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トースターがない、あるいは一度にたくさん焼きたくて、フライパンに餅を並べたら、いつまでたっても膨らまない。固いまま、そのうち底だけ焦げて、ひっくり返そうとしたらフライパンにくっついた。お正月によく起きる光景ですよね。
先に結論をひとつ。フライパンで膨らまない原因のほとんどは、「火が強すぎる」か「蓋をしていない」のどちらかです。餅は、中まで温まって中の水分が蒸気になって初めて膨らみます。強火だと外だけ先に固まって、中は冷たいまま。膨らまないのは失敗ではなく、順番の問題なんです。原因の見分け方、弱火と蓋の手順、くっつかないコツ、水を入れる焼き方、そして餅ならではのやけどと窒息の注意まで、順番に見ていきましょう。
ケース別に読む:膨らまない原因を知りたい人|焼き方の手順を知りたい人|くっつく・焦げる人|水を入れるか・焼かない方法を知りたい人|子どもや高齢者に出す人
膨らまない原因——火が強い・冷たいまま・乾いた餅・蓋なし
餅が膨らむのは、中の水分が温まって蒸気になり、柔らかくなった餅を内側から押し広げるからです。つまり「中まで温まる」と「外が固まりすぎない」の両方がそろって初めて膨らみます。フライパンで膨らまない時は、このどちらかが崩れています。
| 原因 | 起きていること | 見分け方 |
|---|---|---|
| 火が強い | 外が先に固まり、中まで熱が届かない | 底だけ焦げて、上は白いまま固い |
| 冷たいまま(冷蔵・冷凍直後) | 中心が冷たく、蒸気が出るまで時間がかかる | 時間をかけても膨らまず、割ると中が固い |
| 乾いた餅 | 水分が少なく、膨らむ力が足りない | 表面にひび、端が透けている、軽い |
| 蓋なし | 上からの熱がなく、片面ずつしか温まらない | 裏返しても上が固い。焼き時間がやたら長い |
| 餅同士がくっついている | 熱が回らず、くっついた面が生っぽい | くっついた面だけ白くて柔らかくない |
いちばん多いのは、やっぱり「火が強い」です。トースターは上下から遠火で温めるのに対して、フライパンは底の一点から強く熱が入ります。同じ感覚で中火にすると、餅にとっては強すぎるんです。冷蔵庫から出したばかりの餅や、冷凍の餅は、さらに時間がかかります。冷凍のまま焼くコツは餅の保存は冷凍が正解にも書いています。乾いてひびの入った餅は、焼く前にさっと水にくぐらせると水分が戻りやすくなります。
弱火と蓋で焼く手順——並べる・待つ・裏返す
やることは3つだけ。並べて弱火、蓋をして待つ、裏返してもう少し。時間は餅の大きさとコンロで変わるので、目安として読んでください。
- 並べて弱火。フライパンを温める前に餅を並べます。餅同士は指1本分以上あけて、蓋をしてから弱火に。フッ素加工なら油はなくても大丈夫なことが多く、鉄のフライパンなら次の章のシートか薄く油を
- 蓋をして待つ。弱火で5〜7分が目安です。ここで触らない、動かさない。表面が乾いてきて、ふちが少し浮いてきたら裏返す合図。蓋を開ける時は蒸気が出るので、顔を近づけずに、蓋を自分と反対側に傾けて開けます
- 裏返してもう少し。もう一度蓋をして2〜3分。表面がぷくっと膨らみ始めたら火を止めて、トングで皿へ。膨らみ切るまで待つと、隣の餅とくっついたり、中身が流れ出たりします
ここで「膨らまないから」と火を強めるのが、いちばんの遠回りです。弱火のまま、蓋をしたまま、もう2分待ってみてください。それでも膨らまない時は、冷たすぎるか乾きすぎているかなので、第1章の表に戻ると原因が見えます。焦げは弱火にしている限り急には進まないので、コンロから離れないことだけ守ってください。取っ手や蓋のつまみが熱くなっているフライパンもあるので、布巾や鍋つかみを。
くっつく・焦げる時——クッキングシート・薄く油・動かさない
裏返そうとしたら底がべったり、というのも定番の困りごとです。餅は温まると表面が糊のようになるので、どんなフライパンでもくっつく条件はそろっています。対策は3つ。
- クッキングシートを敷く。フライパンの底に合わせて切り、餅をその上に。裏返す時はシートごと持ち上げず、餅だけをトングで。シートの端がフライパンからはみ出て火に触れると燃えるので、必ず内側に収めてください。空だきはしないこと。シートがない時の代わりはトースターでクッキングシートの代わりになるものに書いていて、フライパンでも考え方は同じです
- 油を薄くひく。キッチンペーパーに少しだけ油を取って、底に薄くのばします。多いと揚げ焼きになって、油はねの元です
- 動かさない。くっつくのは、表面が固まる前に触った時です。表面が乾いてふちが浮くまで待つと、自然にはがれます。金属のへらで無理にこそげると、加工が傷むので、それでも取れない時は火を止めて少し待ってから
焦げ付いた餅は、フライパンにお湯を張ってしばらく置くとふやけて落ちます。焦げが黒く残った餅は、その部分は削ってから食べてください。
水を少し入れる焼き方と、焼かずに柔らかくする方法
「フライパンに水を入れて焼くと膨らむ」という話もよく見ますよね。これは「膨らませる」というより「蒸し焼きにして中まで柔らかくする」方法で、乾いた餅や冷たい餅に向いています。
- 餅を並べ、大さじ1〜2ほどの水をフライパンの隅から入れます(油をひいている時は、はねるので火を止めてから)
- 蓋をして弱火に。水が蒸気になって餅を包みます
- 水がなくなったら蓋を取り、そのまま弱火で焼き色をつけます。裏返して同じように
この方法だと、表面のカリッとした感じは弱くなりますが、中はとろりと柔らかく仕上がります。醤油と砂糖を最後に絡めると、照り焼き風にもなります。
そもそも「焼かなくてもいい」場面もあります。電子レンジなら、餅を水にくぐらせて耐熱皿にのせ、ラップをふんわりかけて、短い時間ずつ様子を見ながら温めます。お湯に入れて煮れば、お雑煮やきなこ餅の柔らかさに。市販の切り餅は加熱して食べることが前提なので、そのまま食べたい時の考え方は餅はそのまま食べられる?で分けて書いています。そして、青や黒の点が出た餅は、削っても食べないでください。理由は餅の保存方法とカビ対策にまとめています。
やけどと窒息——熱い餅の中身、小さく切って見守る
餅は、焼き方より食べ方の方に大きな注意があります。毎年、お正月に餅をのどに詰まらせる事故が起きていて、特に高齢の人と小さい子どもに多い。フライパンで上手に焼けるようになったら、ここも一緒に覚えておいてください。
- 小さく切る。子どもと高齢の人には、1〜2cm角くらいに切ってから出します。焼く前に切っておくと、フライパンでも早く温まって一石二鳥です
- よく噛む・ひと口ずつ。次の一口は、口の中が空になってから。お茶や汁物を先に一口飲んで、のどを湿らせておきます
- 目を離さない。食べている間はそばにいて、食べながら走る・寝転ぶをさせない。高齢の人は、入れ歯の具合や飲み込む力で変わるので、家族が様子を見ていてください
- のどに詰まったら。声が出ない、顔色が変わる、苦しそうに胸やのどを押さえる、という時はすぐに119番。背中を叩く、お腹を押すといった対応の手順は、消防や医療機関が案内している方法に従ってください。ここで細かい手順を断定することはできません
やけどにも2つあります。ひとつは餅の中身。表面が少し冷めても、膨らんだ中はとても熱く、口の中をやけどしやすい。少し冷ましてから、小さく切って。口の中をやけどしたら冷たい水で冷やし、痛みが続くなら受診を。もうひとつはフライパン。蓋を開けた時の蒸気、熱い取っ手、皿に移す時に餅が指に付く。トングと鍋つかみを使って、子どもはコンロから離しておいてください。
ゆきこ( ゚Д゚)『正直、フライパンで膨らまないと焦って火を強めたくなるのが、いちばんの落とし穴だと思っています。膨らまなくても中が柔らかければ、ちゃんと焼き餅です。それより、小さく切る方を先に習慣にしたいです』
💡 この困りごとへの提案
フライパンで毎回くっつく、直火の焼き目が欲しい、という人は、ガス火用の餅焼き網で焼く手もあります。セラミックの板が付いた物は遠火になって膨らみやすく、餅がくっつきにくい作りです。ただし電磁調理器(IH)では使えない物がほとんどなので、コンロの種類を確かめてから選んでみてください。
あわせて読みたい
切り餅を焼かずに食べたい、子どもや高齢の人にどう出すか迷っている人は餅はそのまま食べられる?を先にどうぞ。余った餅の保存は餅の保存は冷凍が正解、カビが出た時の判断は餅の保存方法とカビ対策、シートがない時の工夫はトースターでクッキングシートの代わりになるものにまとめています。フライパンで焼くのが面倒でトースターを考えている人は高級トースターで後悔した理由も参考に。
まとめ:弱火と蓋で中まで温める。くっつくならシート。食べる時は小さく切る
- 膨らまない原因は火が強いか蓋なし。冷たい餅・乾いた餅は時間がかかる
- 並べて弱火、蓋をして待つ、裏返す。ふちが浮いたら裏返し、膨らみ始めたら取り出す
- くっつくならクッキングシートか薄く油。表面が固まるまで動かさない
- 水を少し入れると蒸し焼きで柔らかく。焼かないならレンジかお湯。カビは削っても食べない
- 小さく切ってよく噛み、目を離さない。詰まったら119番。熱い中身と蒸気のやけどに注意
保存版:この記事の早見表
手順を1枚にまとめました。



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