生クリームをそのまま飲むのは大丈夫?——飲めます、ただし体はけっこう驚きます

日本

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お菓子を作ったあと、パックの底に生クリームが半分くらい残っている。捨てるのはもったいないし、泡立てるほどの量でもない。ふと「これ、このまま飲んじゃっても平気なのかな」と思ったことがある方は、たぶんけっこう多いのではないでしょうか。

ネットで調べると、飲んでみた人の武勇伝みたいな投稿はたくさん出てくるのに、「で、結局どうなの?」に正面から答えているものが意外と見つからないんですよね。だからここでは「飲めるか」ではなく、「飲んで平気か」のほうを先に片づけてしまおうと思います。

先に結論だけ言ってしまうと、食中毒という意味では問題ありません。ただ、体にとっては「飲みもの」というより「食べもの」に近い重さがあります。その理由を、脂肪の消化のしくみから順に見ていきますね。

そのまま飲んで平気?の答え わけて考えると すっきりします ○ 食中毒の心配は まずない 市販品は加熱さっきん済み 生では飲めない、ではない 開けたてなら 味の問題だけ → 少量なら ふつうに飲める △ でも 体には重い 脂肪ぶん 35〜47%が目安 100mLで 400kcal前後 一気飲みで お腹をこわす人も → 大さじ数杯までが 無難 すっぱい におい・分離したものは 飲まない

結論:加熱殺菌されているので、そのまま飲んでも食中毒の心配はまずありません

「生」クリームという名前のせいで、生卵や生肉と同じような危うさを想像してしまいがちなのですが、ここは安心してもらって大丈夫です。スーパーで売られている生クリームは、パックに詰められる前に加熱殺菌されています。牛乳と同じ扱いで、そのまま口に入れることを前提に作られた製品なんですね。

この「生」は、生で危ない、という意味ではありません。乳等省令という決まりの中でクリームと名乗れるのは、生乳から乳脂肪以外の成分を取り除いただけで、乳脂肪分が18%以上のものと決まっていて、その素直な作りを指して昔から生クリームと呼んできた、というだけのことです。ホイップしていない、余計なものを足していない、くらいのニュアンスだと思っていただくとしっくりくるかもしれません。

ですから、開けたてのパックから直接コーヒーに注ぐのも、スプーンでひとくちなめてみるのも、衛生的には何の問題もありません。パフェの生クリームを食べているのと、実は同じことをしています。

問題があるとしたら、そこではなく「量」と「速さ」のほうです。ここからが本題になります。

コップ1杯は、もう「飲みもの」の重さではありません

生クリームがほかの乳製品と決定的に違うのは、脂肪分の高さです。製菓用としてよく売られているものでおおよそ35〜47%が目安で、これは重さの3分の1から半分近くが脂肪という状態です。牛乳の乳脂肪分が3.5%前後ですから、ざっくり10倍前後の濃さと考えるとイメージしやすいかもしれません。

その濃さは、そのままカロリーに跳ね返ります。数字は商品によって幅がありますので、あくまで目安として見てくださいね。

飲む量 乳脂肪45%前後の生クリーム(目安) 参考:牛乳(目安)
大さじ1(約15mL) 約65kcal 約9kcal
50mL 約215kcal 約31kcal
100mL(小さめのコップ1杯) 約430kcal 約61kcal
200mL(マグカップ1杯) 約860kcal 約122kcal
1パック(200mL)を飲みきると 約860kcal

小さめのコップ1杯でも400kcalを超えてきますし、パックをそのまま飲みきると、ごはん茶碗3〜4杯ぶんに近い数字になります。ジュースを1杯飲む感覚で手を出すと、思っていたのとまるで違うものが入ってくるというわけです。

ちなみに脂肪分が違うと数字も動きます。乳脂肪35%前後のものなら100mLで350kcal前後、植物性ホイップも脂肪分自体は40%前後の商品が多いので、400kcal近くになるものが珍しくありません。「植物性のほうが軽そう」という印象は、カロリーの面ではあまり当たっていないんですね。

ゆきこ( ゚Д゚)『残り物を片づけたつもりが、いちばん高カロリーだった説…』

一気に飲むとお腹を下しやすいのは、消化の処理能力を超えるからです

「生クリームを飲んだらお腹を壊した」という話が多いのは、傷んでいたからではなく、たいていは脂肪の量に消化が追いつかなかったからです。ここは仕組みを知っておくと、量の加減がしやすくなります。

脂肪は水に溶けないので、そのままでは消化酵素が働きかけられません。そこで体は、まず胆のうから胆汁を出して、脂肪を細かい粒に散らします。洗剤が油を浮かせるのと同じ乳化という働きです。散った脂肪の粒に、すい臓から出るリパーゼという分解酵素が取りついて、ようやく吸収できる形に切り分けられます。

この胆汁とリパーゼの供給量には限りがあります。少しずつ入ってくるぶんには余裕で処理できるのですが、コップ1杯ぶんの高脂肪の液体が一度に流れ込むと、処理待ちの脂肪があふれます。分解されないまま大腸まで進んだ脂肪は、腸の中に水分を引き込んだり、腸の動きを強めたりするので、結果としてゆるくなる。これが「飲んだらお腹が」の正体です。

もうひとつ、脂肪には胃から先へ送り出されるスピードをゆっくりにする性質があります。胃の中に長く留まるので、もたれた感じや吐き気が出ることもあります。空腹の状態で一気に飲むと、この2つが同時に来るので、いちばんつらいパターンになりやすいです。

意外に思われるかもしれませんが、乳糖はそこまで主犯ではありません。生クリームは水分を減らして脂肪を集めた製品なので、乳糖の量は牛乳より少なめです。牛乳でお腹が鳴りやすい方でも、生クリームでの不調は乳糖ではなく脂肪のほうが原因になっていることが多い、と考えておくとつじつまが合います。

飲むなら、量とタイミングだけ気をつけると穏やかです

  • 大さじ1〜2杯(15〜30mL)くらいから試すと、体の反応が読めます
  • 空腹時を避け、何か食べたあとにすると胃もたれが出にくくなります
  • 冷たいまま一気に流し込むより、コーヒーや紅茶に混ぜてゆっくりのほうが体は楽です
  • 脂っこい食事のあとに追加で飲むのは、胆汁の処理が重なるので避けたほうが無難です

動物性と植物性では、味も体の受け取り方も違います

売り場には「純生クリーム」「ホイップ」「乳脂肪」「植物性脂肪」といった表示が並んでいて、どれも似た顔をしています。けれど中身はかなり違うので、そのまま飲む前提だと差がはっきり出ます。

比べるところ 動物性(乳脂肪の生クリーム) 植物性(ホイップ)
脂肪のもと 生乳の乳脂肪 ヤシ油・パーム核油などの植物油脂
脂肪分の目安 35〜47% 35〜40%前後
そのまま飲んだ味 ミルクのコクが濃い。後味が重い さらっとするが、油っぽさと香料が残る
添加物 ほぼ生乳のみのものが多い 乳化剤・安定剤・香料などが入る
胃への重さ 脂肪分が高いぶん重く感じやすい 軽く感じても脂肪量は同程度
バターになるか 振り続けるとバターになる ならない
値段 高め 安め

「植物性だからヘルシー」という言い方をときどき見かけますが、脂肪の量そのものはほとんど変わりません。飲んだときに軽く感じるのは、乳脂肪特有のコクが薄いからで、体に入る脂肪が減っているわけではないんですね。カロリーの面で選び分ける意味は、あまりないと考えておくのが安全です。

それから、これは固く書いておきます。植物性ホイップは、乳アレルギーの代用品にはなりません。原材料に植物油脂とあっても、乳化剤や乳たんぱく(カゼインナトリウム、脱脂粉乳など)が入っている商品がとても多いためです。アレルギーがある方は、必ず個別の商品の原材料表示とアレルギー表示を確認してください。

味の好みで言えば、そのまま飲む・コーヒーに落とす用途では動物性のほうが満足度が高い傾向があります。少量で満足しやすいので、結果的に飲みすぎにくいという面もあります。

これだけは固く:飲んではいけない生クリーム

ここは言い方をやわらかくしません。次のどれかに当てはまる生クリームは、飲まないでください。加熱しても元には戻りません。

  • 酸っぱい臭いがする(ヨーグルトのような、ツンとくる臭い)
  • もろもろと分離している、水っぽい液が浮いている
  • 色が黄ばんでいる、濃い黄色になっている
  • すくうとぬめる、糸を引く
  • 容器のフタが膨らんでいる、口のまわりにカビや変色がある
  • 苦味やえぐみを感じる
  • 常温に長く置いていた、車の中に放置していた

とくに分離は迷いやすいところです。泡立てすぎて分離したものと、傷んで分離したものは見た目がよく似ているのに、扱いは正反対になります。飲む用途に関しては、理由がどちらであっても分離しているものは飲まないと決めてしまうのがいちばん安全です。見分けの手順や、泡立てすぎのほうを料理に回す方法は生クリームが分離したときの見分け方と対処にまとめていますので、パックの中で勝手に分かれていた場合はそちらを先に見てみてください。

開封後は、消費期限より早く終わると考えてください

生クリームは開封した時点から日持ちしません。パックに書かれた期限は、あくまで未開封で保存した場合の日付です。開けたあとは空気中の微生物が入り込み、水分と栄養が豊富な環境で増えていきます。

  • 開封後は2〜3日を目安に使い切ってください
  • 期限内であっても、開封後に酸っぱい臭いや分離が出たら処分してください
  • 保存はドアポケットではなく冷蔵室の奥。温度変化が少ない場所ほど持ちます
  • パックに口をつけて飲んだものは、唾液の細菌が入るのでその日のうちに終わらせてください
  • 臭いや状態に迷ったら、飲まずに処分してください

この「開けた瞬間から別のカウントが始まる」という感覚は、牛乳とまったく同じです。冷蔵庫のどこに置くかで持ちがどれだけ変わるかは牛乳の保存方法のほうで詳しく書いていますので、乳製品全般の置き場所を見直したい方はあわせてどうぞ。

そして、体にいい飲み物としては勧めません

ネットには「生クリームを飲むと痩せる」「体にいい」といった話もありますが、この記事ではそういう勧め方はしません。脂肪の多い食品なので、日常的に飲むものとして習慣にするのは向いていない、という位置づけです。体質や持病、治療中の状態によって影響も変わりますから、健康上の目的で取り入れたい場合は、自己判断ではなくお医者さんや管理栄養士さんに相談してくださいね。

あくまで「余ったぶんを、少し飲んでも大丈夫か」という話として読んでいただけたら、と思います。

余った生クリームの、現実的な使い切り方

そもそも「飲もうかな」と考える場面は、たいてい中途半端に余ってしまったときですよね。だったら飲む以外の道も並べておいたほうが、選びやすいはずです。冷蔵庫の残りをどう回すか、量ごとに整理してみます。

残った量 おすすめの行き先 ひとことメモ
大さじ1〜2 コーヒー・紅茶・ココアに落とす いちばん気楽。かき混ぜず浮かべても
50mL前後 スクランブルエッグ・オムレツに混ぜる 卵を溶くときに入れるとふわっとする
50〜100mL カレー・シチューの仕上げにひと回し 火を止める直前に。煮立てない
100mL前後 クリームパスタ・グラタン チーズと合わせると乳化しやすい
100mL以上 カスタードクリーム・プリン 牛乳と混ぜて使うと重すぎない
使い切れない 泡立ててから小分け冷凍 1回分ずつラップで。3週間が目安

冷凍は少しコツがあります。液体のまま凍らせると、解凍したときに脂肪と水分が分かれてざらざらになります。そのままコーヒーに入れる用途には戻せません。なので、七分立てくらいに泡立ててから、ラップで小分けにして冷凍するのが基本です。凍ったままコーヒーに落とすとアイスクリームのようになりますし、そのまま自然解凍してデザートに添えることもできます。

もし液体のまま凍らせてしまっても、捨てなくて大丈夫です。分離した状態でも、シチューやスープなどの加熱料理に入れてしまえば、ほとんど気になりません。解凍したものは飲む用途には回さず、加熱する料理に使う、と決めておくと迷わずに済みます。

甘いものに寄せたいときは、牛乳と生クリームで作るカスタードクリームが量の融通が利いておすすめです。牛乳との比率を変えるだけで、残った量に合わせてまるごと消費できます。

よくある疑問をまとめて

そのまま飲むと太りますか?

体重の増減は、その日1日、そして毎日の食事全体のバランスで決まるものなので、生クリームを飲んだから太る、とは言い切れません。ただ100mLで400kcal前後という数字は、ほかの飲みものと比べるとかなり大きいのは事実です。飲むなら、その日のほかの食事のどこかで調整するくらいの気持ちでいるとちょうどいいかもしれません。

子どもが飲みたがるのですが

衛生的な問題はありませんが、量は大人以上に控えめにしてください。体が小さいぶん、同じ量でも脂肪の負担は相対的に大きくなります。うちでも「なめてみたい」と言われることはありますが、スプーン1杯で終わりにして、あとはコーンフレークにかける方向へ持っていくことが多いです。

ホイップしたものを食べるのとは違いますか?

入る脂肪の量は同じです。ただ、泡立てると空気が入って体積がふくらむので、同じ満足感を得るのに必要な量が減ります。「たくさん食べた感じがするのに、実際の量は少ない」というのは、泡立てる利点のひとつなんですね。飲むより食べるほうが、結果的に穏やかに終わることが多いです。

コーヒーフレッシュと同じものですか?

別ものです。コーヒーフレッシュの多くは植物油脂と水を乳化剤で混ぜた製品で、乳脂肪の生クリームとは作りが違います。1個5mL程度と量が少ないので、そのまま飲む話とは前提が変わってきます。

まとめ:飲めます。ただし「量」と「状態」だけ見てください

  1. 市販の生クリームは加熱殺菌済みなので、そのまま飲んでも食中毒の心配はまずありません
  2. ただし脂肪分は35〜47%が目安で、100mLで400kcal前後。飲みものというより食べものに近い重さです
  3. 一気に飲むとお腹を下しやすいのは、胆汁とリパーゼの処理量を脂肪が超えるから。大さじ1〜2から様子を見ると穏やかです
  4. 動物性と植物性は脂肪の量はほぼ同じ。植物性は乳アレルギーの代用にはなりません
  5. 酸っぱい臭い・分離・黄ばみ・ぬめりがあるものは飲まないでください。開封後は期限内でも2〜3日が目安です
  6. 体にいい飲み物としては勧めません。余ったぶんはコーヒー・シチュー・泡立ててから冷凍に回すほうが現実的です

保存版:この記事の早見表

飲める量の目安と、飲んではいけない状態を1枚にまとめました。冷蔵庫の前で迷ったときのために、スマホに保存しておくと便利です。

生クリームをそのまま飲むときの早見カード:市販品は加熱殺菌済みで食中毒の心配はないが脂肪分35から47パーセントで100mLは約400kcal、飲むなら大さじ1から2杯を食後に、酸っぱい臭い・分離・黄ばみ・ぬめりがあるものは飲まない、開封後は2から3日が目安

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