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焼き魚が焼き上がって、あとは大根おろしを添えるだけ。なのに引き出しを開けても、シンク下をのぞいても、おろし金だけが見当たらない。もう今日はなしでいいか、と一度はあきらめかけたことがありませんか。うっかり1つ割ってしまって、しばらく「あるもので乗り切る日」が続く、という家もけっこうありますよね。
先に結論をひとつ。おろし金がなくても、たいていの料理は台所にあるもので何とかなります。ただし代わりの道具には向き不向きがあって、大根ととろろとしょうがでは選ぶものがまったく違うんです。そして、やってはいけない代用もあります。ここは安全に関わるので、あとではっきり書きますね。順番に見ていきましょう。
まず「何をおろすか」で、選ぶ道具が変わります
おろし金がしている仕事は、実はひとつではありません。大根は繊維をつぶしながら細かくすること、山芋はねばりを引き出すこと、しょうがは香りを出すこと。目的が違うので、同じ道具で代用しようとすると失敗しやすいんです。
- 大根・かぶ:水分が多くて繊維がまっすぐ。削る・刻むで近づけられる
- 山芋・長芋(とろろ):つぶしてねばりを出したい。すりつぶす道具が向く
- しょうが・にんにく:量が少ない。細かく刻むだけでほぼ用が足りる
- りんご・にんじん:離乳食や体調の悪い日。加熱してつぶすほうが早いことも
- わさび:目の細かさが味を左右するので、ここだけは代用の相性がよくありません。詳しくはわさび用のおろし金と辛くするおろし方のほうにまとめました
大根おろしの代用——フォークで削る、ピーラーと包丁、ミキサーは最後の手
いちばん出番が多いのが大根ですよね。おすすめの順に並べます。
- フォークで削る。大根を輪切りにして、切り口にフォークの先を垂直に当てて、手前に引くように削ります。何度も往復させると、繊維がほぐれて粗めの大根おろしになります。力を入れるより、回数でかせぐのがコツ。大根は太いほうが持ちやすいので、上のほうから使うと安全です
- ピーラーで薄く切ってから包丁で刻む。皮をむく要領で薄いリボン状にして、重ねて細切りにし、さらに直角に向きを変えて刻む。手間はかかりますが、水っぽくならず、食感がしっかり残ります。焼き魚に添えるならこれで十分
- 包丁の背でたたく。薄切りにした大根を重ねて、包丁の背で軽くたたいてから刻むと、繊維がつぶれてよりおろしらしくなります。刃ではなく背を使うので、まな板を傷めません
- ミキサーを使う。いちばん早いのですが、大根はほぼ水分なので、回しすぎるとジュースになります。ざく切りにして少量ずつ、短く回して止める、をくり返してください。仕上がりはざるに上げて軽く水気を切ると、ちょうどよくなります
どれも共通して、できたら軽く水気をしぼると味がぼやけません。大根おろしは時間が経つと辛みが飛んでいくので、食べる直前に作るのがいちばんおいしいです。
とろろの代用——すり鉢とポリ袋が頼りになります
山芋や長芋のとろろは、細かくすることよりもねばりを引き出すことが目的です。だから「つぶす道具」が合います。
- すり鉢とすりこぎ。いちばん近い仕上がりになります。皮をむいた芋を輪切りにして、少しずつ入れてすりつぶす。すり鉢がない時の代わりについてはすり鉢の代わりになるものにまとめています
- ポリ袋に入れて麺棒でたたく。厚めのポリ袋に輪切りの芋を入れ、袋の口を軽くねじって、めん棒や空き瓶の底で上からたたきます。手が汚れず、かゆくもならず、洗い物も出ないので、私はこの方法をいちばん使います。粗くつぶれた食感が残るのが、かえっておいしいんです
- ミキサーやハンドブレンダー。なめらかなとろろになります。ただし入れすぎるとねばりで刃が回らなくなるので、少量ずつ、だしや水を少し足して回してください。刃に絡んだ芋を取る時は、必ずスイッチを切ってコンセントも抜いてから
山芋を触ると手がかゆくなる方は多いですよね。あれは芋に含まれる細かい結晶が皮膚を刺激するためで、酢を薄めた水(酢水)で手を洗うとやわらぎます。触る前に手を酢水でぬらしておくのも効果的。ただしかゆい手で目をこすらないでください。目に入るととても痛いので、気になる時は流水でよく洗い、痛みや充血が続くようなら眼科に相談を。心配な方は最初からポリ袋の方法にすると、手に触れずにすみます。
しょうがとにんにくは「刻む」でほとんど代わります
薬味として使う量は、せいぜい小さじ1程度。おろし金を出して洗うより、包丁で刻んだほうが早いことも多いんです。
- 薄い輪切りにする → 重ねて細切り → 向きを変えて細かく刻む
- 刻んだものを包丁の腹で押しつぶすと、繊維がつぶれて香りが立ちます
- にんにくは、皮をむいて包丁の腹でつぶしてから刻むと早い。塩をひとつまみ振ってから刻むと、まな板の上でペースト状になります
- お湯に香りだけ移せばいい料理(スープ・煮物)なら、薄切りのまま入れて最後に取り出すのがいちばん楽
チューブの薬味に頼るのも、私はぜんぜんアリだと思っています。線引きとしては、香りが主役の料理(冷ややっこ、そうめん、生の魚)は刻む、火を通す料理はチューブでいいくらいに考えておくと、そうがっかりしません。刻んだ薬味を小皿に移す時は、箸の代わりになるものの記事で書いたような、身近な道具の使い回しも役に立ちます。
りんご・にんじんをすりおろしたい時(離乳食や、食欲のない日)
- りんご:薄いいちょう切りにしてから、耐熱容器に入れてラップをして加熱し、フォークでつぶすと、生のすりおろしに近いとろみになります。加熱すると甘みも出るので、体調が悪い日にはこちらのほうが食べやすいことも
- にんじん:やわらかくゆでてからつぶすのが確実。離乳食で少量だけ必要な時は、包丁でごく細かく刻んでから少量の水と加熱すればだいたい代わります
- コーヒーの器具など、粉をひくための道具を食材に流用したくなることがありますが、においが移りますし刃の形も合いません。コーヒーミルの代わりになるもののほうでも書いたとおり、道具は「向いている仕事」で選ぶのが結局いちばん早いです
やってはいけない代用——ここははっきり書きます
代用の記事でいちばん大事なのが、ここです。やらないでほしい代用を先に知っておくと、あわてている時にも手が止まります。
- 缶詰の蓋をおろし金の代わりにしない。切り口はとても鋭く、しかも薄くてしなります。食材を押しつけた瞬間に手が滑ると、深い切り傷になります。「ギザギザだから使えそう」という発想が、いちばん危ない代用です
- 壊れた道具の刃を使わない。割れたおろし金のかけら、外れたスライサーの刃、折れた包丁。固定されていない刃はどこへ動くか分からないうえに、破片が食材に混ざるおそれもあります
- 刃やギザギザを上に向けて手で持たない。道具は必ずまな板や台の上に置いて、食材のほうを動かす。持ち上げて空中でおろすのは、力の逃げ場がなくて危険です
- 金属たわしでこすらない。細い金属の線がほつれて、食べ物に混ざることがあります。目に見えない太さなので、口に入るまで気づけません
- 力任せに押しつけない。食材が小さくなってきたら、無理に最後まで削らずに、残りは包丁で刻む。指をこするのは、たいてい「あと少し」の時です
- 子どもにやらせない。子どもは手伝いたがるものですが、削る系の作業は大人がやって、混ぜる・並べるをお願いするのが安心です
万一切ってしまったら、まずきれいな水で洗って、清潔な布で押さえて止血を。出血が止まらない、深い、金属片が入ったかもしれない時は、迷わず医療機関へ行ってくださいね。
代用の限界——食感は必ず変わります
正直にお伝えすると、代用で作った大根おろしやとろろは、おろし金で作ったものとは食感がはっきり違います。それが悪いわけではなくて、「別のもの」になるだけなんです。
- 粗い食感が合う料理:焼き魚の添え、みぞれ煮、なます、ハンバーグのおろしだれ
- なめらかさが欲しい料理:とろろごはん、離乳食、ドレッシング
- 合わせにくいもの:わさびや長ねぎの薬味など、細かさそのものが味になるもの
だから「今日はこれで代用」と割り切って、料理のほうを少し寄せるのが上手なやり方だと思います。
ゆきこ( ゚Д゚)『おろし金がなくてフォークで大根を削ったら腕が本気で疲れた、という話はよく聞きます。子どもに「今日のは手作りの粗おろしです」と言い張って、次の日にはちゃんと買いに行く。ないと困る道具って、なくして初めて分かるんですよね』
代用でしのげるとはいえ、おろし金は1つあると本当に早いです。買い直すなら、受け皿つきで安定するもの、目が細かい面と粗い面が分かれているものを選ぶと、大根も薬味も1つで足ります。刃が金属のものは切れ味が長持ちし、陶器のものは金気が出にくくて薬味向き。手を守るための指ガードが付いているかも、確かめておくと安心ですよ。
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同じ「おろす」でも、わさびだけは道具の目の細かさで味が変わります。わさび用のおろし金と辛くするおろし方で詳しく書きました。すりつぶす道具が必要な時はすり鉢の代わりになるもの、粉をひく道具を探している方はコーヒーミルの代わりになるものもどうぞ。台所の「ない」を乗り切る話は箸の代わりになるものにもまとめています。
まとめ:大根は削る、とろろはつぶす、危ない代用はしない
- 大根はフォークで削るか、ピーラーと包丁で刻む。水気は軽くしぼる
- とろろはすり鉢か、ポリ袋に入れて麺棒でたたくのが手も汚れず楽
- しょうが・にんにくは刻んで包丁の腹でつぶせばほぼ代わります
- 缶詰の蓋や壊れた道具は絶対に使わない。刃は上に向けて持たない
- 山芋でかゆくなったら酢水で洗い、目をこすらない。ミキサーは少量ずつ
保存版:この記事の早見表
手順を1枚にまとめました。



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