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宿題が終わった子どもの袖口が、まっ黒。白いシャツの脇腹に、ぐるっとこすれた灰色の線。あわてて濡らしたぞうきんでこすったら、汚れが広がってさらに大きなグレーのぼかしになってしまった……。これ、本当によくある失敗なんです。落とすつもりでこすった手が、いちばん汚れを広げていたんですよね。
先に結論をひとつ。鉛筆の汚れは油ではなく「黒鉛の粉」です。だから最初にやることは洗うことではなくて、乾いたまま粉を落とすこと。粉を落としてから洗剤を使うと、あんなに手ごわかった袖口が驚くほどあっさり落ちます。服、手、机、筆箱と、場所ごとに順番に見ていきましょう。
鉛筆の汚れの正体——黒鉛の粉だから、こするほど広がる
鉛筆の芯は、黒鉛と粘土を混ぜて焼き固めたものです。紙の上で書けるのは、この芯が細かい粉になって紙の凸凹に引っかかるから。つまり紙に付いているのも、服に付いているのも、同じ「粉」なんです。
- 油ではないので、水に濡らしただけでは溶けて流れてくれません。かといって完全に水をはじくわけでもなく、中途半端に濡れると粉が繊維の奥に入り込みます
- こするといちばん悪い。粉なので、力をかけた方向にそのまま伸びます。5cmの汚れを10cmに広げているだけ、ということが本当に多い
- 乾いていれば、意外と簡単に取れる。粘着テープや消しゴムで、表面に乗っている粉のほとんどを回収できます
だから手順の順番がとても大事で、「乾いたまま粉を取る」→「洗剤で残りを浮かせる」→「洗う」という流れになります。ここを逆にしなければ、たいていの鉛筆汚れはなんとかなりますよ。
服についた鉛筆汚れの落とし方——5つの手順
- まず乾いたまま、粉を取る。粘着テープをぺたぺたと押し当てるか、消しゴムで軽くこすって粉を浮かせ、乾いた歯ブラシで払います。表面の黒さがここで半分以上なくなります。濡らすのはこのあと
- 汚れの下にタオルを敷く。汚れた部分の裏側に乾いたタオルを当てて、上から洗剤を使う準備。裏に汚れが移らず、たたいた汚れをタオルが吸ってくれます
- 食器用洗剤か洗濯用の固形石けんを直塗り。汚れの上に少量を直接のせて、指の腹でくるくるとなじませます。固形石けんなら、水で少し湿らせた汚れに直接こすりつける形で。ここで初めて水分を使います
- 指の腹でもみ洗い、または歯ブラシで軽くたたく。ゴシゴシではなく、繊維の間から押し出すイメージで。ブラシを使うなら「こする」ではなく「たたく」。生地を傷めません
- ぬるま湯ですすいで、いつも通り洗濯機へ。40度くらいのぬるま湯だと落ちがよくなります。洗い上がりを見て、まだ残っていたら3〜4をもう一度。落ちきる前に乾燥機にかけないのがコツで、熱を通すと残った汚れが定着しやすくなります
色柄物や大事な服は、必ず目立たない所(裾の裏や縫い代)で試してから。それと、鉛筆の汚れに塩素系の漂白剤は使わないでください。黒鉛は漂白では分解されないので効果が薄いうえ、色柄が抜けてしまいます。使うなら酸素系を、洗濯表示を確かめたうえで。洗剤や漂白剤は換気しながら扱って、子どもの手の届かない所に戻してくださいね。
体操服の袖口、白いシャツ、黒い制服——素材と色で変わるところ
- 体操服の袖口。綿とポリエステルの混ざった生地は、粉が繊維の間にたまりやすい場所です。乾いた歯ブラシで袖口をトントンと払ってから、固形石けんを直塗り。袖口だけを手でもみ洗いしてから洗濯機に入れると、ぐんと差が出ます
- 白いシャツ。白は目立ちますが、そのぶん落ちたかどうかが分かりやすいので、手順を1回ずつ確認しながら進められます。仕上げに酸素系の漂白剤を薄めてつけ置きすると、うっすら残ったグレーが抜けることも。洗濯表示は必ず確認を
- 黒や紺の制服・ズボン。黒鉛の汚れは目立ちにくい代わりに、洗剤や石けんの跡が白く残るほうが目につきます。直塗りしたら、すすぎをいつもより長めに
- ウールやスーツ地。水をたっぷり使うと縮みや型崩れの心配があるので、乾いたブラシで粉を払うところまでにして、あとはクリーニングに任せるのが安全です
- 上履きやスニーカーの布地。粉を払ってから、固形石けんとブラシで。同じ「布についた落ちにくい汚れ」の話として、上履きの油性ペンの落とし方の手順が近いので、あわせて読むと分かりやすいと思います
ちなみに、絵の具や口紅のような色のついた汚れとは落とし方がまったく違います。あちらは色素と油の話なので、水よりも洗剤の力が要ります。服についた絵の具の落とし方や口紅が服についた時の落とし方もどうぞ。同じ「まず何をするか」でも、鉛筆だけは乾いたままから始まるのが面白いところです。
手の側面の黒ずみ——ゴシゴシしなくていい
右手の小指側、いわゆる手刀の部分が黒くなるあれ。書いた文字の上を手が滑るので、宿題1枚でしっかり付きます。左手で書く子は、書いた直後の文字の上を必ず手が通るので、もっと付きやすいんですよね。
- 石けんをよく泡立てて、泡でなでる。手のひらでしっかり泡を作ってから、黒ずんだ部分を包むように。泡が粉を持ち上げてくれます
- スポンジのやわらかい面か、目の細かい布で軽く。硬いブラシやたわしは、皮膚を傷めるだけで効果は変わりません。赤くなったらそこでやめてくださいね
- ぬるま湯で。冷水より落ちが早いです
- 残ったら、その日は気にしない。皮膚の表面に入った分は、翌日には自然に薄くなります。無理に落とそうとして手荒れになるほうが困りますから
- 予防はアームカバーか、袖をまくる。手にも服にも効きます
机・筆箱・下敷きの黒い汚れ
紙の下に敷いている机の天板や、鉛筆を裸で入れている筆箱の中。ここも粉がたまります。
- 机の天板。まずは消しゴムを試してみてください。板の上の粉は、紙の上と同じで消しゴムがよく効きます。そのあと固く絞った布で水拭き、乾拭きで仕上げ。落ちない黒ずみには、薄めた中性洗剤を布に含ませて。木の机や塗装のあるものはテーブルの汚れの落とし方の考え方と同じで、強い研磨は最後の手段です
- メラミンのスポンジは慎重に。よく落ちる代わりに、塗装やつや、印刷された文字まで削ってしまいます。使うなら見えない場所で試して、力を入れず、水だけで軽く
- 筆箱の中。まず外で逆さにして粉を落としてから、乾いた布で拭き取ります。それでも残る黒さには、薄めた中性洗剤を含ませて固く絞った布で。布製の筆箱なら、洗濯表示を見て手洗いできるものも多いです
- 下敷きやクリアケース。表面がつるつるなので、消しゴムか乾いた布でほぼ落ちます。アルコールを含ませた布も有効ですが、印刷やキャラクターの絵が消えることがあるので、端で試してから
- 壁や床に付いた線。消しゴムで軽く。壁紙は表面が弱いので、こすらずに一方向へ優しく動かします
「服を消しゴムでこすっていいの?」——いい場合とダメな場合
これはよく聞かれる質問ですよね。答えは「乾いた状態で、軽くなら効く」です。
- いい場合:綿やポリエステルなど丈夫な生地に、乾いた汚れが乗っているとき。表面の粉を回収する目的なら、消しゴムは優秀です
- ダメな場合:濡れている生地(消しかすが繊維に練り込まれます)、ニットや起毛したもの(毛羽立ちます)、薄手のブラウスやシルク。この場合は粘着テープに切り替えてください
- 力を入れない。あくまで表面をなでる程度。ここで力を入れると、粉を奥へ押し込むことになります
- 白い消しゴムを使う。色付きのものは、まれに色が移ることがあります
いちばん楽なのは予防——下敷き、袖、そして書く姿勢
- 下敷きを必ず敷く。前のページの文字が写るのを防げますし、紙が沈まないので手が汚れにくくなります。地味ですが効果はいちばん大きい
- 袖をまくる、アームカバーをつける。冬の長袖は袖口が汚れの主役になります
- 左手で書く子は、紙を少し傾ける。書いた文字の上を手が通らない角度にすると、汚れがぐっと減ります。ノートを右に30度ほど回すだけでも違いますよ
- 筆箱に鉛筆キャップを。芯が中で当たって粉が散るのを防げます
- 短くなった鉛筆は補助軸で。持ちにくい鉛筆は手が紙に近づいて汚れやすいので、補助軸で長さを足すと持ちやすくなります。使い切ったあとの捨て方は鉛筆とノートと年賀状の捨て方にまとめています
ゆきこ( ゚Д゚)『体操服の袖口が灰色のグラデーションになって、洗濯機に3回入れても薄くならない、という話は本当によく聞きます。乾いた歯ブラシで払ってから固形石けんを塗ると1回で落ちることが多くて、今まで何と戦っていたんだろう、となりがちです』
子どもがいると、鉛筆に限らず「部分汚れ」は毎週やってきます。洗濯用の固形石けんをひとつ洗面所に置いておくと、気づいたその場でこすっておけるので、洗濯前の下処理がぐっと楽になりますよ。
あわせて読みたい
同じ「服についた落ちない汚れ」でも、素材が違えば手順も変わります。服についた絵の具の落とし方、上履きの油性ペンの落とし方、口紅が服についた時の落とし方をどうぞ。机まわりの汚れならテーブルの汚れの落とし方、学用品の片づけには鉛筆とノートと年賀状の捨て方もあわせて。
まとめ:濡らす前に、乾いたまま粉を取る
- 鉛筆の汚れは油ではなく黒鉛の粉。こするほど広がります
- 服はまず乾いたまま消しゴムか粘着テープで粉を回収
- 次に食器用洗剤か固形石けんを直塗りして、指の腹でもみ洗い
- 手は泡でなでるだけ。机や筆箱は消しゴムのあと水拭きで
- 塩素系は使わない。色柄物は目立たない所で試してから
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手順を1枚にまとめました。



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