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灯油を買って帰ってきて、トランクを開けた瞬間にあの独特のにおい。よく見るとキャップの周りがぬれていて、荷室のマットにじわっとしみが広がっている。冬のはじめ、一度はやってしまうやつですよね。坂道を曲がったところでタンクが横倒しになって、荷室が半日「石油ストーブの中」みたいなにおいになった、という話もよく聞きます。
先に、いちばん大事なことをひとつだけ。灯油は引火します。においを取るより先に、火の気を遠ざけて窓を全部開けてください。エンジンをかけるのも、たばこも、ライターも、車の暖房も、いったん止める。ここだけは順番を間違えないでほしいところです。
そのうえで、においは消臭剤をまいても消えません。残っている油分を先に取るのが正解で、順番さえ守れば、家にあるものでかなりのところまで戻せます。最初の5分から順番に見ていきましょう。
床やカーペット、衣類にこぼしてしまった時の基本の手順は灯油をこぼしたときの対処にまとめてあります。この記事は車の中でこぼした時——換気がしにくい・シートに染みる・冬まで臭いが残る、という車ならではの困りごとにしぼりました。
まず火気厳禁——においより先に、火を遠ざけて窓を開ける
灯油はガソリンほど簡単には燃えない、と言われます。ただそれは「常温の広い場所で」の話で、車内のように狭くて温まりやすい場所は事情が違います。日が当たって温度が上がったり、暖房の温風が当たったりすると、目に見えない蒸気が車内にたまっていきます。そこに火の気があると危ない、という順番なんです。
- 窓とドアを全部開ける。開けたまましばらく放置します。まずここから
- たばこ・ライター・マッチを近づけない。車内で喫煙もしない。同乗者にも一声かけてください
- 車の暖房を使わない。特に足元の吹き出し口の近くにこぼれた時は、温風でにおいが車中に回ります
- エンジンをかける前に、まず換気。すぐ移動させたい気持ちは分かりますが、窓を開けてから
- 子どもとペットは車から降ろす。体が小さいぶん、蒸気の影響を受けやすいです
- ゴム手袋をする。薄手の使い捨てのもので十分。素手で触ると手にもにおいが残りますし、皮膚が弱い人は荒れることがあります
- 気分が悪くなったら、すぐ外に出て休む。頭が痛い、吐き気がする、というのは吸いすぎているサインです。おさまらない時は無理せず受診してください
それから、こぼれた量によっては自分で拭かないほうがいい場面もあります。タンクが割れて何リットルも流れた、床に液体がたまっている、というような時は、無理をせず消防署やガソリンスタンドに相談を。専用の吸着材を持っている人に任せたほうが早くて安全です。「これくらいなら」と迷う量なら、電話で聞いてみるだけでも判断が変わりますよ。
もうひとつ、絶対にやらないでほしいのが水で流すことです。こぼれた灯油を下水や側溝、排水口に流してはいけません。灯油は水に溶けずに浮いたまま流れていくので、下流で火災につながることがありますし、川や地下水を汚してしまいます。地域によっては条例で禁止されています。ホースで洗い流したくなる場面ほど、ぐっとこらえて「吸わせる」に切り替えてください。
こぼれた直後の手順——こすらず「押し当てて吸わせる」
ここが分かれ道です。あわててぞうきんでゴシゴシこすると、繊維の奥に押し込むうえに、しみの面積が広がります。やることは「吸わせる」だけ、と覚えておくと迷いません。
- ぬれている物を先に外に出す。タンク、荷物、フロアマット。車の外の、火の気がない風通しのよい場所へ
- 乾いたもので吸わせる。新聞紙、いらない古タオル、ペットのトイレシート、紙おむつ。どれも吸う力が強くて使い捨てできます
- 押し当てて、数十秒待つ。上から体重をかけて、吸い上がるのを待つイメージ。こすらない、円を描かない
- 新しいものに替えて、何度も繰り返す。当てても色が変わらなくなるまで。ここを何回やったかで、あとの日数が変わります
- 残りは粉で吸わせる。猫砂(固まるタイプ)、重曹、乾いた土や砂を上からたっぷり。1〜2時間置いてから、ほうきとちりとりで集めます
粉を集めるとき、まだ湿っているうちに掃除機を使わないでください。掃除機のモーターは中で細かい火花が出ますし、吸い込んだ蒸気が本体の中にたまります。掃除機の出番は、しっかり乾いたあとです。
拭いた布の捨て方——袋に密閉して放置しない
ここ、意外と知られていないのですがいちばん危ないところです。灯油を吸った布や新聞紙を丸めてゴミ袋に入れ、口を縛って物置や車のトランクに置いておく。よくやってしまう流れですが、これは自然発火のおそれがあります。油を含んだ布は空気に触れながらゆっくり熱を出していて、その熱が袋の中で逃げ場をなくすと、じわじわ温度が上がっていくんです。
- 屋外の風通しのよい場所に、重ねずに広げて乾かす。丸めない、重ねない。ベランダや庭の、火の気がない所で
- 置き場所は子どもとペットが触らない所。物干しに引っかけておくくらいがちょうどいいです
- 屋外に置けない事情があるなら、ふた付きの金属の缶に入れる。ペール缶や空き缶で十分です。ポリ袋はだめ
- 完全に乾いて、においがほぼ抜けてから捨てる。捨て方は自治体によって違うので、市区町村のごみ分別を確認するか、清掃の窓口に電話で聞くのがいちばん確実です
- 洗濯機に入れて他の服と一緒に洗うのも避けてください。においが移りますし、水と一緒に流れる分が出ます
においを消す——消臭剤より先に「油分を取る」
吸わせるところまで終わったら、いよいよにおい取りです。とはいえ順番を守るだけで、特別なものはほとんど使いません。
- 中性洗剤を薄めて押し拭き。食器用の洗剤をぬるま湯で薄め、タオルに含ませて固く絞ります。しみの上に置いて、押して、離す。灯油は油なので、洗剤の力で浮かせて拭き取る、という考え方です
- 水拭き。洗剤が残ると、それはそれでべたつきと別のにおいの元になります。きれいな水で絞ったタオルで2〜3回
- とにかく乾かす。ここがいちばん大事です。ドアを開けて風を通す、車の外から扇風機やサーキュレーターを当てる、晴れた日に半日開けておく。生乾きのままだと、灯油のにおいの上にカビのにおいが乗ってきます
- 乾いてから重曹。粉のまま気になる場所に薄くまいて、数時間から一晩置き、掃除機で吸い取ります。乾いていれば掃除機を使って大丈夫です
- それでも残るなら「吸うもの」を置く。活性炭、乾かしたコーヒーかす、緑茶の出がらしを乾かしたもの、無香タイプの車用消臭剤。香りでごまかすのではなく、残りを吸ってもらう目的で選びます
反対に、やらないほうがいいことも並べておきますね。
- 香りの強い芳香剤で上書きしない。灯油のにおいと甘い香りが混ざると、正直かなりつらい空間になります。まず無臭に戻す、が先
- 水をたっぷりかけて流さない。内装の下に水がたまってカビやサビの原因になりますし、流れ出た水の行き先も困ります
- 除光液のような溶剤を使わない。内装の樹脂が白くなったり、べたついたりします
- 熱風で乾かさない。ドライヤーの熱風を近づけるのは、蒸気が残っている場所では避けてください。風を当てるなら、熱の出ない送風で
シートやマットに染みた時——自分でやれる線引き
- ゴムや樹脂のフロアマット:外して屋外で洗えます。中性洗剤をつけたブラシで洗い、すすいで陰干し。完全に乾くまで車に戻さないのがコツです。すすいだ水はやはり側溝に流さないよう、洗う場所を考えてください
- 布のフロアマット:やることは同じですが、乾くのに数日かかります。中まで染みた時は、いっそ買い替えたほうが早いこともあります
- 布のシート:表面にかかった程度なら、押し拭きと乾燥で戻ります。中のクッションまで染みたら家庭では限界です
- シートの下や内装のすき間に流れ込んだ:手が届かないので、自分でどうにかしようとしないほうがいいです。カー用品店や内装のクリーニングを扱っている店、ディーラーに相談を
- 費用:状態と店によってまったく違うので、金額はここでは書きません。2〜3か所で見積もりを取ると、相場と作業内容の両方が見えて納得しやすいですよ
においが消えるまで何日かかる?——正直に書きます
ここは期待させないほうがいいと思うので、正直に。「今日中に完全に消す方法」は、残念ながらありません。
- 表面にかかった程度+その日のうちに吸い取りと洗剤拭き、乾燥まで済ませた→ 2〜3日でほとんど気にならなくなることが多いです
- マットに染みた・何日か気づかなかった→ 1〜2週間。天気に左右されます
- シートの中や内装の奥まで入った→ 数週間かかることも。業者に頼んだほうが結局早い場面です
近道を探すより、晴れた日に窓を開けて風を通すのを毎日繰り返すほうが確実です。ただし窓を開けて駐車する時は、防犯のために自分の目が届く場所で。マンションの駐車場なら、ベランダから見える位置がいいですね。
次からこぼさないために——積み方をちょっと変えるだけ
- フタは音がするまで締める。ワンタッチのキャップは、斜めに乗っているだけで締まったように見えることがあります。締めたあとに一度、傾けて確認
- 満タンにしない。灯油は温度で膨らみます。口までいっぱいだと、車内が温まった時にあふれることがあるんです
- 必ず立てて積む。キャップを上に。倒れないよう、車載用のタンクホルダーやコンテナに入れて固定します
- 荷室に新聞紙かペットシートを敷いておく。次にこぼれた時の被害がまったく違います
- 大きめの容器に「タンクごと」入れる。衣装ケースや折りたたみコンテナで受け皿を作る感じ。二重にしておくと安心です
- 給油ポンプは別に包む。抜いたあとのホースに残った灯油が、あとからぽたぽた垂れます。ビニール袋にくるんで
- 買ったらまっすぐ帰る。買い物を先に済ませてから灯油を積む、という順番にすると、車内に置いておく時間が短くて済みます
- タンク自体の劣化も見る。ひび、変形、色あせは交換のサイン。直射日光の当たる場所に置きっぱなしにすると早く傷みます
ゆきこ( ゚Д゚)『こぼした年の冬は、車に乗るたびに家族が無言になる、という話を読んで、笑えないなあと思いました。窓を開けて走るしかない季節ですしね。うちなら、折りたたみコンテナにタンクを入れて、その下に新聞紙。手間は30秒ほどなので、臭い冬を過ごすよりずっと安いと思います』
結局のところ、いちばん効くのはこぼさない積み方でした。車載用のタンクホルダーや、タンクごと入れられる受け皿になるものを1つ用意しておくと、毎回の給油がだいぶ気楽になります。口コミを読んでいると「タンクが動かないだけで運転中の気持ちが違う」という声が多くて、そこは本当にそうだなと思いました。
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灯油のにおいは、服にもよく付きますよね。服についた灯油の臭いの取り方では、洗濯機に入れる前にやることをまとめています。部屋のほうがにおう時は石油ストーブのにおいの原因と対処もどうぞ。それから、車内に置きっぱなしにして困るものつながりで、乾電池を車内に放置するとどうなるかも、夏前に読んでおくと安心です。
まとめ:火を遠ざけて、吸わせて、油を取ってから乾かす
- 最優先は火気厳禁。窓を全開にし、暖房も喫煙もエンジンも止めてから動く
- こすらず押し当てて吸わせる。新聞紙やペットシートを替えながら何度も
- 拭いた布は袋に密閉しない。屋外に広げて乾かす。自然発火のおそれあり
- 消臭剤より先に油分を取る。中性洗剤で押し拭き、水拭き、乾燥、最後に重曹
- 下水や側溝に流さない。大量にこぼれたら消防かガソリンスタンドに相談を
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手順を1枚にまとめました。



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