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取れたボタンを付け直して、ひっくり返したら裏に糸がべったり。裏地の付いたコートなら裏地に縫い目がぽつぽつ見えて、薄手のシャツなら玉止めのこぶが透けて見える。表はちゃんと留まっているのに、裏返すたびにちょっと気になる。学校のシャツに制服、夫のジャケット、子どもの体操服。ボタン付けって年に何回もあるのに、なぜか毎回「これでいいのかな」と思いながらやっていますよね。
先に結論をひとつ。裏に糸を出さないコツは、針を生地の裏まで貫通させないこと。表地の厚みの中だけを針ですくって、裏地や芯の手前で針を止めます。これに「玉結びをボタンの下に隠す」を組み合わせると、裏から見ても縫い目がほとんど分かりません。足つき・4つ穴・2つ穴の縫い方や、糸足の作り方まで順番に見ていきましょう。
裏に糸が出るのはなぜ?——針が裏まで貫通しているから
ボタン付けを習うと、たいてい「生地の裏から針を出して、ボタンの穴に通して、また裏に戻す」と教わります。この縫い方は丈夫なのですが、針が生地を表から裏まで貫通するので、裏には必ず縫い目が出ます。厚手の生地なら気になりませんが、次のような服だと目立つんです。
- 裏地付きのコート・ジャケット。裏地まで針を通すと、裏地に糸がぽつぽつ並ぶ
- 薄手のシャツ・ブラウス。玉止めのこぶが表から透けたり、肌に当たってごろごろする
- 接着芯が入った前立て。芯まで貫くと針が通りにくく、無理に通すと生地が引きつれる
逆に言えば、針を「表地の中」だけ通せば裏には何も出ません。表地には芯や裏地とは別に、それなりの厚みがあります。その厚みの中をすくうように針を通すのが、裏に出ない付け方です。
裏に出ない付け方の基本——表地だけをすくう・玉結びはボタンの下に隠す
- 糸は二本取りで、端に玉結び。ボタン付け糸か、普通の手縫い糸を2本引きそろえて針に通す
- ボタンを付ける位置の表側から針を入れる。裏からではなく、表から。ボタンの真下になる場所で、生地を小さく1針すくって針を出す。玉結びは表に残りますが、あとでボタンの下に隠れます
- ボタンの穴に糸を通す。ここから先は普通のボタン付けと同じ。ただし、生地に針を刺すたびに、裏まで通さず、表地の厚みの中だけを横にすくう。針先を裏地や芯の手前で止めて、2〜3mm横で表に出すイメージです
- 裏地付きの服は、裏地を少しめくる。前立ての裏地が縫い付けられていない場所(裾や見返しの端)から手を入れて、裏地を表地から離し、表地だけを縫う。めくれない場合は、裏地の上からでも表地だけすくうようにする
- 最後の玉止めもボタンの下。糸足の根元に針を出して、そこで玉止めをし、糸足の中に針をくぐらせてから糸を切ると、玉止めが糸足の中に隠れます
慣れないうちは「裏まで通さない」が難しく感じますが、コツは針を寝かせること。生地に対して垂直に刺すと裏まで抜けますが、生地と平行に近い角度で刺すと、自然と表地の中だけを通ります。厚手のウールなら簡単、薄手のシャツなら1〜2mmの小さいすくいになりますが、それでも表地の織り糸を何本かすくえていれば十分持ちます。
薄手すぎて表地だけすくうのが心もとない時は、裏に小さな力ボタン(透明の小さいボタン)や当て布を一緒に縫うという手もあります。裏には出ますが、糸がばらばらに見えるより、ずっときれいで丈夫です。コートのボタンには力ボタンを付けるのが本来の付け方でもあります。
足つきボタンの付け方——足の穴に糸を通して4〜5回、足に糸は巻かない
足つきボタンは、ボタンの裏に小さな輪(足)が付いているもの。コートやジャケット、くるみボタンによく使われます。この足に糸を通して留めます。
- 表から針を入れて小さくすくい、玉結びをボタンの下になる位置に置く
- 足の穴に糸を通し、生地を表地だけすくって、また足の穴へ。これを4〜5回
- 足に糸を巻かない。足つきボタンは足そのものが糸足の役割をしているので、平ボタンのように根元に巻く必要がありません。巻くと足の向きがねじれて、ボタンが横を向いてしまいます
- 足の向きはボタンホールと平行に。留めた時にボタンが自然な向きで収まります
- 玉止めは足の根元、生地とボタンの間で。そこから針を生地の中にくぐらせて糸を切る
厚手のコートは、足つきボタンでも裏に力ボタンを付けておくと長持ちします。その場合は裏地をめくって、表地と力ボタンをはさむように縫ってください。
4つ穴ボタンの付け方——クロスか平行か、楊枝で糸足を作る
4つ穴は、糸の通し方で見た目が変わります。既製品のシャツは平行(=の形)が多く、クロス(×の形)は手縫いの定番。どちらでも強さは変わらないので、同じ服のほかのボタンと同じ通し方にそろえるのがいちばんきれいです。
- 表から入れて小さくすくい、玉結びをボタンの下に
- 楊枝(または太めの針)をボタンと生地の間に1本挟む。これが糸足の厚みになります。厚手の生地ほど太いものを挟む
- 穴に糸を通す。平行なら「左上と右上、左下と右下」のように2本の線を、クロスなら対角線を。1組の穴につき3〜4回ずつ
- 楊枝を抜く。ボタンと生地の間に糸のゆとりができています
- 針を穴に通さず、ボタンの下の糸に3〜4回ぐるぐる巻く。これが糸足。巻き終わりを糸足の根元でひと結びすると崩れません
- 玉止めをボタンの下でして、糸足の中に針をくぐらせて切る
糸足があると、ボタンホールの生地の厚みの分だけボタンが浮くので、留めた時に引きつれません。糸足がないと、留めるたびに生地が引っ張られて、ボタンの周りにしわが寄ったり、糸が早く切れたりします。「シャツは薄いから糸足はいらない」は誤解で、薄くても2mmくらいの糸足があるほうが楽に留まります。
2つ穴ボタンの付け方——線の向きをボタンホールとそろえる
2つ穴は4つ穴より簡単ですが、糸が1本の線になる分、線の向きが目立ちます。ボタンホールの向きと平行にそろえると、留めた時にきれいです。
- 表から入れて玉結びをボタンの下に。楊枝を挟んで、穴に4〜5回糸を通す
- 楊枝を抜き、糸足に3〜4回巻いて、ボタンの下で玉止め
- 2つ穴は糸が1か所に集中するので、4つ穴より回数を1回多めに
糸の選び方——ボタン付け糸・二本取り・色の合わせ方
- ボタン付け糸。普通の手縫い糸より太くて丈夫。コート・ジャケットにはこれが安心
- 手縫い糸を二本取り。シャツやブラウスの小さなボタンは、ボタン付け糸だと太すぎて穴に通らないことがあるので、普通の手縫い糸を2本で
- 色はボタンに合わせる。生地ではなくボタンの色に近い糸を選ぶと、表から見た時に糸が目立ちません。白いシャツに白いボタンなら白糸、紺のジャケットに黒いボタンなら黒糸
- 糸の長さは腕1本分(50〜60cm)。長すぎると絡まり、短いと途中で足りなくなります。二本取りなら、糸を2倍の長さで切って針に通し、両端を合わせて玉結び
糸の端にろうそくのろうを軽くこすっておくと、絡みにくく、糸が丈夫になります。家にろうそくがなければ、そのままでも大丈夫です。
初心者がつまずく所——糸足がない・裏の玉止めが目立つ・ボタンが斜め
- 糸足を作らずにぴったり縫ってしまった。留めるとボタンの周りにしわが寄る → 楊枝を挟んで付け直す。糸を切ってやり直すのがいちばん早いです
- 裏の玉止めが目立つ・ごろごろする → 玉結びも玉止めもボタンの下に。この記事の表からすくう方法で解決
- ボタンが斜めを向く・ぐらぐらする → 穴に通す回数が少ないか、糸足の巻きが足りない。回数を増やして、巻き終わりをひと結び
- 糸がすぐ切れる → 一本取りで縫っている。二本取りかボタン付け糸に。穴の縁が鋭いボタンは糸が擦れるので、太めの糸で
- ボタンの位置がずれた → ボタンホールに通した状態で位置を決め、チャコペンで印を付けてから縫う
そして針仕事の基本として、針は使う前に本数を数えて、終わったら同じ本数あるか確かめる。まち針も同じです。針山ごと子どもの手の届かない所に置いてから始めてください。コートのような厚い生地は指ぬきを使うと、針の頭で指を痛めません。
ゆきこ( ゚Д゚)『長男の学校のシャツのボタンを夜中に付けて、朝「裏がちくちくする」と言われました。玉止めのこぶが肌に当たっていたんです。表からすくって玉止めをボタンの下に隠すようにしてから、そのクレームは消えました。裁縫が得意なわけじゃなくても、この一手間だけで仕上がりが違うんですよね』
ボタン付け糸と楊枝、指ぬきと糸切りばさみが一式そろった裁縫セットが1つあると、ボタンが取れた朝に探し回らずに済みます。学校で使った裁縫箱の中身を見直して、足りないものだけ足すのでも十分ですよ。
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ボタンではなくゴムの輪で留める服は、ボタンのループゴムの付け方で付け直しの手順を書いています。シャツの首まわりがきつくて一番上のボタンが留まらない時は、ワイシャツの首まわりがきつい時の対処へ。同じ針仕事でも、靴下の穴は靴下の穴の補修で別のコツを書いています。
まとめ:表からすくって、玉結びはボタンの下に、糸足は楊枝で
- 裏に出さないコツは針を裏まで貫通させず、表地だけをすくう。針は寝かせて
- 玉結びも玉止めもボタンの下に隠す。裏地付きは裏地をめくって表地だけに
- 足つきボタンは足の穴に4〜5回、足に糸は巻かない
- 4つ穴・2つ穴は楊枝を挟んで糸足を作り、3〜4回巻く。通し方は隣と同じに
- 糸はボタン付け糸か二本取り。針は本数を数えて子どもの手の届かない所へ
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