【図解】ヨーグルトメーカーで納豆を作るときの注意点|容器の使い回しで起きること

納豆用とヨーグルト用で容器を分ける必要があることを示す図 キッチン

ヨーグルトメーカーで納豆が作れる、という話を見て試そうとしている方へ。作り方より先に知っておくべきことがあります。

納豆を1回作ると、その後しばらく、同じ道具でヨーグルトが作れなくなることがあります。これは器具が壊れるという話ではなく、菌の性質の問題です。ここを知らずに作ると、後日「なぜかヨーグルトが固まらない」という別の悩みに変わります。

なぜ納豆だけ特別扱いなのか

納豆菌は、発酵食品を作る菌のなかでも群を抜いて強い菌です。理由は2つあります。

① 芽胞(がほう)を作る

納豆菌は、環境が悪くなると芽胞という殻をかぶった状態になります。この状態になると、乾燥にも熱にも強くなります。普通に洗剤で洗っただけでは落ちきらず、熱湯をかけた程度でも生き残ることがあります。

そもそも納豆の作り方が「大豆を蒸してから納豆菌をかける」という手順で成立するのは、蒸したあとの熱でも納豆菌が死なないからです。強さが前提の菌なのです。

② 増える温度が、ヨーグルトとほぼ同じ

納豆菌がよく働くのは40〜45℃。ヨーグルトの乳酸菌は40〜43℃ほぼ同じ温度帯です。

つまり、容器や器具にわずかに残った納豆菌は、次にヨーグルトを作ろうとしたときに「自分にとっても最適な温度」で一緒に増え始めます。そして増える速度は納豆菌のほうが速い。結果として、乳酸菌が優勢になれず、固まらない・糸を引く・においがおかしいという状態になります。

どこまで分ければいいか
▲ 本体まで分ける必要は通常ない

分けるべきものの範囲

「容器を分ける」だけでは足りないことがあります。納豆菌が触れたものをすべて洗い出してください。

対象 扱い
容器(本体・ふた) 完全に分ける。納豆専用にする
かき混ぜるスプーン・菜箸 分ける。ここが一番忘れられる
大豆を蒸したザル・ボウル 使用後に十分に洗浄。可能なら分ける
ふきん・スポンジ 納豆を洗ったスポンジを他の食器に使わない
本体(保温する機械そのもの) 基本は共用でよい。ただし中身がこぼれたら必ず拭く

本体まで分ける必要は通常ありません。納豆は容器の中で発酵するので、こぼしていなければ本体の内側に納豆菌が大量に付くことはないためです。ただし吹きこぼれや汁だれがあった場合は、その場で拭いてください。

それでも共用したい場合にできること

容器を2つ用意するのが確実ですが、どうしても1つで回したい場合の現実的な手順です。「確実」ではなく「確率を下げる」方法だと理解して使ってください。

  1. 使用後すぐに洗う。乾いて固まると、その中の菌が落ちにくくなります
  2. ぬめりを完全に落とす。納豆のねばりはたんぱく質由来で、残っていると菌も残っています
  3. 煮沸する(耐熱容器の場合)。芽胞には完全ではありませんが、数を減らせます
  4. 塩素系漂白剤に浸け置きする。芽胞に対しては熱より有効とされます。容器の素材が対応しているか確認のうえで行い、そのあと十分にすすいでください
  5. 完全に乾かす

それでも次のヨーグルトが失敗したら、容器を分ける以外に手はありません。100均の容器でも条件を満たせば使えるので、専用容器を1つ増やすほうが結果的に安上がりです。

混同されやすい話:「納豆とヨーグルトは一緒に食べてはいけない」との違い

この話題を調べていると、「納豆とヨーグルトを一緒に食べてはいけない」という説に行き当たります。ここまで読んだ内容と混ざりやすいので、切り分けておきます。

この2つはまったく別の話です。

この記事で書いてきたこと 「一緒に食べてはいけない」説
場面 作るとき(容器・器具) 食べるとき(お腹の中)
問題 納豆菌が残っていると、次のヨーグルトが固まらない 菌同士が打ち消し合うのでは、という説
確からしさ 実際に起きる そこまでの根拠はない

器具の使い回しで発酵が失敗するのは、容器という閉じた空間で、片方の菌が一気に増えるからです。食べるときの体内は環境がまったく違い、同じことは起きません。納豆とヨーグルトを一緒に食べること自体を避ける必要はないと考えてよいでしょう。

気をつけるべきなのは、口に入れる前——作る段階だけです。

納豆を作るときの温度と時間の目安

項目 目安
発酵温度 40〜45℃
発酵時間 20〜24時間
発酵後 冷蔵庫で半日〜1日ねかせると味が落ち着く

ヨーグルトの感覚で8時間で止めると、発酵不足になります。納豆は時間がかかる部類です。

食べてはいけない失敗のサイン
▲ 成功と失敗は見た目が似ていることがある

作るときの注意点(衛生面)

① ふたを密閉しない

納豆菌は酸素を必要とします。完全に密閉すると発酵が進みません。ふたを軽く乗せるか、ラップにつまようじで穴を開けるなど、空気が通る状態にします。

逆にふたを外して完全に開けっぱなしにするのは避けてください。乾燥と、ほこりや他の菌の混入が起きます。

② 大豆は「蒸してすぐ」熱いうちに菌をかける

納豆菌は熱に強いので、大豆が熱いうちにかけて構いません。むしろ熱いうちにかけるほうが、他の雑菌が入りにくくなります。冷めてから室温に置いた大豆は、雑菌が増える条件になります。

③ 種菌の扱い

市販の納豆を種にする場合、ごく少量で足ります。入れすぎても早くなりません。市販の納豆用種菌(粉末)を使うほうが、量の管理は簡単です。

④ 失敗したときの見分け方 ★重要

手作りの発酵食品は、成功と失敗の見た目が似ていることがあります。次のどれかがあれば食べないでください。

  • 糸を引かない(発酵していない。ただ室温に置かれた大豆になっています)
  • アンモニア臭が異常に強い(発酵しすぎ。食べられないことはありませんが、味は厳しい)
  • ピンク・緑・黒などの色が付いている(別の菌やカビ)
  • 酸っぱいにおいがする
  • ぬめりの質が違う、水っぽい

「糸を引いていない大豆」は納豆ではありません。納豆菌が優勢になれなかったということは、代わりに何かが増えている可能性があるということです。もったいなくても処分してください。

においが本体や部屋に残ったとき

24時間発酵させるので、においは想像より広がります。対策は3つです。

  • 作る場所を選ぶ … 寝室や、においがこもる部屋は避ける。換気できる場所に置く
  • 本体の内側を拭く … 電源を抜き、冷めてから固く絞った布で。本体は水洗いできません
  • 樹脂容器のにおいは落ちにくい … これも「容器を分けたほうがいい」理由の1つです。ガラス容器はにおいが移りにくく、この点で有利です

まとめ

  • 納豆菌は芽胞を作って熱と乾燥に耐え、増える温度がヨーグルトとほぼ同じ
  • だから納豆を作った容器・スプーンでヨーグルトを作ると、固まらないことがある
  • 容器とかき混ぜる道具は分ける。本体まで分ける必要は通常ない
  • 共用するならすぐ洗う→ぬめりを落とす→煮沸か塩素系→完全乾燥。ただし確実ではない
  • 「一緒に食べてはいけない」説とは別の話。問題になるのは作る段階だけ
  • 納豆は40〜45℃で20〜24時間。ヨーグルトの感覚で止めると発酵不足
  • 密閉しない(酸素が必要)。ただし開けっぱなしにもしない
  • 大豆は蒸してすぐ熱いうちに種菌をかける
  • 糸を引いていないものは食べない。色が付いている・酸っぱいも同様

※機種によって納豆作りに対応していない場合があります。実際に作る前に、お手持ちの機種の取扱説明書をご確認ください。手作りの発酵食品は市販品と違い衛生管理が個人に委ねられます。少しでも異常を感じた場合は食べずに処分してください。

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