ファスナーが開かない——まず4つの症状に切り分ける。重い・布を噛んだ・歯が外れた・閉まらない、症状別の直し方とやってはいけないこと、スライダー交換という手

生活

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出かける5分前に、上着のファスナーが動かない。引いても引いても、そこから先に進まない。焦って力を込めたら、今度は生地がぐしゃっと巻き込まれて、もう上にも下にも行かなくなる——これ、冬になると必ず一回は起きる家が多いと思います。小学生の通学リュックで、朝の玄関で起きるパターンも多いですよね。

先に結論をひとつ。ファスナーが開かない時、いちばんやってはいけないのは「力を入れて往復させること」です。原因によって手当てがまるで違うので、力任せに動かすと、直せたはずのものが直せなくなってしまうんですよね。

まずは症状の切り分けから。どれに当てはまるかが分かれば、3分で終わることもあります。順番に見ていきましょう。

まず切り分け——4つのうちどれ?

ファスナーのトラブルは、大きく4つに分かれます。これを先に見分けるのが、遠回りに見えていちばん早い道です。

  1. 動きが重い・途中で止まる。生地は噛んでいないし、歯もそろっている。ただ引っかかる感じがする → すべりの問題
  2. 布を噛んだ。裏地や中の服がスライダーに巻き込まれて、そこで固まっている → 引っ張らずに戻す
  3. 歯(エレメント)が外れて開いたまま。閉めたはずなのに、スライダーの後ろが口を開けている。片側の歯だけレールから外れている → 入れ直し
  4. スライダーが緩んで閉まらない。上まで上げても、通ったそばから開いていく。歯は無事 → スライダーのすき間の問題

見分け方のコツは、スライダーの後ろ(通り過ぎたはずの側)を見ること。後ろがきれいに閉じていれば①か②、後ろが開いていれば③か④です。歯が1つ2つ抜け落ちていれば③、歯がそろっているのに開くなら④、と絞れます。

①動きが重い時——すべりを足すだけで戻ることが多い

長く使ったファスナーは、歯の間にほこりや洗剤のかす、汗の塩分がたまって動きが渋くなります。すべりを足すだけで驚くほど軽くなりますよ。

  • 鉛筆の芯。えんぴつの芯を、閉じた状態の歯の上に上下になぞりつけます。黒鉛がすべりになる、昔ながらの方法。色移りが気になる薄い色の生地には向きません
  • リップクリーム。無色のものを歯の表面に薄く。塗りすぎるとべたつくので、本当に薄くです
  • ろうそくのろう。歯に軽くこすりつけると、乾いたすべりが出ます
  • シリコン系のすべり剤。専用のものが手芸店にあります。歯だけに、ごく少量

塗る前に歯の間の汚れを乾いた歯ブラシで落とすと効果が上がります。砂が挟まっているだけ、ということも本当によくあるんです。

ここでひとつ注意を。油性のものを衣類に使う時は、必ず目立たない所で試してからにしてください。裾の内側や、縫い代のあたりで少し試して、しみにならないかを見る。特に薄い色の服、シルクのような繊細な生地は、あとから輪じみが出てくることがあります。

②布を噛んだ時——引っ張らない。噛んだ側から戻す

ここがいちばん、生地を裂きやすい場面です。噛んだ布を反対に引っ張るのは絶対にやめてください。スライダーの中で布が刃物のようなふちに押しつけられて、そのまま裂けます。

  1. まず手を止めて、力を抜く。ファスナー全体をゆるませて、生地を平らに広げます
  2. 噛んだ布を、スライダーが来た向きへ少しずつ戻す。引き抜くのではなく、押し込むように送り返すイメージです
  3. 同時にスライダーをほんの少し、噛んだ側と逆へ動かす。1ミリ動かして、布を1ミリ送る。この繰り返し
  4. 布のはじが見えてきたら、爪や毛抜き、糸をほどく道具の先でそっとかき出す。とがった物を使う時は、生地を突かないように
  5. どうしても動かない時は、歯の側にすべりを少しだけ足すと、抜けることがあります

コツは「早く抜こうとしない」こと。1分で終わらせようとすると裂けて、5分かければ元通り、というのが本当によくある分かれ道です。すでに生地が裂けてしまった場合の直し方は、ファスナーが布を噛んで深く食い込んだ時の対処にまとめています。

スライダーの後ろを見て4つに切り分ける後ろが閉じている①動きが重い 歯の汚れを落とす 鉛筆の芯・ろう②布を噛んだ 引っ張らない 来た向きへ戻す1ミリずつ動かす後ろが開いている③歯が外れた 下止めまで戻して 入れ直す④緩んで閉まらない 上下をペンチで ごくわずかに挟む強く挟むと割れるやってはいけない油を大量に塗る力任せに往復させる歯をペンチで曲げる噛んだ布を引き抜く子どもの服では肌を挟まない歯が無事でスライダーだけが傷んでいるなら、スライダー交換で直ることが多い裏の刻印でサイズと種類を見る。歯が欠けた・下止めが壊れた・革や高価な物は修理店へ油性のものは目立たない所で試す/急がない。1分で抜こうとすると裂け、5分かければ戻る

③歯が外れて開いたまま——下止めまで戻して入れ直す

閉めても後ろから開いてくる、しかも片側の歯がレールから浮いている。これは歯がスライダーの片側から外れてしまった状態です。上着の脇や、リュックの角など、力がかかる場所で起きやすいですよね。

  1. スライダーを、いちばん下(下止めのある側)まで戻す。途中で外れた歯を無理に押し込もうとせず、まず全部下ろします
  2. 外れた側の歯をスライダーの通り道にまっすぐ差し込む。左右の入り口の高さがそろっていないと入りません
  3. 片手でファスナーの布地を軽く引いてまっすぐに張りながら、ゆっくり上げていく
  4. 途中でまた開くようなら、それは歯ではなくスライダーが緩んでいる合図。④へ

ここで戻せないパターンもあります。下止め(いちばん下の留め金)が壊れている、歯そのものが欠けている場合です。下止めがないとスライダーが下から抜けますし、歯が欠けていればそこを通るたびに開きます。この場合は交換か修理の話に。

④スライダーが緩んで閉まらない——ごくわずかに挟む

歯はそろっているのに、通ったそばから開いていく。これはスライダーの上下のすき間が、使ううちに広がってしまった状態です。すき間を元の幅に戻してあげれば閉まるようになります。

  • ファスナーのいちばん下までスライダーを下ろしてから作業します
  • ペンチ(先の平たいもの)で、スライダーの上下の面を、外側からごくわずかに挟む。左右の端を1回ずつ、ほんの少しずつ
  • 1回挟むごとに、必ず動かして確かめる。「まだ緩いかな」で止めるくらいでちょうどいいです

力を入れすぎるとスライダーが割れます。よく起きる失敗で、割れたら交換しかありません。挟むというより「触れる」くらいの気持ちで。傷が気になる時は間に薄い布をはさむときれいです。

やってはいけない3つ

  • 油を大量に塗る。すべりはよくなっても、生地に染みて輪じみになり、ほこりを吸って余計に動かなくなります。すべり剤は歯だけに、ごく少量が鉄則です
  • 力任せに往復させる。噛んだ布は裂け、歯はレールから外れ、スライダーは金属疲労で割れます。動かない時に強く引くのは、いちばん高くつく行動です
  • 歯をペンチで曲げて戻す。曲がった歯は、通るたびにスライダーを削ります。ずれた歯は曲げず、外して入れ直すのが正解

それともうひとつ。子どもの服やリュックのファスナーを直す時は、肌を挟まないように気をつけてください。あごの下やお腹のあたりは、生地と一緒に皮膚が入り込みやすい場所です。子どもが自分で開け閉めする時も、内側にあて布のあるものを選ぶと安心ですよ。

スライダーだけを交換するという手

歯が無事で、スライダーだけが傷んでいるのなら、スライダーだけを新しくするのがいちばん確実です。手芸店や工具のお店で、補修用の小さな部品として売られています。

  • サイズの見方。スライダーの裏側や引き手に、3・4・5といった数字が刻印されています。これが歯の大きさの目安。同じ数字のものを選びます
  • 種類の見方。歯が金属か樹脂か、コイル状にぐるぐる巻いた形か。この3つで部品が変わります
  • 開き方の見方。下まで完全に開くもの、ポーチのように輪になっているもの、両側から開くもので部品が違います
  • 交換は、上止めを外して古いスライダーを抜き、新しいものを通して上止めを付け直す流れ。細かい手順はファスナーのスライダーが折れた時の交換方法にまとめました

迷ったら、スマホで刻印の写真を撮ってからお店へ行くと話が早いですよ。

直せないラインと、修理店に出す目安

  • 歯が欠けている・抜け落ちている。ファスナー本体(テープごと)の交換になります
  • 下止めや上止めが壊れている。小さな部品ですが、ここが効かないと閉まりません
  • 布地の縫い目ごとほつれている。ファスナーではなく生地側の問題です
  • 革製品、ダウンやコートなど高価なもの。自分で開ける前に、洋服のお直し店や靴修理店へ。失敗すると直せなくなります
  • 買ったばかりなら、まず購入店へ。初期不良として対応してもらえることがあります

お直し店では「歯が2つ欠けています」と症状を伝えられると見積もりが早いです。切り分けてきたことが、そのまま役に立ちます。

ゆきこ( ゚Д゚)『朝の玄関でリュックのファスナーが動かなくなって、力任せに引いて裏地を裂いた、という話はよくある失敗ですよね。落ち着いて見たら内ポケットの布が1センチ噛んでいただけ、というのもお決まりの流れで。うちの合言葉にするなら「動かない時は一回手を離す」。あの1センチのためにリュックを1つだめにするのは、もったいなさすぎます』

子どもの服やリュックが多い家なら、補修用のスライダーが数種類まとまったものを1つ持っておくと、朝の「もうだめだ」がだいぶ減ります。口コミを読んでいて、サイズ表記が分かりやすいものと、上止めの部品まで入っているものが選ばれているのだなと感じました。


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スライダーが割れた・折れた時の交換手順はファスナーのスライダーが折れた時の交換方法に、布を深く噛んでしまった時の外し方はファスナーが布を噛んで深く食い込んだ時の対処にまとめています。生地が裂けてしまった時は、ジーンズの穴の補修のやり方が同じように使えます。

まとめ:4つに切り分けてから、力を抜いて直す

  1. まずスライダーの後ろを見る。閉じていれば重いか噛んだ、開いていれば歯かスライダー
  2. 重い時は汚れを落としてから、すべりを薄く。油性は目立たない所で試す
  3. 布を噛んだら引っ張らず、来た向きへ1ミリずつ戻す
  4. 歯が外れたら下止めまで戻して入れ直す。緩みはごくわずかに挟む
  5. 力任せの往復はいちばん高くつく。だめならスライダー交換か修理店へ

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

ファスナーが開かない時の早見表:まずスライダーの後ろを見て切り分ける。後ろが閉じていれば、動きが重いか布を噛んだかのどちらか。重い時は歯の汚れを歯ブラシで落としてから鉛筆の芯、リップクリーム、ろう、シリコンのすべり剤を薄く塗る。布を噛んだ時は引っ張らず、噛んだ布をスライダーが来た向きへ少しずつ戻しながら、スライダーを1ミリずつ動かす。後ろが開いていれば、歯が外れたかスライダーが緩んだか。歯が外れたら下止め側まで戻して入れ直し、下止めが壊れていれば交換。緩みはペンチでスライダーの上下をごくわずかに挟むが、力を入れすぎると割れる。やってはいけないのは油を大量に塗る、力任せに往復させる、歯をペンチで曲げる、噛んだ布を引き抜くこと。直らない時は刻印でサイズを確認してスライダー交換、歯が欠けた物や革製品は修理店へ。子どもの服では肌を挟まないよう注意し、油性のものは目立たない所で試す

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