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朝、いつものマグカップにコーヒーを注いで持ち上げたら、取っ手だけが手に残った。あるいは食洗機から出したら取っ手の根元にひびが入っていて、触ったらポロッ。子どもが選んでくれたカップだったり、旅先で買った一点ものだったりすると、「捨てる」の一言がなかなか出てこないんですよね。
先に結論を1つだけ。取っ手は接着剤でくっつきます。でも、熱い飲み物を入れて持てる強さには戻りません。だから「直して元どおり使う」ではなく、「直して別の役目で残す」と考えると、迷いがすっと消えます。どこまで自分でできて、どこから先はお店なのか、順番に見ていきましょう。
まず見る:割れ方は「きれいに2つ」? 「欠けやひびもある」?
取っ手の割れ方で、直し方も、直したあとに何に使えるかも変わります。
- 取っ手が根元からきれいに外れた(断面がぴったり合う)→ 接着で形は戻せる。飾る・ペン立てにするなら十分
- 取っ手が途中で折れて、細かい破片も出た→ 隙間をパテで埋める作業になる。見た目はそこそこ、強度はさらに期待しない
- 本体の口や胴にひび・欠けがある→ 飲み物を入れるのはここで終わり。ひびは中まで進んでいて、熱いものを注ぐと割れることがある
- 根元に小さなひびだけで、まだ付いている→ 一見無事でも、次に熱いものを入れた時に外れやすい。この段階で「飲み物用は卒業」を決めるのが安全
破片は素手でつかまず、厚紙などで集めて新聞紙に包んでおいてください。断面は思っている以上に鋭いです。
接着剤でくっつく?——くっつくけど、強度は戻らない
いちばん多い質問がこれ。答えは「くっつく、でも戻らない」なんです。
陶器の取っ手は、本体とは別に形を作って、焼く前に貼り付けて一体化させたもの。焼き上がった状態が本来の強さで、いちど割れた断面を接着剤でつないでも、持てる強さは元の何分の一かです。しかも中身が熱いと接着層はさらに弱くなります。
こわいのは、「くっついた!」と喜んで熱いコーヒーを注ぎ、持ち上げた瞬間に取っ手だけが手に残るパターン。熱い液体が足元や、そばにいる子どもにかかります。接着した取っ手で熱い飲み物を持たない——これだけは必ず守ってください。
- 瞬間接着剤:手軽だけれど、水と熱に弱い。洗ったり熱いものを入れたりすると白くなって剥がれる。飾り用の仮止めまで
- 2液を混ぜるエポキシ接着剤:硬化後は水や熱にある程度強く、陶器同士をつなぐならこれ。「陶磁器用」「食器の補修に」と表示のあるものを選ぶ。それでも口に触れる場所は不可
- エポキシパテ:粘土のように練って使う。欠けて足りない部分を埋めるのに向く。細かい破片がなくなった時の味方
自分で直す手順——「観賞用・ペン立て」に格下げする前提で
ここからが実作業です。前提は、直したあとは飲み物を入れないこと。ペン立て、小物入れ、多肉植物の鉢、玄関の鍵置き。役目を変えて残すなら、接着で十分な強さになります。
用意するもの:エポキシ接着剤(またはエポキシパテ)、使い捨て手袋、つまようじや割りばし、マスキングテープ、いらない紙。作業は窓を開けて換気し、手袋をして、子どもの手の届かない所で。エポキシは混ぜてから固まり始めるまでの時間が限られるので、段取りを先に済ませておくのがコツです。
- 断面を洗って完全に乾かす。油やコーヒーの成分が残っていると付きません。中性洗剤で洗って、半日は乾かす
- 仮合わせをする。接着剤を付ける前に、取っ手をどの向きでどう当てるか、指で合わせて覚えておく。付けたあとに迷うと失敗します
- 接着剤を薄く塗る。2液を同量ずつ紙の上で混ぜ、つまようじで断面の片側に薄く。多く塗るとはみ出して汚くなるうえ、強度も上がりません
- 押し付けて、テープで固定。マスキングテープで取っ手を胴に巻き付けるように留める。はみ出た分はすぐに拭き取る
- 触らず1日置く。「表面が固まった」と「使える強さ」は別。表示にある完全硬化の時間まで待つ
- 欠けた隙間があれば、パテで埋めて整える。エポキシパテを練って隙間に押し込み、指で形を作る。固まったら紙やすりで軽くならすと目立たなくなる
手についた接着剤は、無理にこすらずぬるま湯でふやかすのが基本。落とし方は接着剤が手についた時の落とし方に詳しくまとめています。
口が触れる欠け・ひび割れは、接着剤で直さない
取っ手と違って、飲み口の欠けや、胴のひび割れは考え方が変わります。ここは唇と飲み物が直接触れる場所。接着剤やパテの成分が飲み物に溶け出さないという保証は、一般の補修材にはありません。「食器の補修に使える」と書かれた製品でも、多くは「口に触れない部分」という条件付きなんです。
だから飲み口が欠けたカップは、接着で直して飲み物用に戻す、という選択肢はなし。欠けを紙やすりで丸めて口を切らないようにしたうえで、やはり飾り用・小物用に回します。飲み物用として直したいなら、次の金継ぎへ。
本気で直すなら金継ぎ——専門店とキットの相場
「このカップでまた飲みたい」なら、選択肢は金継ぎです。漆で接着し、継ぎ目に金や銀の粉を蒔いて仕上げる、日本の伝統的な直し方。漆は昔から食器に使われてきた素材なので、本来の方法で直せば飲み物用にも戻せます。
- 専門店に頼む:欠け1か所やひび1本で数千円から、取っ手の接着や複数箇所で1万円台が目安。漆の乾きを待つので1〜3か月かかるのが普通。カップの値段より高くなることもあるので、「値段ではなく思い出を直す」ものと考えると納得しやすいです
- キットで自分で:本漆のキットは数千円台から。ただし本漆はかぶれることがあり、手袋と換気が必須で、乾かすのにも湿度と日数が要ります。手軽な「簡易金継ぎ」は合成樹脂系のものが多く、「食器に使える」と表示のあるものを選び、表示のないものは飾り用と割り切る
- 体験教室:自治体の講座や工房で数千円。自分のカップを持ち込めるところもあり、初めてならここから入るのがいちばん失敗が少ない
取っ手が取れるのはなぜ?——急冷急熱と食洗機
直したあと、同じことを繰り返さないために原因も知っておきましょう。
- 急冷急熱:熱いお茶を飲み終えて、すぐ冷たい水ですすぐ。この温度差で目に見えない細かいひびが入り、回数を重ねるうちに根元が弱ります。冷めてから洗うだけで寿命が伸びる
- 食洗機:高温の水と乾燥の熱、他の食器との衝突。取っ手の付け根は最初にダメージを受ける場所。大切なカップだけ手洗いに
- 電子レンジ:中身だけが局所的に熱くなり、取っ手との温度差が大きくなる。「電子レンジ対応」の表示がないものは避ける
- 重い中身を取っ手だけで:大容量のスープを片手の取っ手だけで持つと、付け根に力が集中。もう片方の手を底に添える
- 収納で取っ手をぶつける:重ねたり、取っ手同士がぶつかる置き方。フックに吊るすか、間隔を空ける
思い出のカップの残し方
直しても飲み物用に戻せないと分かると、「じゃあ持っていても…」と思うかもしれません。でも役目を変えて残す方法は意外と多いんです。
- ペン立て・メイクブラシ立て:取っ手がなくても困らない用途の代表
- 多肉植物やハーブの鉢カバー:底に穴は開けず、鉢をそのまま入れる。取っ手の跡はパテで整えるか、あえて見せる
- 玄関の鍵置き・アクセサリー入れ:小さく軽いものならひびがあっても十分
- 写真に撮ってから手放す:どうしても置き場がなければ、写真とエピソードを残して手放す。子どもと一緒に「ありがとう」を言うのも、悪くない区切りですよ
処分する時は、破片を新聞紙で包んで「割れ物・危険」と書き、お住まいの自治体の分別(陶器は不燃ごみ扱いが多いですが、地域で違います)に従ってください。
ゆきこ( ゚Д゚)『次男が「ママの誕生日に」と選んでくれた黄色いマグ、食洗機で取っ手が取れました。エポキシで付けて今は歯ブラシ立て。次男は「ママ、毎日使ってるね」と満足そうで、私は毎朝それを見てちょっと泣きそうになります。熱いコーヒーは別のカップで飲んでます』
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接着剤まわりの困りごとは、接着剤が手についた時の落とし方とボンドの蓋が開かない時の対処もどうぞ。
まとめ:接着で形は戻る、強さは戻らない。役目を変えて残す
- 取っ手は接着剤でくっつく。でも熱い飲み物を持てる強さには戻らない
- 直すならペン立て・小物入れに格下げする前提で、エポキシ接着剤かパテ
- 作業は換気・手袋・子どもの手の届かない所で。固まるまで1日触らない
- 口が触れる欠けやひびに接着剤は使わない。飲み物用に戻すなら金継ぎ
- 取れる原因は急冷急熱と食洗機。冷めてから手洗いで寿命が伸びる
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手順を1枚にまとめました。



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