※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれています。
オーブンのタイマーが鳴った、鍋がふきこぼれそう、というその瞬間に限って、鍋つかみが見当たらない。引き出しをがさがさ探しても出てこなくて、目の前のふきんに手が伸びる——この場面、覚えのある方は多いと思います。焼きあがったグラタンを前に、洗いかごの濡れたふきんをつかみかけて寸前で手を止めた、という話もよく聞きます。
先に、この記事でいちばん伝えたいことを書きます。濡れた布は絶対に使わないでください。乾いた布なら空気が熱をさえぎってくれますが、水は熱をまっすぐ手に運びます。しかも布の中の水がお湯になって、そのまま皮膚にあたる。「熱い」と感じてから離すのでは間に合わないくらい、あっという間にやけどします。乾いた布とは、まったく別物と思ってください。
そのうえで、家にあるもので安全に代わりになるもの、絶対に避けたいもの、手作りする時の中身、そして重い鍋をどう扱うか。順番にお話ししますね。
まず結論:濡れた布が危ない理由をもう少しだけ
布が熱をさえぎってくれるのは、繊維の間にたくさんの空気が入っているからなんです。空気は熱を伝えるのがとても苦手。だから厚手の乾いた布は、しっかりした壁になります。
ところが、そのすきまが水で埋まると話が変わります。水は空気よりずっと熱を伝えやすいので、壁ではなく道になってしまうんですね。さらに熱い鍋に触れた水は一瞬で高温の湯や蒸気になり、布ごしに手をおおいます。乾いていれば少し熱いだけの温度でも、濡れていれば大きなやけどになる。これが「濡れたふきんはだめ」と繰り返し言われる理由です。
ちなみに、少し湿っているだけでも同じことです。洗って干した直後のタオル、汗ばんだ手、雨の日の生乾き。「乾いているつもり」がいちばん危ないので、使う前にほおに当てて、ひんやりしないか確かめる癖をつけると安心です。
今すぐの代わりになるもの——家にあるもので
- 乾いた厚手のタオルを、二つ折り以上にたたむ。いちばん現実的な代わりです。バスタオルなら四つ折り、フェイスタオルなら重ねて厚みを出す。厚みは指が熱を感じない程度、目安として2cm以上あると安心感が違います。持つ時は、鍋のふちを布ごしにつまむのではなく、手のひら全体でふんわり包むようにするとすべりにくいです
- タオルをミトンの形に折る。長いタオルを手の甲側までかぶせて、親指の位置で折り返すと、手首も守れます。手首の内側は熱に弱くて痛みやすい所なので、ここが隠れると安心です
- 綿の厚手の布。使わなくなったデニムを重ねたもの、綿のひざかけ、厚手のエプロンの前掛け部分。素材が綿で、厚みがあって、乾いていること。この3つが条件です
- 耐熱のシリコン製のもの。シリコンのマットや落とし蓋を折って持つのは、短い距離ならありです。ただし柔らかい分、鍋の重さが指に集中しやすいので、重い鍋には向きません
- 菜箸やトングで支えを足す。片手で鍋つかみの代わりを持って、もう片方で道具を添えると安定します。フライ返しの代用の記事にも書きましたが、支える道具があるだけで、無理な持ち方をしなくてすみます
やってはいけない代用——安全に関わるので、はっきり書きます
- 濡れたふきん・湿ったタオル。冒頭のとおりです。「少しだけ」も含めて、使わない
- 軍手を2枚重ねる。よく言われる方法ですが、鍋つかみの代わりにはなりません。指が別々に分かれている形は、熱い所に指先が直接あたりやすく、しかも2枚重ねると厚みが増える分、鍋の位置や重さが手に伝わりにくくなります。感覚が鈍くなった状態で重いものを持つのは、落とす原因です。それに軍手には化繊の混じったものが多く、次の項目にもつながります
- 化繊のタオルやひざかけ、フリース。手ざわりのいい素材ほど、熱で溶けることがあります。溶けた繊維が肌にはりつくと、やけどが深くなってしまう。洗濯表示を見て、綿かどうかを確かめるのがいちばん確実です。分からなければ使わない
- ビニールやポリの袋、ラップ。すぐに溶けます。論外です
- 新聞紙・チラシ・厚紙・キッチンペーパー。燃えます。インクの心配もあります
- 服のすそ、エプロンの端を引っぱって持つ。とっさにやりがちですが、体に着ているものは引っぱると姿勢が崩れます。鍋を持ったまま体勢を崩すのが、いちばん危ない
- 薄いハンドタオル1枚、ハンカチ。厚みが足りず、数秒で熱が抜けてきます。「持てた」と思った次の瞬間に熱くなるので、途中で手を離すことになります
手作りする時、中に入れるもの
時間のある時に作っておくなら、鍋つかみは縫うものの中でもかなり簡単な部類です。ポイントは中身、つまり間にはさむ厚みのある素材をどうするか。
- キルト芯。手芸の材料として売られている、ふわっとした綿状のシートです。1枚では薄いので2〜3枚重ねるのが基本。表布と裏布ではさんで、四辺を縫うだけで形になります
- 厚手のフェルト。切りっぱなしでほつれないので、初めて作る方にはこれがいちばん楽です。こちらも重ねて厚みを出します
- 古いタオル。使い古したフェイスタオルを3〜4枚に折って中に入れる方法。中身を買わずにすみますし、厚みも十分。私はこれが多いです
- 表と裏の布は綿を選ぶ。中身が綿でも、外側が化繊だと熱で溶けます。使わなくなったシーツやデニム、綿の古着が向いています。座布団カバーを作った時の余り布があれば、それで十分足ります
逆に、手芸用の綿(わた)をふわっと薄く詰めただけのものは向きません。使ううちに片寄って、薄い所ができてしまうからです。詰め物を使うなら、キルティングのように何か所か縫い留めて、動かないようにしてくださいね。作ったら、まずぬるめの鍋で試してから。いきなりオーブンの天板で本番、はやめておきましょう。
重い鍋・取っ手のない鍋を持つ時
ここが、鍋つかみの代用でいちばん事故になりやすい場面です。厚手の鋳物鍋や土鍋、オーブンから出す取っ手のない器は、代用の布ではなく両手用のミトンや、しっかりした鍋つかみを2枚使ってください。
- 置く場所を先に空けておく。持ち上げてから置き場所を探すのが、いちばん危ない動きです。鍋敷きも先に出しておく。手持ちの鍋敷きが足りない時は鍋敷きの代用と作り方にまとめています
- 運ぶ距離は短く。コンロからテーブルまで歩くより、いったん近くの台に置いて持ち直すほうが、ずっと安全です
- 脇をしめて、体に近づけて持つ。腕をのばして持つと、重さが何倍にも感じられます
- 「すべるかも」と思ったら、そこで置く。がまんして運ぶ理由は何もありません。落とした鍋の中身は足元に落ちます。素足やサンダルだと、そのまま足のやけどになります。台所ではくつ下やスリッパを、というのはこういう理由もあるんです
- 足元を片づけてから動く。床に買い物袋、いすが出ている、子どもがしゃがんでいる。持ち上げる前に一度、床を見てください
子どもにはやらせない場面
お手伝いをしたがる年ごろだと、「鍋を運ぶ」と言い出しますよね。小学生の男の子がいる家だと、張り切って手を出してくるものですよね。でも、熱い鍋を運ぶことだけは、大人がやると決めています。
理由は単純で、子どもは手が小さくて、布の中で鍋のふちが指にあたりやすいのと、熱いと感じてから離すまでが速いから。反射で手を離した先に、熱いものが落ちるのがいちばん怖いんです。お手伝いをお願いするなら、鍋敷きを置く係、テーブルを拭く係、菜箸を並べる係。ここなら安全ですし、本人もちゃんと役に立った気分になります。
もしやけどをしてしまったら、すぐに流水で冷やすのが基本です。服の上からお湯がかかった時は、無理にはがさず服の上から冷やします。水ぶくれができた、範囲が広い、痛みが強い、子どものやけどという時は、冷やしながら早めに医療機関へ。素人判断で薬や食べ物を塗るのはやめてくださいね。
ゆきこ( ゚Д゚)『洗ったばかりのふきんで熱い鍋のふたをつかんで指の腹をやけどした、という話は本当によく聞きます。ジュッという感じすらなくて、じわっと熱が来て、気づいた時には赤くなっている。うちで対策するなら、シンクの近くに乾いた鍋つかみを吊るす場所を作ります。危ないのは道具がないことより、「その辺のもので済ませる」瞬間なんだと思います』
とはいえ、いざという時に代用を探さずにすむのがいちばんです。手首まで隠れる長めのミトンと、片手でつまむ小さめのものを1組ずつ、コンロのすぐ手が届く所に。これだけで、台所のひやっとする場面がずいぶん減りますよ。
あわせて読みたい
熱い鍋を置く場所も一緒に用意しておくと安心なので、鍋敷きの代用と作り方もどうぞ。縫うのが初めてならファスナーなしの座布団カバーの作り方が練習になります。調理中の道具が足りない時はフライ返しの代用になるものも参考にしてみてください。
まとめ:乾いた厚手の綿だけ、濡れた布は使わない
- 濡れた布は絶対に使わない。水が熱を伝えて、一瞬でやけどします
- 代わりになるのは乾いた厚手の綿のタオルを二つ折り以上にしたもの
- 軍手2枚重ねは不可。化繊は熱で溶けて肌にはりつきます
- 手作りの中身はキルト芯・厚手のフェルト・古いタオル。表布は綿で
- 重い鍋は両手用で短い距離だけ。無理に運ばない、子どもにやらせない
保存版:この記事の早見表
手順を1枚にまとめました。



コメント