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朝、メガネをかけた瞬間に「なんか片方だけ下がってる」。鏡を見ると、たしかに右のレンズだけ頬に近い。夕方になると右の耳の上がじんじん痛くて、外すと赤くなっている。日に何十回もかけ外しするものだから、ちょっとの歪みでも一日中気になるんですよね。
先に、いちばん大事なことを。メガネの歪みは、自分で直していい部分がごく狭く決まっています。金属の鼻パッドを少し寄せる、つるの先の樹脂をあたためて曲げる——このあたりまで。それ以外は、無理に触ると折れたりレンズが外れたりして、かえって高くつきます。
とはいえ「どこが歪んでいるか」を自分で見分けられると、店に行った時の説明も早いですし、その場でおさまることもあります。まずは机の上でできる見分け方から見ていきましょう。
まず歪みの見分け方——平らな机に伏せて置くだけ
特別な道具はいりません。ダイニングテーブルでも、キッチンの台でも、平らな面ならどこでも大丈夫です。
- つるを開いて、レンズを下にして机に伏せて置く。左右のつるの先とレンズの下側、この4点が均等に机についていれば、大きな歪みはありません。どこか1点が浮いていたり、押すとカタカタ揺れたりしたら、そこがずれています
- 正面から見て、左右のレンズの高さをそろえて見る。目線の高さに持ち上げて、レンズの上ふちが水平になっているか。片方が下がっていたら、その側のつるか蝶番が広がっています
- 鼻あて(鼻パッド)の左右差を見る。前から見て、2つのパッドの角度と間隔がそろっているか。片方だけ外を向いていると、メガネが片側にずり落ちます
- つるの開き方を見る。両方を開いて上から見ると、ふつうは先に向かってわずかに広がるハの字。片方だけ大きく開いていたり、内側に入っていたりしないか
- かけた状態で、耳と鼻のどこが当たるか。「耳の上が痛い」「鼻の片側だけ跡が濃い」も立派な手がかりです
ここまで見ると、だいたい「つる側の歪み」か「鼻あて側の歪み」か「蝶番のゆるみ」のどれかに絞れます。原因が分かると、自分で触っていい話かどうかもはっきりしますよ。
症状から原因を探す
- 片方だけ下がる:その側のつるが下向きに曲がっているか、反対側の鼻パッドが開いていることが多いです
- ずり落ちてくる:つるが左右とも開きすぎている、または鼻パッドの間隔が広い。かける時に片手で外している人によく起きます
- 耳の上が痛い:つるの先の曲がり位置が耳より前すぎるか、締めつけが強い。長時間かけている日ほど出ます
- 鼻が痛い・跡が濃い:鼻パッドが狭すぎるか、当たる角度がとがっている。メガネ全体が重い場合もあります
- まぶたやまつげがレンズに当たる:メガネが顔に近づきすぎ。つるの角度で顔からの距離が変わります
- かけると視界が傾く・気持ち悪い:レンズの位置が本来の目の高さからずれています。ここは自分の感覚では追い込めないので、店で見てもらうほうが早いです
自分で直していい範囲——ここまでです
ここからは線引きの話です。まず、やっていいほう。
- 金属フレームの鼻パッドを、指で少し寄せる・広げる。パッドを支えている細い金属の腕は、指の力で動く程度の柔らかさです。左右の親指を当てて、ほんのわずか。0.5mmくらいの気持ちで動かして、かけて確かめて、また少し。ずり落ちるなら寄せる、鼻が痛いなら広げる
- つるの先(耳にかかる樹脂の部分)を温めて曲げる。多くのメガネはこの部分だけ樹脂でできていて、あたためると曲がります。ぬるま湯(40〜50度くらい)に10秒ほどつけるのがいちばん安全。柔らかくなったら、耳の形に沿うようにゆっくり曲げて、冷めるまで形を保ちます
- ゆるんだネジを締める。蝶番のカタカタは、たいていネジのゆるみです。メガネ用の精密ドライバーで、時計回りに軽く
- 汚れを落とす。鼻パッドの裏に皮脂がたまると滑ってずり落ちます。柔らかい歯ブラシと水で洗い、水気を拭き取るだけで、ずり落ちが止まることもあるんです
触ってはいけない範囲——ここから先は店の仕事
逆に、こちらは自分で触らないほうがいい場所です。折れる、割れる、レンズが外れる、のどれかが起きます。
- プラスチック(セルロイドやアセテート)のフレーム全体。冷えた状態で曲げると、パキッといきます。専用の温風機で全体をあたためて調整するもので、家庭のドライヤーで代わりにするのは無理があります
- ネジ穴のまわり、蝶番そのもの。ここを力任せに曲げると、金属が伸びて元に戻らなくなります。歪みを直したいときに力を入れるのは蝶番ではなく、つるの先のほう
- レンズの縁、レンズを押さえる枠。レンズにひびが入ると、破片が目に入る危険があります。ここだけは絶対にひねらない、押さない
- チタンフレームの強い曲げ。チタンは軽くて丈夫ですが、粘りが少なく、限界を超えると急に折れます。しかも折れると溶接が難しい素材です
- 跳ね上げ式、ふちなし(ツーポイント)、バネ蝶番のもの。構造が特殊なので、素人が触るところがそもそもありません
- 子どものメガネ。成長で顔の幅が変わるうえ、扱いも荒いので調整の頻度が高いです。必ず店で見てもらってください。合っていないメガネをかけ続けるのは、目の発達の面でも避けたいところです
自分でやる時の4つのコツ
- 必ず両手で持つ。片手で持って片手で曲げると、力が全部レンズと蝶番にかかります。曲げたい場所のすぐそばを、もう一方の手で支えるのが基本
- 片方ずつ、左右を比べながら。両方いっぺんに動かすと、どちらが原因だったのか分からなくなります
- 1回に動かすのはごくわずか。動かす、かける、確かめる。この往復を5回するくらいのつもりで
- 力を入れるのは蝶番ではなく先の方。てこの支点を蝶番にしないこと。ここを守るだけで折れる事故がぐっと減ります
ドライヤーを使う場合の注意も書いておきますね。熱風を近距離で当て続けると、レンズの表面のコーティングが縮んで、細かいひび模様(クラック)が入ります。これは元に戻りません。使うならレンズから離して、つるの先だけに、短く。正直なところ、ぬるま湯につけるほうが失敗しにくいです。
ネジのゆるみは精密ドライバーで——ただし締めすぎない
- ドライバーの先が合っていないと、ネジの頭がつぶれます。ネジ山にぴったり入るサイズを選んでください
- 締めるのは「止まったところ+ほんの少し」。締めすぎるとつるが開かなくなり、ネジが折れることもあります
- すぐゆるむなら、ネジのゆるみ止め(液体タイプ)を米粒より小さく。接着剤で固めてしまうと、次に外せません
- 小さなネジは子どもが飲み込む危険があります。作業は白い紙やトレーの上で、終わったら数を確認してください
- ネジをなくした、頭がつぶれた、という時は自分で粘らず店へ。合うネジを持っているのは店のほうです
いちばん早いのは、眼鏡店の無料調整に持って行くこと
ここまで書いておいてなんですが、眼鏡店に持って行くのが、いちばん早くて、いちばん確実です。専用の工具と温風機があって、顔を見ながら数分で終わります。しかも多くの店では無料で、買った店でなくても見てくれることが多いんですよね。
- 「他店で買ったものですが、調整をお願いできますか」と最初に一言。断られることもありますが、聞くのはタダです
- 症状を具体的に伝えると早いです。「右が下がる」「夕方に右耳の上が痛い」「かけると視界が少し傾く」。机で見分けたことがここで役に立ちます
- 混む時間を避けると待ちません。平日の昼間がねらい目
- 鼻パッドのゴムがすり減っている、つるの先の樹脂がひび割れている、という時は部品交換になります。ここは有料のことが多いですが、金額は店と部品で違うので、その場で確認を
- 自分でいじって曲げてしまった場合も、正直に伝えたほうが早く直ります。恥ずかしがらなくて大丈夫です
自分で直せるものを自分で直すのは気持ちがいいのですが、メガネは「歪んだまま使い続けるコスト」が高いんです。肩こり、目の疲れ、頭痛。数分で終わる調整のために店に寄る価値は、じゅうぶんあると思います。
歪ませないための扱い方
- 両手で外す。片手で外す癖は、確実に片側のつるを広げます。歪みの原因の一位はこれです
- 置くときはレンズを上に。伏せるとレンズに傷がつきます。つるをたたんで、レンズを上向きに
- ケースに入れる。カバンに裸で入れて他の荷物に押されるのが、いちばん歪みます。ハードケースが安心
- ソファやベッドに置いたまま座らない。家族の誰かが年に1回はやる、よくある失敗です
- 頭の上にかけない。頭の幅はたいてい顔より広いので、置いた瞬間につるが広がります
- 夏の車内に置き去りにしない。高温で樹脂の部分が変形しますし、コーティングも傷みます
- 洗う時はぬるま湯で。熱いお湯は変形とコーティングの傷みの原因。中性洗剤を薄めて、水気は柔らかい布で
視界の歪みと頭痛が続くなら、それは調整の話ではないかもしれません
フレームの歪みを直しても、視界が歪む、まっすぐの線が波打つ、頭痛や吐き気が続くという時は、メガネの調整の範囲を超えています。度数が合わなくなっている場合もありますし、目そのものの不調が隠れていることもあります。
「疲れているだけ」で片づけず、眼科で診てもらってください。とくに、急に見え方が変わった、片目だけおかしい、視野の一部が欠ける、といった時は早めに。メガネ店では検査しきれない部分です。
ゆきこ( ゚Д゚)『子どもに「かして」と渡したメガネが、数秒でハの字になって戻ってくる、という話はよくある失敗ですよね。眼鏡店なら1分ほどでまっすぐになることが多く、無料のところも多いので、家族に貸す前にケースに入れる、を習慣にするのがいちばんだと思います』
歪みの原因をたどっていくと、たいてい置き方と持ち運び方に行き着きます。カバンに裸で入れている人は、薄めのハードケースを1つ持つだけで、調整に行く回数がぐっと減りますよ。口コミを読んでいると「軽さ」と「かさばらなさ」で選んでいる人が多くて、自分ならまずカバンの中で場所を取らない形かどうかを見ると思います。
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「左右で感じ方が違う」という困りごとは、メガネ以外にもあります。イヤホンの左右で音量が違う時の原因は、同じように「どちら側が悪いのかを切り分ける」話です。金属の歪みを自分で直す話つながりでは、指輪の歪みを自分で直せるかも、触っていい範囲の線引きが似ています。壊れたものを直すか買い替えるかで迷ったら、マグカップの取っ手の修理もどうぞ。
まとめ:机で見分けて、触っていい所だけ触って、あとは店へ
- 平らな机に伏せて置く。浮く点、カタカタ揺れる方向が歪んでいる場所
- 自分でいいのは金属の鼻パッドとつるの先、ネジ締めまで。両手で少しずつ
- 枠全体・ネジ穴・レンズの縁は触らない。折れる、割れる、目に危険
- 眼鏡店の無料調整がいちばん早い。他店で買ったものでも見てくれることが多い
- 子どものメガネは必ず店で。頭痛や視界の歪みが続く時は眼科へ
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