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カレーを仕込もうと圧力鍋を火にかけたら、おもりが上がる前にふたの横からシューシュー。いつまでたっても圧力がかかりません。豚の角煮を作ろうとした日に同じことが起きて、コンロの前で「これ壊れたの?」と固まった、という話もよく聞きます。
先に結論をひとつ。蒸気が「どこから」出ているかで、正常か漏れかが分かれます。おもりや排気口から勢いよく出るのは仕事をしている証拠。ふたの合わせ目やパッキンの縁からじわじわ横に出ているなら、それが漏れです。そして漏れの多くは、買い替えなくても手当てができます。
ただ、その前にひとつだけ約束を。確かめる作業は、必ず火を止めて、圧力が完全に下がってから。順番に見ていきましょう。
★いちばん大事な約束:加圧中は絶対にふたを開けない
圧力鍋の中は、100度を超えた熱湯と蒸気がぎゅうぎゅうに詰まった状態です。この状態で無理にふたを回すと、中身が一気に噴き出して、顔や腕に重いやけどを負う事故になります。「ちょっとだけ確認したい」も、この時ばかりは通用しません。
- 加圧中は絶対にふたを開けない。おもりが振れている間、ピンが上がっている間は、力を入れても回らないようになっています。回らないのは故障ではなく、守ってくれている合図です
- 安全弁と排気口をふさがない。ここは圧力の逃げ道です。ふきんをかぶせる、菜箸で押さえる、上に何かを置く——どれも絶対にしないでください。使う前に毎回、穴が食材のかすや油でふさがっていないかを明るい所で覗いて確かめる習慣をつけると安心です
- 圧力を下げる時は、機種の説明書どおりに。自然に冷めるのを待つか、おもりを操作して抜くか、機種によって決まっています。鍋を水につけて急冷していい機種と、いけない機種があります
- ピンが完全に下がってから、ふたは手前を先に上げず、奥へ蒸気を逃がすように開ける。残った蒸気がふわっと上がってくるので、顔を近づけないでくださいね
- 子どもをコンロに近づけない。シューという音が面白くて寄ってきます。「圧力鍋の日はキッチンに入らない」を家のルールにしてしまうのがいちばんです
怖い顔をして書きましたが、裏を返せばここさえ守れば、あとは落ち着いて原因を探せるということなんです。
正常な蒸気と「漏れ」の見分け方——出ている場所で決まります
まず、いま起きていることが本当に異常なのかを見ます。判断の軸は「場所」「向き」「音」の3つです。
- おもり・圧力表示ピンの周り・排気口から、まっすぐ上に勢いよく出る → 正常。加圧が始まる前に空気を押し出している段階で、これは全機種で起こります
- 圧力がかかったあと、おもりが小刻みに振れてシュッシュッと出る → 正常。余分な圧力を逃がして一定に保っている音です
- ふたと本体の合わせ目から、横向きにじわじわ・シューッと出続ける → これが漏れ。いつまでもピンが上がらず、おもりも振れません
- パッキンの縁から水滴と一緒に出る、一か所だけ強く出る → 漏れ。その真下に原因があります
- 音が「シューッ」と途切れずに鳴り続けて、10分たっても圧力表示が上がらない → 漏れとみて、いったん火を止めます
目安として、加圧の始まりに数分出るのは正常、ずっと出続けて圧力が上がらないのが漏れ。そう覚えておくと、コンロの前で迷いません。
漏れる原因は5つ——上から順に確かめます
ここからは、火を止めて、圧力が完全に下がって、鍋が触れる温度まで冷めてからの作業です。
- パッキンの劣化・硬化。いちばん多い原因です。ゴムが硬くなる、平べったくつぶれる、細かいひび割れが入る、ベタつく。指で押してみて、跳ね返ってこないなら替え時です
- パッキンの入れ方がずれている。溝から一部だけ浮いている、ねじれている、上下や裏表が逆。洗ったあと入れ直した日に漏れ始めたなら、まずこれを疑ってください。全周を指でなぞって、均一に収まっているか確かめます
- ふたが正しくロックされていない。合わせ位置の印がずれている、カチッという手応えがないまま火にかけた。いったん開けて、印を合わせて入れ直します
- 合わせ目に食材のかすが挟まっている。米粒、豆の皮、玉ねぎの繊維、油。ほんの小さなかすでも、そこだけすき間ができて蒸気が抜けます。パッキンを外して溝の中まで洗い、乾いた布で拭き上げてから戻します
- 入れすぎ・水が少なすぎ。説明書の最大量と最少水量は必ず守ってください。豆や麺のように吹きこぼれやすいもの、膨らむものは最大量がさらに低く決められています。逆に水が少なすぎると蒸気そのものが足りず、圧力が上がりません
①〜④を直しても漏れる、あるいはふたの変形・本体のふちのゆがみ・落とした心当たりがあるなら、そこから先は自分で直す範囲ではありません。メーカーか販売店に相談してください。
パッキンの寿命と交換のしかた——型番の探し方から
ゴムのパッキンは消耗品です。1年から2年で一度見直す、という気持ちでいると失敗しません。加熱と冷却のくり返しで、見た目がきれいでも弾力は少しずつ失われます。
替え時のサインは次のとおりです。
- 指で押してもふっくら戻らない、平たくつぶれた形で固まっている
- 表面に細かいひびが入っている、乾いて白っぽい粉が吹いている
- 洗ってもゴムがベタつく、においが取れない
- 溝にはめてもすぐ浮いてくる、伸びて余る
- 掃除もロックも直したのに、やっぱり漏れる
交換用は、本体かふたの裏に刻印されている型番で探します。取扱説明書の後ろのほうにある部品一覧か、メーカーの部品販売の窓口に型番を伝えるのがいちばん確実。同じ見た目でも、内径と厚みがほんの数ミリ違うだけで漏れます。
純正品と、他社が作った互換品があります。互換品は価格も抑えめですが、合わなかった時の責任は自分持ちに。古いパッキンで無理に使い続けるのがいちばん避けたいことなので、まずは型番を控えるところから始めてみてください。入れ替える時は溝の中を洗って完全に乾かし、ねじれないよう全周に均一にはめて、最後に指で一周なぞって浮きを確認します。
やってはいけない4つ
- 加圧中に無理に開ける。くり返しになりますが、これが最も危険です。開かないのは壊れているのではなく、まだ圧力が残っている合図
- おもりや安全弁を押さえる。うるさいから、蒸気がもったいないから、と手やふきんで押さえるのは絶対にやめてください。逃げ道をふさぐと、圧力の行き場がなくなります
- ふたに布を挟む。漏れを止めようと合わせ目にふきんを挟むのは、閉まっていない状態を無理やり隠す行為です。布が焦げる心配もあります
- 漏れたまま使い続ける。圧力がかからず時短にもならないうえ、空焚きにも近づきます
電気圧力鍋が焦げる時——水分・とろみ・内鍋の傷
火加減の要らない電気圧力鍋でも、内鍋の底が焦げつくことがあります。原因はだいたい次の4つです。
- 水分が足りない。いちばん多い原因です。ガスの鍋のレシピをそのまま使うと水が足りません。機種ごとに決められた最少水量を必ず入れてください
- とろみのある調味料を先に入れた。カレールー、みそ、ケチャップ、はちみつ、砂糖の多いたれ。これらは底に沈んで焦げます。加圧が終わってから、保温や煮詰めの段階で溶かすのが基本です
- 具材を底にぎゅうぎゅうに詰めた。水が回らない場所ができて、そこだけ焦げます
- 内鍋に傷がある。金属のおたまの跡、金だわしでこすった跡。加工がはがれた場所は焦げの起点になります。木やシリコンの道具に替えると長持ちします
焦げついてしまったら、冷ましてから水を張って少し置き、やわらかいスポンジで。金だわしやクレンザーでこすると加工を削ってしまい、次はもっと焦げやすくなります。焦げ落としの考え方はホーロー鍋が焦げた時の落とし方や土鍋の焦げの落とし方と同じで、削らずにふやかすのが基本です。
ゆきこ( ゚Д゚)『漏れの正体が玉ねぎの薄皮1枚だった、という話はよく聞きます。3日悩んで買い替えを検索していた、なんて声も。洗う時にパッキンを外して溝まで洗うくせをつけておくと、こういう空騒ぎはだいぶ減ると思います。加圧中に力ずくで開けようとするのだけは、本当にやめてくださいね』
直らない時の相談先と、日々のひと手間
5つを確かめてもまだ漏れる、ふたが変形している、異音がする。そんな時はメーカーの相談窓口か、買った販売店へ。圧力がかかる器具なので、自分で削ったり曲げたりするものではありません。
そして日々のひと手間を3つだけ。使う前に安全弁と排気口の穴を覗く、洗う時はパッキンを外して溝まで洗う、しまう時はふたを裏返してのせてパッキンをつぶさない。これだけで漏れの原因の半分は先回りできます。
熱い鍋を持ち上げる時は、必ず乾いた厚手の鍋つかみで。濡れた布は蒸気で熱が伝わってやけどのもとなので、手持ちがない時は鍋つかみの代用を先に確かめておくと安心です。
あわせて読みたい
圧力鍋の相棒になる鍋のお手入れも、考え方はよく似ています。焦げつきを削らずに落とす話は土鍋の焦げの落とし方とホーロー鍋が焦げる原因と落とし方にまとめました。熱い鍋を扱う日の備えとして鍋つかみの代用もあわせてどうぞ。
ふたが開かなくなった時の正しい圧の抜き方は圧力鍋の蓋が開かない時の記事に、そもそも圧力鍋を使わずに済ませたい日の手は圧力鍋の代用にまとめてあります。パッキンを替えてもしっくりこない、買い替えを考え始めた、という段階なら電気圧力鍋で後悔した理由をまとめた記事が、選び方の材料になるかもしれません。
まとめ:出る場所で見分けて、冷めてから5つを順に
- 加圧中は絶対にふたを開けない。開かないのは守られている合図です
- 安全弁と排気口はふさがない。使う前に毎回、穴を覗いて確かめる
- おもりから上に出るのは正常、合わせ目から横に出るのが漏れ
- 原因はパッキン・ずれ・ロック・かす・入れすぎの5つを順に
- 古いパッキンで使い続けない。直らなければ販売店かメーカーへ
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手順を1枚にまとめました。



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