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レシピに「すりごま大さじ2」。すり鉢は、ない。——この場面、実はけっこう多いですよね。すり鉢は場所を取るわりに出番が少なくて、持っていないご家庭のほうが今は多数派かもしれません。
先に大事なことをひとつ。すり鉢の代用は「何をすりたいか」で正解の道具が変わります。ごま・くるみ・茶葉・離乳食では、材料の硬さも油分も量もまったく違うからです。この記事では「すりたい物」から道具を逆引きできるように、順番にまとめていきます。
すり鉢の代用でごまをする:ポリ袋+めん棒が本命です
検索でいちばん多いのが「ごま」。そして、ごまがいちばん代用しやすい材料でもあります。
やり方はシンプルで、厚手のポリ袋に炒りごまを入れ、空気を抜いて口を閉じ、上からめん棒を転がすだけ。めん棒がなければ、ラップの芯や、乾いた瓶の側面でも代わりになります。袋の中で作業するので、ごまが飛び散らず、すり鉢より片付けがラクという声もあるくらいです。
ここでひとつ、仕組みの話を。ごまは硬い皮の内側に油分と香り成分を抱えています。皮がつぶれた瞬間に油がにじみ出て、香りが立つ——これが「すりごま」の正体です。だから市販のすりごまを買い置きするより、食べる直前につぶすほうが香りは段違い。袋とめん棒で十分その恩恵が受けられます。
転がす回数で仕上がりが変わるのもポイントです。軽く転がせば半ずり、しっかり転がせばしっとりした細かいすりごまに。さらに続けると油が回って全体がねっとりし、すりごまとねりごまの中間のようなペーストに近づいていきます。和え物なら半ずり、担々スープ風ならしっかりめ、と料理に合わせて止めどころを選べます。
ゆきこ( ゚Д゚)『すりごまを切らした時ほど、袋ごまの香りに助けられるのよね』
量が多い時や毎回のことなら、ミルサー(小型のミル付きミキサー)が数秒で終わらせてくれます。ただし回しすぎるとあっという間にペースト化するので、1〜2秒ずつ様子を見ながらが合言葉です。
ひとつだけ注意点を。袋の口をしっかり閉じずに転がすと、勢いでごまが噴き出すことがあります。空気を抜いてから口をねじり、袋の口を手で押さえて転がすと安心です。薄手のポリ袋しかない場合は、二重にすると破れにくくなります。すったごまは香りが飛びやすいので、その日に使う分だけつぶすのがいちばんおいしい使い方です。
くるみ・ナッツの代用:袋に入れて瓶の底で叩く
くるみ和えを作りたいのにすり鉢がない——この場合は、するより叩くほうが早くてきれいに仕上がります。
くるみはごまと違って粒が大きく、油分が多くて柔らかい木の実です。すり鉢ですると溝に張り付いてしまい、実は本家のすり鉢でも扱いにくい材料。厚手の袋に入れて、瓶の底やめん棒の側面でトントンと叩くと、粗めから細かめまで好みの加減で砕けます。和え衣にするなら、細かく叩いたあとに砂糖としょうゆを袋の中へ直接加えて、袋の上からもみ込めば、洗い物ほぼゼロで衣が完成します。
叩く前にひと手間かけるなら、フライパンで1〜2分から炒りするのがおすすめです。くるみは油分が多いぶん湿気を吸いやすく、炒り直すと香ばしさが戻って、砕けやすくもなります。ほうれん草のくるみ和え、白菜のサラダのトッピング、パウンドケーキの生地に混ぜ込む——用途によって「粗く5回叩く」「細かく20回叩く」と加減を変えられるのは、袋叩き方式ならではの気楽さです。
ペースト状まで持っていきたい時はミルサーやフードプロセッサーの出番ですが、少量だと刃が空回りしやすいので、ある程度まとまった量で回すのがコツです。
安全メモ:ナッツ類は、細かく砕いても乳幼児には誤嚥(ごえん)の心配が残ります。粒が気道に入ると重い事故につながるため、5歳以下のお子さんには砕いたナッツでも注意が必要です。消費者庁も節分の豆などと合わせて注意を呼びかけています。
すり鉢の代用で茶葉を粉にする:ミルサーが本命です
緑茶の茶葉を粉末にして料理やお菓子に使いたい、というご相談。これは正直にお伝えすると、手作業でのすりつぶしがいちばん難しい材料です。
茶葉は軽くて硬く、繊維質。すり鉢に入れても粒が逃げ回るばかりで、力が伝わりません。本来、抹茶は石臼で時間をかけて挽くもの。あのなめらかさを台所で再現するのは、道具の性質上むずかしいのです。
現実的な選択肢は2つです。ひとつはミルサー(乾物対応のもの)で数十秒回すこと。完全な抹茶にはなりませんが、ふりかけやクッキー生地に混ぜる粉末茶としては十分な細かさになります。茶葉がしけっていると粉になりにくいので、乾いた茶葉を使うのがコツです。もうひとつは、最初から「粉末緑茶」として売られている商品を使うこと。急がば回れですが、仕上がりの安定感はこちらが上です。
ちなみに、ミルサーで挽いた粉末茶にはもうひとつうれしい効果があります。お茶を淹れて飲むと茶殻に残ってしまう成分(脂溶性のビタミンや食物繊維)も、粉ごと食べれば丸ごと摂れること。ふりかけやヨーグルトに小さじ1混ぜる使い方なら、多少粒が粗くても気になりません。緑茶だけでなく、ほうじ茶を挽いてクッキーやラテに使うのも香りがよくおすすめです。
すり鉢の代用で離乳食:茶こし+スプーンの裏ごしが少量に強い
離乳食の初期は「10倍がゆを小さじ1」のような世界。この少なさこそが、道具選びのカギになります。
おすすめは茶こしにゆでた野菜やおかゆをのせ、スプーンの背で押しつぶす「裏ごし」。網目が繊維を受け止めてくれるので、すり鉢よりなめらかに仕上がりますし、小さじ1からでも無駄なく作れます。にんじん・かぼちゃ・じゃがいもなど、やわらかくゆでた野菜なら大半はこの方法でいけます。
ブレンダーやフードプロセッサーは、まとめて作る時には頼れる存在です。ただし刃が材料に届く量(目安として100ml前後〜)がないと空回りするため、毎食その場で少量、なら茶こし。週末にまとめて、ならブレンダーという使い分けがしっくりきます。まとめて作った分は、製氷皿に小分けして凍らせておくと、1回分ずつ取り出せて便利です。
月齢が進んで「なめらかなペースト」から「少し粒の残るつぶし加減」へ移る時期になると、今度はフォークの背やマッシャーで足りるようになります。つまり、裏ごしの道具が本当に必要な期間は意外と短いんです。この時期のためだけに専用調理セットを揃えるかどうかは、茶こし方式を試してから決めても遅くありません。
安全メモ:離乳食は衛生が最優先です。赤ちゃんは大人より抵抗力が弱いので、茶こし・スプーン・ブレンダーの刃は使う前に熱湯をかけて消毒し、まとめて作った分は粗熱を取ってすぐ冷凍、1週間程度を目安に早めに使い切るようにしてください。常温放置と冷蔵の長期保存は避けたいところです。
すり鉢の代用にブレンダーは使える?——得意な場面と苦手な場面
「ブレンダーがあればすり鉢は要らないのでは?」という疑問、半分正解で半分惜しい、が答えになります。
得意な場面は、ある程度の量をペーストやポタージュにする作業。ゆで野菜のスープ、バジルソース、まとめて作る離乳食などは、すり鉢よりずっと速くなめらかに仕上がります。
苦手な場面は、大さじ1〜2の少量。刃はカップの底から少し浮いた位置で回っているので、材料が少ないと刃の下をすり抜けて、いつまでも粒が残ります。すりごま大さじ2のためにブレンダーを出すと、砕けないうえに洗い物だけ増える、という結果になりがちです。少量はポリ袋+めん棒、量があるならブレンダー——ここが分かれ目です。
もうひとつの違いは「仕上がりの方向」です。ブレンダーの刃は材料を切って細かくする道具、すり鉢の溝は材料を押しつぶして油分や粘りを引き出す道具。同じ細かさでも、切ったごまと押しつぶしたごまでは香りの立ち方が変わります。細かくしたいだけならブレンダー、香りや粘りを引き出したいなら「つぶす系」の代用、と覚えておくと道具選びで迷いません。
なお、ハンドブレンダーとハンドミキサー、ミルサーは名前が似ていて役割が違う三兄弟です。それぞれ何が得意なのかはハンドブレンダーでメレンゲが作れない理由とハンドミキサーがない時の代用で整理しているので、道具選びに迷ったらのぞいてみてください。
どうしても「する」食感が要る料理:とろろ・白和えはどうする?
最後に、代用がいちばん悩ましいケースを。とろろや白和えのように、「すった」なめらかさそのものがごちそうの料理です。
すり鉢の本当の仕事は、細かくすることではなく、溝で繊維を切りながらつぶし、空気を含ませてふんわりさせること。ここがミキサー類との決定的な違いで、とろろをブレンダーにかけると空気を含みすぎて泡っぽくなったり、粘りの糸が切れて水っぽくなったりします。
代用するなら、目の細かいおろし金でおろしてから、箸やスプーンでよく練るのが近道です。おろし金の目が細かいほど、すり鉢仕立てのなめらかさに近づきます。白和えの豆腐なら、茶こしやざるで裏ごししてから和え衣に。それでも「あのふわとろ」を頻繁に食べたくなったら——それはもう、小さなすり鉢を一つ迎え入れるサインかもしれません。直径10cmほどのミニすり鉢なら、場所も取らず離乳食にも使い回せます。
在庫メモ
まとめ:すりたい物から道具を逆引き
- ごまはポリ袋+めん棒。転がす回数で半ずり〜ねりごま寄りまで調整できる
- くるみは袋に入れて瓶の底で叩く。ただし5歳以下は砕いたナッツでも誤嚥に注意
- 茶葉はミルサーが本命。手ですりつぶすのは難しく、粉末緑茶を買うのも立派な正解
- 離乳食は茶こし+スプーンの裏ごしが少量に強い。道具は熱湯消毒、作り置きは冷凍で早めに
- ブレンダーは量があるペースト向きで少量が苦手。とろろ等の「する」食感はおろし金+よく練るで近づける
保存版:この記事の早見表
「すりたい物→道具」の逆引きを1枚の画像にまとめました。スマホに保存しておくと、台所ですぐ見返せます。


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