がなくなり、布と金属のあいだの温度が上がっていきます
- 器具が温度を読み違える——多くの機種は室温を見て運転を強めたり弱めたりします。熱がこもって部屋が暖まらない状態が続くと、器具は「まだ寒い」と判断して運転を続けます
- 落ちて密着する——掛けた洗濯物がずり落ちて、フィンのすき間に食い込むことがあります。夜のうちに落ちて、朝まで気づかない、という形がいちばん怖いところです
どうしても部屋干しをしたい時は、ヒーターから離れた場所に洗濯物を置いて、部屋の空気が温かくなることで乾かす、という順番にしてもらえたらと思います。ヒーターの真上に物干しを置くのも、落下と熱のこもりが同じように起きるので避けたいところです。
いちばん危ないのは延長コードとたこ足配線
この記事でひとつだけ持ち帰ってもらうとしたら、ここになります。
安全のための確認:オイルヒーターは、壁のコンセントに直接差して使ってください。延長コード、電源タップ、たこ足配線での使用は避けてください。消費電力の大きい器具を細いコードやタップ経由で使うと、定格を超えた電流が流れて発熱し、火災の原因になります。
コンセントまわりには、いくつか数字が書かれています。見方を知っておくと判断が早くなります。
| 見るところ | よくある表示 | 意味 |
|---|---|---|
| 壁のコンセント1口 | 125V 15A | 合計でおよそ1500ワットまで |
| 電源タップ本体 | 1500W まで | 差した機器の合計の上限です |
| 延長コードのケーブル | 7A・12A・15A など | 7A表示なら約700ワットまで |
| オイルヒーター | 1200W 前後 | これ1台で上限のほとんどを使います |
表を見てもらうと分かるとおり、オイルヒーターは1台でコンセント1口をほぼ使い切る器具です。そこへ加湿器や電気ケトルを同じタップに足すと、あっという間に上限を超えます。とくに気をつけたいのが次の場面です。
- 細い延長コードで届かせている——7アンペア表示のコードにつなぐと、それだけで容量の倍近い電流が流れます
- コードを束ねたまま使っている——巻いたままだと熱が内側にこもります。コードリールは全部引き出して使うのが原則です
- カーペットや家具の下を通している——放熱できず、踏まれて中の線が傷みます
- コンセントにほこりがたまっている——湿気を含んだほこりが電気の通り道になり、プラグの刃のあいだで発熱する現象が知られています。プラグを抜いて乾いた布でふいておくと安心です
- 古い建物で、そのコンセントに他の部屋の回路がぶら下がっている——ブレーカーが落ちるようなら、その回路はすでに手いっぱいです
なお、消費電力や定格は機種やメーカーによって違うので、お使いの本体の裏側にあるラベルと取扱説明書で確認してもらえたらと思います。ここだけは目分量にしないでください。
低温やけどは何度から起きるのか
オイルヒーターの表面は、やかんのように「熱っ」と手を引っこめる熱さではありません。むしろ、じんわり気持ちいいくらいのことも多いです。この「気持ちいい」が、じつはやっかいなところです。
低温やけどは、体感としてはがまんできてしまう温度に、長い時間ふれ続けることで起きます。目安として、44℃なら数時間、50℃前後なら数分で皮膚が傷むことがあるとされています。オイルヒーターの表面温度は機種によって60℃から80℃ほどになるので、寝ているあいだにふれ続ける位置にあると、条件がそろってしまいます。
安全のための確認:就寝時に、肌がふれ続ける位置にオイルヒーターを置かないでください。とくに乳幼児、体の向きを自分で変えにくい方、高齢の方、ペットのそばでの使用には十分な距離をとってください。低温やけどは深くまで進むことがあり、見た目が軽そうでも治りにくいことがあります。
小さいお子さんがいるおうちでは、つかまり立ちの手が本体に届くこと自体が心配だと思います。柵状のガードで物理的に近づけなくするのは分かりやすい方法ですが、ガード自体が熱をためたり、器具の放熱をさまたげたりしないものを選ぶ必要があります。密着させず、すき間をとって設置してください。
- ヒーターガード(本体に密着させず、放熱のすき間をとって設置します。対応するサイズと形状は器具によって違います):Amazonで見る
シーズン初めの焼けたようなにおいは正常でしょうか
久しぶりに電源を入れたとたん、こげたようなにおい、あるいは油っぽい、少し生ぐさいようなにおいがしてくることがあります。「イカのにおいがする」と表現される方も多いところです。
この多くは、夏のあいだにフィンのすき間や内部にたまったほこりが、温まって焼けているにおいです。ほこりには繊維くずや皮脂、髪の毛などが混ざっているので、焼けると独特のにおいが出ます。ふつうは数分から十数分ほどで薄れていくので、窓を少し開けて空気を入れ替えながら様子を見てもらえたらと思います。
新品を初めて使う時のにおいも、似た理由で起こります。金属部分の防錆油や塗装が初めて加熱されて出るにおいで、こちらも回数を重ねるうちに消えていくのが一般的です。
においを減らしたい時にできるのは、結局のところ掃除です。電源プラグを抜いて、本体が完全に冷えてから、フィンのすき間のほこりを取ります。細長いブラシ、掃除機の細いノズル、乾いたマイクロファイバークロスを割り箸に巻いたものなどが入りやすいです。水気を含んだもので拭いた時は、しっかり乾かしてから電源を入れてください。
ちなみに、灯油を燃やす器具のにおいはまったく別の原因で起きます。そちらが気になっている場合は石油ストーブのにおいの原因のほうが当てはまると思います。
においが消えない時に疑うこと
問題は、しばらく使っても消えないにおいです。ここは正直に、固く書きます。
安全のための確認:次のようなにおいや異常があるときは、すぐに運転を止めて電源プラグを抜き、メーカーの相談窓口または購入店へ連絡してください。
- プラスチックやビニールが焦げるようなにおいがする
- においの元をたどるとプラグやコンセント側だった
- プラグやコードが熱くなっている、変色している、ひび割れている
- コンセントから焦げたようなにおいがする、差し込み口が黒ずんでいる
- 本体から油がにじんでいる、床に油だまりがある
- 運転中に「バチッ」という音がする、ブレーカーが落ちる
とくにコードやプラグの発熱は、火災の直前の合図であることがあります。「もう少し様子を見よう」ではなく、その場で抜いてください。抜いたあとも、そのコンセント自体を使わないようにして、電気工事店や管理会社に見てもらうのが確実です。
なお、こげたにおいと同時に天井の火災警報器が鳴った場合は、警報器の側の不調ではなく本当に火元がある可能性を先に考えてください。警報器の鳴り分けについては火災報知器の電池切れがうるさい時の見分け方にまとめてあります。
寝る時につけっぱなしにするなら
オイルヒーターが寝室で選ばれるのは、風が出ないので喉が痛くなりにくいこと、静かなこと、そして炎がないことが理由だと思います。実際、燃焼する器具にくらべれば、就寝中の使用に向いた性格ではあります。ただ、条件はあります。
安全のための確認:就寝中および外出中の運転の可否は、お使いの機種の取扱説明書に書かれたメーカーの指示に従ってください。連続運転を想定している機種と、そうでない機種があります。
そのうえで、寝室でつけっぱなしにする時に整えておきたいところを並べます。
- 可燃物との距離は、メーカーが指定する離隔距離を守ってください。カーテン、布団、座布団、紙の資料、スプレー缶を近くに置かないでください。距離の数値は機種によって違います
- 壁のコンセントに直接差してください。寝室は延長コードで引っぱりがちな場所なので、届かないなら置き場所のほうを変えてください
- 転倒時に電源が切れる機能があるかを確認してください。寝返りやペットで倒れることがあります
- サーモスタットやタイマーを使って、暖めすぎないようにする——一晩中フルパワーで運転すると、喉や肌の乾燥がつらくなります
- 火災警報器が働く状態になっているかを確かめておく——電池切れのまま止めている状態は、暖房を使う季節にいちばん惜しいところです
これから買うなら、転倒時オフ、チャイルドロック、温度と時間の設定ができることを最低条件にすると迷いにくいです。加えて、部屋の広さに合った出力かどうかも見ておきたいところで、広い部屋に小さい機種を置くとフルパワー運転が続いてしまいます。
- オイルヒーター本体(転倒時オフ・チャイルドロック・タイマーの有無と、適用畳数を確認して選びます):楽天市場で見る
石油ストーブ・電気ストーブとの危険の違い
3種類の暖房を並べてみると、心配すべきところがきれいに分かれます。
| くらべるところ | 石油ストーブ | オイルヒーター | 電気ストーブ |
|---|---|---|---|
| 燃やすかどうか | 燃やす | 燃やさない | 燃やさない |
| 一酸化炭素 | 出る(換気が必須) | 出ない | 出ない |
| 炎・赤熱する部分 | 炎がある | ない | 赤熱部がむき出し |
| 着火のしやすさ | 炎に触れれば即 | 低い(覆うと危険) | 触れれば直接着火 |
| いちばんの火災要因 | 消し忘れ・給油・可燃物 | 電源まわりの発熱 | 寝具や衣類への着火 |
| やけどの型 | 高温やけど | 低温やけど | 高温やけど |
| 暖まり方 | 速い | 遅い(じんわり) | 正面だけ速い |
| 就寝中の使用 | 指示に従う(換気必須) | 指示に従う | しない |
この表でいちばん言いたいのは、「安全なほう」を選んでも、危険がなくなるのではなく、危険の場所が移るだけということです。石油ストーブから乗り換えて一酸化炭素の心配がなくなったなら、次に見るのはコンセントです。それぞれの詳しいところは石油ストーブを夜つけっぱなしにしていいのかと電気ストーブをつけっぱなしにしても大丈夫かにまとめました。
電気代のことも少しだけ
火事の心配とは別に、実際に使い始めると気になってくるのが電気代だと思います。オイルヒーターは1200ワット前後を長時間使う器具なので、正直に言えば安い暖房ではありません。部屋を暖めきるまでに時間がかかるぶん、立ち上がりでフルパワーが続くのも効いてきます。
できることとしては、部屋の広さに合った出力を選ぶこと、サーモスタットの設定温度を上げすぎないこと、窓の断熱をすること、脱衣所のような短時間だけ暖めたい場所には向かないと割り切ること、あたりになります。使う場所ごとの向き不向きはセラミックヒーターの電気代のほうで比べているので、そちらも見てもらえたらと思います。
症状から引く早見表
今のおうちの状況から逆に引けるように、まとめておきます。
| 今の状況 | 考えられること | まずすること |
|---|---|---|
| 延長コードやタップにつないでいる | 容量オーバーによる発熱 | 壁のコンセントに直接差し替える |
| コードやプラグが熱い・変色している | 発熱、接触の不良 | すぐ止めて抜く。そのコンセントを使わない |
| 洗濯物を掛けている | 熱のこもりと落下 | 外して、離れた場所に干す |
| シーズン初めにこげたにおい | たまったほこりが焼けている | 換気して様子を見る。冷めてから掃除 |
| においが消えない・プラスチック臭 | 配線や内部の異常のおそれ | 止めて抜き、メーカーへ連絡 |
| 朝起きたら足が赤い・ひりひりする | 低温やけどのおそれ | 距離をとる。症状が続くなら受診 |
| 本体から油がにじんでいる | 密閉部の異常 | 使用を中止してメーカーへ連絡 |
| 部屋が暖まらず運転が止まらない | 出力と部屋の広さが合っていない | 適用畳数を確認。窓の断熱も見直す |
| ブレーカーがよく落ちる | 同じ回路の容量オーバー | 他の家電と回路を分ける |
まとめ:本体より、コンセントを見てください
- オイルヒーターは燃焼しないので、一酸化炭素は出ません。炎もないので、本体から火が出ることは起きにくい器具です
- そのぶん、危ないのは電源まわりです。1200ワット前後を長時間使うため、細い延長コードやたこ足配線が発熱して火災につながります
- 壁のコンセントに直接差して使ってください。コードを束ねたまま使わない、カーペットの下を通さない、ほこりをためない
- 洗濯物を掛けない、布や紙で覆わない、上に物を置かない。熱がこもると、触って平気な温度でも周りが傷んでいきます
- 可燃物との距離は、メーカーが指定する離隔距離を守ってください。数値は機種によって違うので取扱説明書の確認を
- 表面は60℃から80℃ほどになり、低温やけどの対象です。寝ている時に肌がふれ続ける位置に置かないでください
- シーズン初めのにおいは、たいていほこりが焼けているもの。消えないにおい、こげ臭、プラスチック臭は止めて抜いてください
- 就寝中と外出中の運転は、メーカーの指示に従ってください。機種によって想定が違います
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暖房の種類ごとの危険の違いと、オイルヒーターで気をつけるところを1枚にまとめました。スマホに保存しておくと、置き場所を決める時に見返せます。



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