鉄瓶のサビの落とし方——内側の赤サビは落としてはいけないことがある。使えるかの見分け方、煎茶を煮出す手入れ、外側のサビの拭き方、内側がホーローの「鉄急須」との違い

キッチン

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久しぶりに鉄瓶のふたを開けたら、内側が赤茶色。ざらざらした粉のようなものが見えて、「これ、もう捨てるしかないのかな」と思いますよね。譲り受けた鉄瓶の中をのぞいて、しばらく固まってしまった、という話もよく聞きます。

ここで、いちばん先にお伝えしたいことがあります。鉄瓶の内側の赤サビは、落としてはいけないことがあるんです。フライパンや包丁のサビとは考え方がまったく違っていて、ごしごし落とすと、かえって使えなくしてしまうことがあります。

「落とし方」を探して来られたのに逆を言うようですが、ここを知ってから手を動かしていただきたくて、最初に書きました。順番に見ていきましょう。

まず大前提——内側の赤サビは「落とさない」ことがあります

鉄瓶の内側は、使い込むほど湯垢という白っぽい膜がゆっくり育っていきます。これは水に含まれる成分が内側に積もったもので、鉄の表面をおおって、サビが進むのを抑えてくれる大事な層です。育てるのに何年もかかるので、こすり落としてしまうと、また一からになってしまいます。

そして赤サビのほう。内側に赤い部分があっても、沸かしたお湯が澄んでいて、味に変わりがなければ、そのまま使い続けてよいという考え方が広く取られています。鉄瓶は「サビと付き合いながら使う道具」なんです。

ですから、内側に対してやることは「落とす」ではなく、「落ち着かせる」。強くこすらず、進みすぎないように整える。そう覚えておくと迷いません。

なお、鉄瓶で沸かしたお湯と体のことについては、いろいろな言われ方をしています。ただ、ここでは健康への効果を断定しません。気になる方は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみてくださいね。この記事は、あくまで道具の手入れの話としてお読みください。

使えるか使えないかの見分け方

判断はとても簡単で、沸かしたお湯を白い器に注いで見るだけです。

  • お湯が透明で、味もいつもどおり → 内側が赤くても、そのまま使って大丈夫なことが多いです。手入れも不要
  • お湯がうっすら色づく程度、少し鉄の香りがする → 使えますが、手入れをすると落ち着きます。次の見出しへ
  • お湯がはっきり赤茶色に濁る、鉄くさくて飲みにくい、ざらざらした粒が浮く → 手入れが必要な状態です
  • 底や側面に穴が開いている、水を入れると外ににじむ・漏れる使わないでください。火にかけた時に水が漏れると危険ですし、修理が必要な段階です

鉄くさいと感じた時は、鉄瓶そのものより、注いだあとに湯を入れっぱなしにしていることが原因のこともあります。水筒に入れたお湯が鉄くさくなる話は水筒のお湯が鉄くさくなる時の話にも書いていて、考え方が似ています。

内側の手入れ——煎茶の茶葉を煮出して落ち着かせる

お湯が濁る時の定番の手当てが、お茶の葉を煮出す方法です。お茶に含まれるタンニンという成分が鉄と結びついて、内側の表面を落ち着かせてくれます。

  1. 使い終わった煎茶の茶葉(出がらしで十分です)を、お茶パックやガーゼに包みます。ひとつかみくらい
  2. 鉄瓶の八分目まで水を入れ、包んだ茶葉を入れます
  3. 弱火でことこと20〜30分ほど煮出します。ふきこぼれないよう、そばを離れないでください
  4. 火を止めて、そのまま冷まします。冷めたら中身を捨て、水でさっとすすぎます
  5. もう一度水を入れて沸かし、そのお湯は飲まずに捨てます。まだ色が出るようなら、もう一度
  6. お湯が澄んできたら終わり。1回で足りなければ、日を分けて2〜3回くり返します

この時、内側をたわしやスポンジでこすらないでください。育った湯垢まで落ちてしまいます。浮いた粉のようなものが気になる時は、水を入れて軽くゆすいで流す程度に。手を入れて触るのも、できれば避けたほうがいいです。

手入れのあとは、水気を完全に飛ばすところまでが1セットです。中身を空にして、まだ温かい余熱で内側の水分を飛ばします。ふたも外して、別々に乾かしてください。ふたをしたまま置くと、中に湿気がこもって、そこからまた赤サビが出ます。

内側は「落とす」ではなく「落ち着かせる」道具ですまず見分ける白い器に注いで見る透明で味も同じ→赤くてもそのまま可赤茶色に濁る・鉄くさい→手入れをする穴・水漏れ→使わない内側の手入れ煎茶の出がらしを包む八分目まで水を入れる弱火で20〜30分煮出す冷めたら捨ててすすぐ澄むまで数回くり返すこすらない・触らない最後は余熱で水気を飛ばすやってはいけない洗剤・金たわし食洗機に入れるサビ取り剤を使う水を入れたまま置く湯を入れて一晩ふたをしたまま保管鉄瓶(内側が鉄)と鉄急須(内側がホーロー加工)は手入れが全く違います鉄急須は直火にかけず、洗って乾かす。煎茶の煮出しも空焚きもしないこと熱い鉄瓶はつるも熱い。必ず鍋つかみで持ち、子どもの手の届かない所へ

外側のサビは、拭くことと乾かすことでほとんど片づきます

外側は内側と考え方が違って、こまめに拭いて乾かすのが手入れのほぼすべてです。

  • 使ったあとは、余熱があるうちに乾いた布でさっと拭く。これがいちばん効きます。外側についた水滴を残さないだけで、赤い点は出にくくなります
  • すでにうっすら赤くなっている所は、固く絞った布で軽くこすってから、乾いた布で拭き上げます。落ちきらなくても、それ以上進まなければ大丈夫です
  • 黒っぽくなっている部分は使い込んだ色です。無理に落とさなくて構いません
  • 保管は湿気の少ない場所で、ふたを外して。新聞紙を丸めて中に入れておくと湿気を吸ってくれます

ここで大事なのが、熱い鉄瓶は本体だけでなく、つるも熱いということ。持ち手が金属なので、火にかけた直後はしっかり熱を持っています。拭く時も動かす時も、必ず鍋つかみや厚手の布を使ってください。子どもが手を伸ばさない位置に置くのも、あわせてお願いします。

やってはいけないこと

  • 洗剤で洗う。内側の湯垢が落ち、においも残ります。鉄瓶の内側は基本的に、水以外を入れません
  • 金たわし・クレンザー・研磨剤でこする。表面が削れて、そこから新しいサビが出ます
  • 食洗機に入れる。高温と洗剤と乾燥の組み合わせは、鉄瓶にとっていちばん厳しい環境です
  • サビ取り剤や酸性の薬剤を使う。鉄を溶かす働きがあるので、鉄瓶には向きません。飲むためのお湯を沸かす道具だという点も忘れずに
  • 水やお湯を入れたまま置く。一晩そのまま、が赤サビのいちばんの原因です。使い終わったら必ず空にしてください
  • 強く空焚きする。水気を飛ばすのは余熱か、ごく短い弱火で

ちなみに、同じ鉄でもフライパンや中華鍋は油の膜で守る道具なので、手入れの考え方がまた違います。中華鍋がサビた時の手当て鉄のフライパンの焦げを落として立て直す話と読み比べると、違いがはっきりします。スキレットのサビ取りもあわせてどうぞ。鉄瓶にこれらのやり方(油を塗る、こすって黒くする)を持ち込まないでください。飲み水を沸かす道具なので、油は塗りません。

「鉄瓶」と「鉄急須」は手入れが全く違います——ここを混同しがち

見た目がそっくりで、どちらも重くて黒くて、南部鉄器と書かれていることもあります。でも中身は別物です。箱や説明書に「直火可」とあるかどうかが、いちばん分かりやすい見分け方です。

鉄瓶 鉄急須
内側 鉄がむき出し ホーロー加工でおおわれている
役目 火にかけてお湯を沸かす 沸かしたお湯を注いでお茶をいれる
直火 かけられる かけられない
赤サビ 出る。落ち着かせながら使う 本来出ない。出たら加工が傷んでいる
洗い方 水だけ。こすらない 使うたびに茶葉を出し、洗って乾かす
煎茶の煮出し 手入れとして行う 行わない

つまり、鉄急須に鉄瓶の手入れをしてはいけません。直火にかける、空焚きして水気を飛ばす、煎茶を煮出す。どれも内側のホーロー加工を傷めます。鉄急須はお茶をいれる器なので、使い終わったら茶葉を出して、中をすすいで、ふたを開けて乾かす。普通の急須と同じ扱いで大丈夫です。

穴が開いた時と、毎日の使い方

底に穴が開いた、水がにじむ。この状態は使わないでください。火にかけている最中に漏れると、火が消えたり、熱い水が飛んだりして危険です。長く使った鉄瓶は、工房や販売店で修理を受け付けていることがあるので、まずは問い合わせてみるのがおすすめです。金額は状態や工房によって違うので、見積もりを取ってから決めましょう。

そして、これから長く使うための毎日の習慣を4つだけ。

  1. 沸かしたら、その日のうちに空にする。残ったお湯は保温ポットへ
  2. 空にしたら、余熱で水気を飛ばす。ふたも外して別に乾かす
  3. 外側は温かいうちに乾いた布で拭く
  4. しばらく使わない時は、乾かしてからふたを外して保管する

赤サビが出るのはほぼ「水を入れたまま置いた」ことが原因なんですよね。

ゆきこ( ゚Д゚)『譲り受けた鉄瓶の中が赤いのを見て、あわてて金たわしを持ち出しそうになる、という話はよく聞きます。調べてから手を止められたなら、本当によかったと思います。毎晩、空にしてふたを外して、コンロの上で乾かすところまでを片付けの一部にしてしまえば、慣れると30秒くらいです』

これから鉄瓶を選ぶなら、内側が鉄のままか(急須ではないか)、火にかけられると書いてあるか、つるが持ちやすい形か、修理を受け付けている作り手か。自分ならこの4つを見ます。口コミを読んでいても、届いてから急須だと気づいた、という声がありました。


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同じ鉄の道具でも、油で守るものは手入れがまったく違います。スキレットのサビ取り中華鍋がサビた時の手当てを読むと、鉄瓶だけが特別な扱いをする理由が分かります。焦げまで進んでしまった鉄のフライパンは鉄のフライパンの焦げを落として立て直す話へ。お湯の鉄くささが気になる人は水筒のお湯が鉄くさくなる時の話もどうぞ。

まとめ:内側は落とさず落ち着かせる、外側は拭いて乾かす

  1. 内側の赤サビは落とさないことがあります。湯垢は育てる層、こすらないでください
  2. 判断は白い器に注いで見るだけ。澄んでいれば赤くても使えます
  3. 濁る時は煎茶の出がらしを弱火で煮出す。澄むまで数回くり返しましょう
  4. 洗剤・金たわし・食洗機・サビ取り剤・入れっぱなしは避けてください
  5. 鉄急須は内側がホーロー。直火も煮出しもせず、洗って乾かすだけです

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

鉄瓶のサビの手入れの早見表:大前提として内側の赤サビは落としてはいけないことがあり、湯垢は育てる層なのでこすらない。見分け方は沸かしたお湯を白い器に注ぎ、透明で味が変わらなければ赤くても使える、うっすら色づくなら手入れ、赤茶色に濁る、鉄くさい、粒が浮くなら手入れが必要、穴や水漏れがあれば使わない。内側の手入れは煎茶の出がらしを包んで八分目の水で弱火で20から30分煮出し、冷ましてから捨て、澄むまで数回くり返す。こすらず、最後は余熱で水気を飛ばしてふたを外して乾かす。外側は温かいうちに乾いた布で拭く。やってはいけないのは洗剤、金たわし、食洗機、サビ取り剤、水を入れたまま置くこと、ふたをしたまま保管すること。内側がホーロー加工の鉄急須は直火も煮出しもせず洗って乾かす。熱い鉄瓶はつるも熱いので鍋つかみで持つ

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