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そろそろ加湿器を出そうかな、と押し入れから引っぱり出してタンクをのぞいたら、内側の底のあたりがうっすらピンク。指でなでると、ぬるっとする。お風呂の床の隅で見るあの色と同じですよね。「これ、去年の水が残ったままだった……」と気づいた瞬間の、あのなんとも言えない気持ち。この時期、同じ声を本当によく聞きます。
先に結論をひとつ。加湿器のピンクは黒いカビとは別物で、落とし方も違います。じつはこのピンク、こすればわりと簡単に落ちます。落ちにくいのは黒い点のほうで、そちらはまた別の対処になるんです。ピンクの正体から、洗い方、よく見かける「10円玉を入れる」話まで、順番に見ていきましょう。まだ本格的に使い始める前の今こそ、洗っておく絶好のタイミングですよ。
ピンクの正体——じつはカビというより「膜」です
あのピンク色、水回りに広くいる酵母のなかまや菌が、水と栄養のある場所で増えて、ぬるっとした膜になったものと言われています。空気中にいるごく当たり前のもので、水があって、少し栄養があって、しばらく動かない場所があれば、数日で出てきます。加湿器のタンクの底は、まさにその条件がそろっているんですよね。
- 色はピンク〜オレンジっぽい赤。表面がぬるっとしている
- 指やスポンジでこすると、わりとすぐ落ちる。根を張っていないので、物理的にこそげ落とせます
- ただし増えるのが早い
- 黒い点とは別物。黒いほうは奥まで入り込んでいて、こすっても落ちません。プラスチックの表面に点で残る黒は、漂白でも取り切れないことがあります
- 白くてざらざらした汚れは、また別で水垢。こちらは水に含まれるミネラルが固まったものです
つまり、タンクの中にはピンクのぬめり・黒い点・白い水垢という性質の違う3種類が混ざっていることがあって、それぞれ効く方法が違う、ということ。ここを分けて考えると、掃除がぐっと楽になります。
ピンクのぬめりの落とし方——手順はこの5つ
作業の前に、電源プラグを抜いてください。加熱式(スチーム式)の加湿器は、内部が熱くなっています。完全に冷めてから始めてくださいね。急いで開けると、蒸気や熱いお湯でやけどをします。
- 水を全部捨てて、外せるパーツを外す。タンク、フタ、受け皿(トレー)、フィルター、吸気口のカバー。ここで大事なのは、取扱説明書に「外せる」と書かれている範囲までにすること。機種によって分解できる所は全然違いますし、無理に外すと元に戻らなかったり、水漏れの原因になったりします
- 薄めた中性洗剤とスポンジで、なでるようにこする。ピンクはこれでほとんど落ちます。研磨剤入りのスポンジや金属たわしは、傷が付いてそこに汚れがたまるので使わないでください。細い所は柔らかいブラシで
- 落ちにくい所は、酸素系漂白剤でつけ置き。表示どおりの濃さのぬるま湯に、30分〜1時間。パーツが浸かるサイズの洗い桶があると楽です。つけ置きできない素材もあるので、ここも取扱説明書を先に見てください
- とにかくよくすすぐ。洗剤や漂白剤が残ると、それが部屋に出ていきます。流水で、指でなでながら、いつもの倍の時間をかけて。ここは省略しないでください
- 完全に乾かす。ふきんで拭いてから、風の通る所に伏せずに広げて置く。乾いていない状態で組み立てると、その日からまたピンクが育ちます
この5つで、タンクのピンクは終わりです。1シーズン放置していた場合や、においまで出ている場合はもう少し手がかかるので、加湿器の臭いと、放置してしまった時の掃除のほうにまとめました。
クエン酸で落ちない理由——道具の使いどころが違うだけ
加湿器の掃除といえばクエン酸、というイメージがありますよね。ただ、クエン酸が得意なのは白い水垢のほうなんです。
いっぽうピンクのぬめりは菌の膜で、性質が違います。だからクエン酸につけても、思ったほどきれいにならない。「クエン酸でやったのに落ちない」と感じたら、それは失敗ではなくて、道具の担当が違っただけなんですよね。使い分けはこう覚えておくと迷いません。
- 白いざらつき・かたい膜(水垢)……クエン酸。表示どおりに薄めて、つけ置き
- ピンクのぬめり……薄めた中性洗剤でこする。落ちなければ酸素系でつけ置き
- においが残る……酸素系でつけ置き。それでも取れないならフィルターの交換を検討
そして、ここは何度でも書きます。塩素系のもの(カビ取り剤・塩素系漂白剤)と、酸性のもの(クエン酸・お酢)を一緒に使ったり、続けて同じ場所に流したりしないでください。混ざると危険なガスが出ます。加湿器の掃除は洗面所やお風呂でやることが多いので、「今日はクエン酸の日」「今日は塩素系の日」と、日を分けるくらいの意識でちょうどいいと思います。そもそも加湿器のタンクに塩素系を使うのは、素材が傷むこともあるので、取扱説明書で認められていない限り避けるのが安心です。
「10円玉を入れると、ぬめりが出ない」は本当?
加湿器やお風呂の話題でよく見かけますよね。銅には菌の増殖を抑える働きがあると言われているので、まったくのでたらめというわけではありません。ただ、実際の加湿器で使うとなると、こんな所が引っかかります。
- 硬貨は、たくさんの人の手を渡ってきた物です。それを、部屋に霧を出す水の中に入れることになります。気持ちの面でも、衛生の面でも、私はおすすめしません
- 効き方が読めない。水の量や水温、タンクの形で結果が変わるので、「入れたから安心」とは言えません
- 掃除をしなくてよくなるわけではない。ここが一番大事なところ。入れても、水を替えず洗わなければ、やっぱりぬめります
- 小さな子どもがいる家では、口に入れる危険があります。タンクの中に硬貨があるのを見つけて、取り出そうとする子はいます
結局のところ、水を毎日替えて、週に1回洗う。これが一番確実で、一番安上がりです。
部位別の掃除——タンクだけでは終わりません
タンクをきれいにしても、ピンクやにおいが戻ってくる時は、たいてい別の場所が残っています。
- タンク……いちばん目につく所。中性洗剤とスポンジで。口が狭い物は柔らかいブラシで
- 受け皿(トレー)……ここが本命と言っていいくらい、ぬめりがたまる場所。常に水が触れていて、空気にも触れています。細かい溝が多いので、細いブラシがあると本当に楽です
- 吸気口・送風口……ほこりがたまります。乾いた状態で、ブラシや掃除機で吸う。濡らすと取りにくくなります
- フィルター……気化式のフィルターは、水垢とぬめりの両方がつきます。クエン酸で水垢、酸素系でぬめり、と分けて処理。硬くなった、においが取れない、形が崩れた物は交換の時期です。取り換えの考え方は浴室乾燥機のフィルターの話とほぼ同じです
- 本体の外側と、置いている床……加湿器の周りは湿ります。床や壁が湿ったままだと、そちらにカビが出ることも。時々ふいて、風を通してください。空気を回す道具の掃除は分解できない送風機の掃除の仕方にまとめています
毎日の一手——これだけでピンクは出にくくなります
- 水は継ぎ足さない。残った水に足すのが、いちばんぬめりを育てます。使い切ってから、洗って、新しい水を入れる
- 水は毎日替える。「昨日の残りだしもったいない」は禁物です。捨てる勇気
- 入れるのは水道水。取扱説明書に指定がなければ水道水で。浄水やミネラルの入った水より傷みにくいと言われます
- 使わない日は空にして乾かす。出かける日や暖かい日は、水を捨ててフタを開けておく
- 週に1回、受け皿まで洗う。日曜の朝に、と決めてしまうと続きます
- シーズンが終わったら完全に乾かしてしまう。濡れたまま袋に入れると、来年ピンクどころではない状態で出てきます
それから、健康の話も一言だけ。カビや菌の話になると不安になりますが、「加湿器のカビが原因でこうなる」と私が言い切ることはできません。ただ、せきが続く、息苦しさがある、朝だけ調子が悪いといった状態が続くようなら、掃除と並行して、早めにお医者さんに相談してください。特にお子さんや、ぜんそくのある方がいるご家庭では、我慢せずに受診を。湿った物のカビ全般についてはすだれのカビの落とし方でも同じ考え方を書いています。
ゆきこ( ゚Д゚)『片づけを急いで、タンクの水を少し残したまましまい、9月に開けたら受け皿の隅がしっかりピンク、という話は本当によく聞きます。時間がない日に限って洗面所で一人でこするはめになるんですよね。しまう前に「タンク、受け皿、フィルター」と声に出して確認する、くらいでちょうどいいと思います』
掃除でいちばん差が出るのは、じつは道具です。受け皿の溝とタンクの口に届く細いブラシが1本あると、5分で終わる作業が本当に5分で終わります。柄が長い物と、先が細い物がセットになっているタイプが便利ですよ。
あわせて読みたい
においまで出ている、1シーズン放置してしまった、という時は加湿器の臭いと、放置してしまった時の掃除のほうが詳しいです。フィルターの考え方は浴室乾燥機のフィルターの話、送風する家電の掃除は分解できない送風機の掃除の仕方もあわせてどうぞ。
「いっそ漂白剤でつけ置きしたい」と思った方は、その前に読んでください。加湿器のフィルターにハイターは使える?に、混ぜてはいけない組み合わせと、メーカーが何と言っているかをまとめました。
まとめ:ピンクはこすれば落ちる、大事なのは戻さないこと
- ピンクは菌の膜。黒い点や白い水垢とは別物で、こすれば落ちます
- 手順は中性洗剤でこする→落ちなければ酸素系→よくすすぐ→乾かす
- クエン酸は水垢の担当。ピンクには向きません。使い分けを
- 塩素系と酸性のものは混ぜない。分解は取扱説明書の範囲まで
- 10円玉より水を毎日替える。継ぎ足さない、が一番効きます
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手順を1枚にまとめました。



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