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食器を洗ってくれる機械なのに、家の中でいちばん汚れているのがそこだった——扉を開けてぎょっとした経験、ありませんか。においも、なんだか下水のようで、食器がそこから出てくると思うと落ち着かないですよね。
食洗機の掃除でつまずくのは、汚れの正体が分からないと、落とすものが決まらないからです。同じ「汚れ」でも、カビと水あかでは真逆のものを使います。逆のものを使っても落ちませんし、混ぜたら危険です。
ありがたいことに、庫内の汚れは色でほとんど見分けられます。まず、ご自分の庫内がどの色かを確かめるところから始めましょう。
色でわかる、汚れの正体
| 色 | 正体 | 落とすもの |
|---|---|---|
| 黒い | 黒カビ、または排水のあたりにたまった油とカスが変質したもの | 塩素系のもの |
| ピンク・赤っぽい | ロドトルラという酵母菌(カビより前に出てくるもの) | こすり洗い+除菌 |
| 白い・ザラザラ | 水道水に含まれる成分と、洗剤の残り | クエン酸か庫内クリーナー |
| 茶色・黄ばみ | 油汚れが積み重なったもの | 庫内クリーナー、高温のコース |
| ぬるぬる・ヘドロ状 | 食べかすと油と雑菌 | 拭き取って捨てる |
ここでいちばん大事なことを先に書きます。白い汚れと、黒・ピンクの汚れは、性質が逆です。白い汚れは酸性のクエン酸で落ち、黒とピンクはアルカリ性の塩素系で落ちます。この2つを同時に使うと有毒なガスが出ます。絶対に混ぜないでください。やるなら日を分けて、作業中は必ず窓や換気扇で換気してください。
先に結論:庫内に重曹を入れて運転しないでください
「食洗機の掃除には重曹」という話をよく見かけます。けれど、多くのメーカーは重曹を使わないよう案内しています。理由は3つです。
- 溶け残る。重曹は水に溶けきらず、残った粒が回転する腕の穴や排水の通り道に詰まります
- 削ってしまう。粒そのものが研磨剤のように働き、庫内や部品に細かい傷を付けることがあります
- 泡が立つ。食洗機は「泡が立たない」前提でつくられています。泡があふれると、ドアのすき間から水が漏れる原因になります
取扱説明書に、故障の原因としてはっきり書いているメーカーもあります。「安全なもの=どこに使ってもいいもの」ではない、という一例です。
ただし、使っていい場面もあります。取り外したフィルターや部品をシンクで別に洗う時には、重曹は油をゆるめてくれる頼もしい味方です。境目は「庫内に入れて運転するかどうか」。ここだけ覚えて帰ってください。
いちばん効くのは、残菜フィルターの「下」
ここが本丸です。そしていちばん見落とされています。
フィルターを外して、目に見えるカスを捨てている方は多いです。でも、フィルターの下——その奥の受け皿や、排水口へつながる部分には、網目をすり抜けた細かいカスと油が沈んでいます。においの出どころは、たいていここです。
手順
- 電源を切り、庫内が冷めてから始める。運転直後の庫内は熱く、やけどの危険があります
- 下段のカゴを外す
- 残菜フィルターを外す(回して外す方式と、つまみを引き上げる方式があります)
- 下に残っている水を、スポンジや布で吸い取る
- 底に沈んだヘドロを、キッチンペーパーで拭き取ってから捨てる。流そうとしないでください。排水の通り道に送り込むだけです
- 細かいところは綿棒か、柄の細いブラシで
- 外したフィルターはシンクで、中性洗剤か重曹で洗う。網目は歯ブラシで両面から
- 完全に元どおりに戻す。正しくセットされていないと、カスが機械の内部へ入っていきます
ビルトイン型は、フィルターの下にさらに残菜受けや外せる部品がある機種があります。取扱説明書の「お手入れ」の図を一度見ておくと、自分で外していい範囲がはっきりします。図に載っていない部品は外さないでください。
フィルターの下に水がたまっているのは異常?
ここで不安になって調べる方がとても多いのですが、結論から言うと、多くの場合は正常です。排水の通り道にわざと水を残しておく構造の機種があります。ここが乾ききると、下水のにおいが庫内へ上がってくるからです。洗面台の下の配管が曲がっているのと同じ考え方ですね。
正常な水は、透明で、においがなく、量が毎回だいたい同じです。次の場合は疑ってください。
- にごっている、ぬめりがある、においがある … 排水がうまくいかず、残った水が傷んでいます
- 洗い終わったあと、庫内の底に水がはっきり残る … 排水がうまくいっていません
- だんだん量が増えている
「水があること」ではなく「その水の状態」で判断してください。ぬめりやにおいがある時は、詰まりが水漏れにつながることもあります。詳しくは食洗機の水漏れのほうにまとめました。
どのくらいの頻度でやればいい?
メーカーの案内は「使うたびに」としているものが多くあります。とはいえ毎日フルでやるのは続きません。カス捨ては毎回、下まで含めた掃除は週に1回。これが現実的に続くラインです。
黒い汚れを落とす
黒い汚れには、2つのパターンがあります。
ゴムやすき間に出る、黒い点々
点々と斑点になっているなら、カビです。
- 塩素系のカビ取り剤を、キッチンペーパーに含ませてゴムに貼り付ける
- 5〜10分だけ置く。長く置きすぎるとゴムが傷みます
- ペーパーを外し、十分に水拭きして、塩素を残さない
- そのあと、食器を入れずに空の運転をしてすすぐ
こすらないでください。カビは奥に根を張っているので、こすっても表面が削れるだけ。傷が付くと、次のカビがそこに定着しやすくなります。作業中は換気をして、手袋をつけてください。クエン酸やお酢と同時に使わないでください。
庫内の底や、排水口まわりの黒い堆積
べったりした黒さなら、カビではなく油とカスが酸化したもののことが多いです。これは前の章の「フィルターの下」の掃除で取り除きます。拭き取ってから庫内クリーナーを使い、高温のコースで運転すると、残りが流れていきます。
洗ったあとの食器に、黒い粒が付く場合
これは庫内の汚れではなく、部品がすり減って出た粉やかけらの可能性があります。掃除では解決しません。そのまま使い続けず、メーカーの相談窓口に連絡してください。
ゆきこ( ゚Д゚)『重曹はうちの掃除の主役ですけど、食洗機の中だけは別。「万能」と書かれているものほど、使ってはいけない場所を自分で調べておかないと危ないな、と思います』
庫内クリーナーは、メーカーが想定している方法なので迷わなくてすみます。月に1回だけ入れて回す、と決めてしまうのがいちばん続きます。
ピンク汚れを落とす
ピンク色のぬめりの正体はロドトルラという酵母菌です。お風呂でもよく見るあれですね。カビより早く出てきますが、落とすのは簡単です。
特徴は「湿気とわずかな汚れがあれば増える」こと。ぬめりの段階なら、こするだけで落ちます。スポンジと中性洗剤で十分です。
問題はそのあとで、こすっただけでは菌そのものが残るので、数日で戻ってきます。だから2段構えにします。
- まずこすって、ピンクの色を物理的に落とす
- そのあと除菌する(庫内クリーナー、または薄めた塩素系を布に含ませて拭き、しっかりすすぐ)
- 乾かす … これがいちばん効きます
再発を止める鍵は乾燥です。湿ったままなら必ず戻ってきます。運転が終わったらドアを少し開けて庫内を乾かす——これだけで、出てくる間隔がはっきり変わります。
白いザラつき(水あか)を落とす
庫内や食器が白くザラつくのは、水道水に含まれる成分と、洗剤の残りです。カビではないので、塩素系は効きません。ここは酸性のクエン酸の出番です。
- 庫内を空にする
- クエン酸を大さじ2〜3、洗剤の投入口か庫内の底に入れる
- いちばん高温のコースで運転する
- 終わったらもう一度、何も入れずに運転してすすぐ
ただし、クエン酸の使用を認めていないメーカーもあります。金属の部品を傷めることがあるためです。取扱説明書を確認して、書かれていなければ市販の「食洗機用の庫内クリーナー」を使ってください。そちらがメーカーの想定している方法です。
そして繰り返しますが、塩素系を使った直後にクエン酸を使わないでください。間に空の運転を1回はさむか、日を分けてください。
においは、掃除より運用で決まります
掃除しても数日でにおいが戻る場合、原因は「使っていない時間」にあります。
- 使い終わったらドアを少し開ける … いちばん効果があります
- 汚れた食器を長時間ためない … 庫内を置き場所にすると、そこで傷みが進みます
- 油の多い食器は、さっとお湯で流してから入れる … フィルターの下にたまる油が減ります
- 週に1回、食器を入れずに高温のコースで空の運転を
- 長く使わない時期こそ、月に1回は空の運転を … 排水側の水が乾くと、下水のにおいが上がってきます
最後の項目は見落とされがちです。旅行から帰ってきたら急に臭う、というのはたいていこれなので、出かける前と帰った日に1回ずつ回しておくと安心です。
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庫内の底に水が残る、ドアのすき間から水が出てくる——そこまで進んでいる時は、掃除ではなく漏れの話かもしれません。食洗機の水漏れで、止める順番と、自分で触っていい範囲を分けて書いています。
まとめ:色で決めて、混ぜないで、乾かす
- 汚れは色で正体が分かる。黒はカビか油、ピンクは酵母菌、白は水あか
- 塩素系とクエン酸は絶対に混ぜない。日を分けて、換気しながら
- 庫内に重曹を入れて運転しない。外した部品をシンクで洗うのはよい
- いちばん効くのは残菜フィルターの「下」。ヘドロは流さず拭き取る
- においの本命は使い終わったらドアを少し開けること
保存版:この記事の早見表
色と落とし方の対応を1枚にまとめました。

※使える洗浄剤やお手入れの方法は機種によって異なります。クエン酸や塩素系が使えるかどうかも含め、必ずお手持ちの機種の取扱説明書をご確認ください。塩素系のものと酸性のものを混ぜると有毒なガスが発生します。使用中は必ず換気してください。


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