はちみつを入れたゼリーが固まらない時、犯人ははちみつじゃないかもしれません——先に切り分けを

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はちみつレモンのゼリーを作ろうとして、冷蔵庫から出したらとろとろのまま。時間を置いてもだめで、翌朝見てもやっぱり液体。心当たりを探すと「そういえば、はちみつを入れたな」というところに行き着きます。

それで「はちみつ ゼラチン 固まらない」と調べると、いろいろな説明が出てきます。酵素のせい、酸のせい、糖度のせい。ただ、調べていくとこれらの説明はけっこう食い違っていて、はちみつだから固まらない、という説明はあまりはっきりしていません。「はちみつはゼラチンと相性がよい」と書いているところさえあります。

ですのでこの記事では、はちみつを最初から犯人にしません。ゼラチンが固まらない原因は、確かめられているものがいくつかあって、はちみつを入れたレシピでもそのどれかに当たっていることがほとんどです。順番に見ていけば、たいてい心当たりが見つかります。

それともうひとつ、はちみつを使う時に必ず守っていただきたいことがあります。1歳未満の赤ちゃんに、はちみつを与えないでください。これは固まる・固まらないとは別の、譲れない話なので、記事の中ほどでもう一度書きます。

固まらない原因は、たいていこの四つ1 煮立ててしまったゼラチンはたんぱく質です沸騰させると変わってしまい固める力が落ちます2 ふやかし不足・溶け残り粉ゼラチンは水にふり入れます。逆にすると固まります甘い液でふやかさないこと3 生の果物を入れたパイナップル キウイパパイヤ いちじく など加熱するか缶詰を使います4 冷やし方が足りない常温では固まりません冷蔵庫で3時間以上扉の近くは温度が上がります

まず、ゼラチンが何で固まっているのかを一段だけ

ゼラチンはたんぱく質です。温かい液の中ではばらばらにほどけていて、冷えていくとお互いに絡み合って、網のような構造を作ります。この網が水を抱え込むので、全体がぷるんとした形になる。これが「固まる」の中身です。

ここから分かるのは、固まらない原因は「網が作れなかった」か「網を壊された」かのどちらかということです。上の図の一と二が前者、三が後者、四は「まだ網ができていない」だけ、という整理になります。

原因1:煮立ててしまった

いちばん多いのがこれではないかと思います。はちみつを入れるレシピだと、はちみつをしっかり溶かそうとして、つい火を強くしてしまう。とろりとしたものを均一にしたいので、気持ちは分かります。

ですが、ゼラチンはたんぱく質なので、加熱しすぎると性質が変わってしまいます。卵が固まって戻らないのと同じで、変わったものは元に戻りません。沸騰させると、固める力が落ちます。

やり方としては、こうです。

  • 先に、はちみつや砂糖を液に溶かしてしまう。ここは加熱して構いません
  • 火を止めるか、ごく弱火にしてから、ふやかしたゼラチンを加える。60℃前後でよく溶けます
  • ぐらぐらさせない。鍋のふちに小さな泡が出てきたら、それ以上は上げないでください
  • 溶けたら混ぜすぎない。泡が入ると、冷えた時に上のほうだけ白く分かれます

電子レンジで溶かす場合も同じで、短い時間で区切って、そのつど混ぜるのが安全です。レンジは局所的に沸騰することがあるので、一気に加熱すると気づかないうちに煮立っています。

原因2:ふやかし方が足りない、溶け残っている

粉ゼラチンは、いきなり温かい液に入れてもうまく溶けません。粉の表面だけが先に固まって、中に水が入らなくなるからです。だから、先に水でふやかすという手順があります。

ここでよくある取り違えが二つあります。

ひとつめは、水にゼラチンを入れるのか、ゼラチンに水を入れるのか。正しくは「水にゼラチンをふり入れる」です。逆にすると、粉が塊になって中心まで水が届きません。

ふたつめは、ふやかす液を何にするか。ここが、はちみつの話につながります。砂糖もはちみつも水を抱え込む性質があるので、甘い液でゼラチンをふやかそうとすると、ゼラチンが吸える水が減ります。ふやかすのは、何も入れていない水で。甘い液に合わせるのは、ふやけた後です。

ふやかす時間は、商品によって違います。「ふやかし不要」と書かれた顆粒タイプもありますので、お使いの袋の裏の記載を優先してください。この記事の一般論より、その商品の指示のほうが正しいです。

やりがちなこと 正しいやり方
ゼラチンの上から水を注ぐ 水にゼラチンをふり入れる
はちみつ入りの液でふやかす 何も入れていない水でふやかす
ふやかさずに熱い液へ入れる 表示どおりにふやかす(不要な商品もあります)
しっかり溶かそうと沸騰させる 火を止めてから加え、60℃前後で溶かす
粉が浮いているのに次へ進む 透明になるまで溶かす。ざるで濾すのも有効です

原因3:生の果物を入れた

これははっきりしている原因です。生のパイナップル、キウイ、パパイヤ、いちじく、メロン、マンゴーなどには、たんぱく質を分解する酵素が含まれています。ゼラチンはたんぱく質なので、この酵素に触れると、作ろうとしている網が壊されます。

対処は二つ。加熱してから加えるか、缶詰を使うか。酵素は熱に弱いので、加熱の工程を通ったものなら影響しません。缶詰の果物でゼリーが作れるのは、この理由です。

はちみつレモンのゼリーで、生のレモン果汁をたっぷり入れた場合。レモンに酵素は多くありませんが、酸が強すぎるとゼラチンの固まる力は落ちます。レモンをたくさん入れるレシピの時は、ゼラチンの量を少し増やすか、果汁を控えめにするほうが安定します。

アルコールも同じ立場です。梅酒やワインを使ったゼリーが固まりにくいのは、アルコールが理由になります。こちらは梅酒ゼリーが固まらない時のまとめのほうに、分量の考え方を書いています。

原因4:冷やし方が足りていない

意外と見落とされるのがこれです。ゼラチンは、だいたい20℃を下回ってから固まりはじめます。夏場に室温で置いておいても、いつまでも固まりません。

  • 粗熱を取ってから、冷蔵庫へ。熱いまま入れると、庫内の温度が上がって他のものにも影響します
  • 冷蔵庫で3時間以上。2時間で様子を見て「まだだ」と判断するのは早いです
  • 扉のポケットは避ける。開け閉めのたびに温度が上がります。奥のほうへ
  • 浅く広い容器のほうが早く固まります。深い器だと中心まで冷えるのに時間がかかります
  • 冷凍庫で急いで冷やさない。凍ると網が壊れて、解けた時に水が出ます

最後の行は、失敗を取り返そうとしてやりがちなところです。凍らせて固めたものは、ゼリーではなく「凍っていただけのもの」になります。解けたらまた液体に戻ります。

【必ずお読みください】1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えないでください

ここは、この記事でいちばん固く書きます。

1歳未満の乳児に、はちみつを食べさせないでください。乳児ボツリヌス症という重い健康被害が起きることがあり、国内でも死亡例が報告されています。

そして、料理をする方に必ず知っておいていただきたいのが次の点です。加熱しても安全にはなりません。原因となる菌の芽胞は熱に強く、家庭での加熱では死にません。「ゼリーを作る時に火を通したから大丈夫」ということにはならない、ということです。

  • はちみつ入りのゼリーやお菓子を、1歳未満の子に取り分けないでください
  • はちみつが入った市販品も同じです。原材料の表示を見てください
  • 1歳を過ぎていれば、通常は与えて問題ないとされています
  • 上の子のおやつを、下の赤ちゃんが手を伸ばして口にする——これがいちばん起きやすい形です。置き場所に気をつけてください

ゆきこ( ゚Д゚)『うちも下の子が小さい頃、上の子のおやつを狙うのが本当に速くて。はちみつ入りは高いところ、と決めていました』

固まらなかった液は、捨てなくて大丈夫です

作り直すにしても、その液が無駄になるわけではありません。

やり直す方法。固まらなかった液を鍋に戻し、沸騰させないように温めて、新しくふやかしたゼラチンを追加します。もとのゼラチンが働いていない前提で、必要量をあらためて入れる形になります。生の果物が入っている場合は、この方法は使えません。果物を取り除いてから、加熱してください。

別のものにする方法。とろりとした甘い液は、そのまま使い道があります。

  • 炭酸水で割って、はちみつソーダに
  • ヨーグルトやアイスにかける
  • 牛乳に混ぜてラッシー風に
  • パンケーキやトーストのソースに
  • 凍らせてシャーベットに(これは凍らせて正解の使い方です)

「失敗した」と思うと捨てたくなりますが、味そのものは問題ありません。固まっていないだけです。

寒天やアガーに替えると、どう変わるか

ゼラチンで何度もつまずくなら、固める材料を変えるという手もあります。ただし、できあがりの性格がかなり変わります。

ゼラチン 寒天 アガー
食感 ぷるん、口でとろける ほろりと歯切れがよい つるん、なめらか
原料 動物性のたんぱく質 海藻 海藻・豆など
固める温度 冷蔵庫で冷やす 常温で固まります 常温で固まります
加熱 沸騰させない しっかり煮溶かす 沸騰直前まで
生の果物の酵素 影響を受けます 影響を受けません 影響を受けません
透明感 やや黄みがかる 白く濁ります とても透明

はちみつの色と香りを生かしたいなら、透明感の出るアガーが向いています。生の果物を入れたいなら、酵素の影響を受けない寒天かアガーです。

ただし寒天には、ゼラチンとは正反対の落とし穴があります。寒天は逆に、しっかり煮溶かさないと固まりません。ゼラチンの感覚で「沸騰させないように」とやると、今度は溶け残って失敗します。このあたりは寒天が固まらない原因のほうに分けて書きました。材料が変われば、注意する方向も逆になるというのが、この三つを行き来する時のこつです。

ゼラチンで作り直す場合は、袋の表示を見て分量を計り直すのが確実です。楽天市場で粉ゼラチンを見るAmazonで見るから、ふやかし不要タイプかどうかも確認しておくと、次の失敗が減ります。

まとめ:はちみつを疑う前に、四つを当てはめてみる

  1. ゼラチンはたんぱく質で、冷えて絡み合った網が水を抱えることで固まっています
  2. 原因の多くは煮立てたこと。はちみつを溶かそうとして火を強くしがちです
  3. 火を止めてから、ふやかしたゼラチンを加えてください。沸騰させないのが要点です
  4. ふやかす時は水にゼラチンをふり入れます。逆にすると塊になります
  5. 甘い液でふやかさないでください。ゼラチンが吸える水が減ります
  6. 生のパイナップル・キウイ・パパイヤ・いちじく等は酵素でゼラチンを分解します。加熱するか缶詰を使ってください
  7. レモンを多く入れる時は、酸で固まりにくくなります。ゼラチンを少し増やすと安定します
  8. 冷蔵庫で3時間以上。常温では固まりません。冷凍庫で急がないでください
  9. 1歳未満の赤ちゃんに、はちみつを与えないでください。加熱しても安全にはなりません。取り分けと置き場所に注意してください
  10. 固まらなかった液は捨てなくて大丈夫です。温め直してゼラチンを足すか、ソースや飲みものに回せます

保存版:この記事の早見表

固まらない四つの原因と、寒天・アガーとの違いを1枚にまとめました。次に作る前に、当てはまるところがないか見てみてください。

はちみつゼリーが固まらない早見カード:原因は煮立てた・ふやかし不足・生の果物の酵素・冷やし方の四つ、火を止めてからゼラチンを加え沸騰させない、水にゼラチンをふり入れ甘い液でふやかさない、生のパイナップルやキウイは加熱するか缶詰を使う、冷蔵庫で3時間以上、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えない加熱しても安全にならない

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