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座っているうちに、椅子の座面がじわじわ下がってくる。レバーを引いても上がらない。転がすとガタガタして、床に黒い跡がつく。うちのデスクチェアも、夫が単身赴任先に持っていかずに残していったものが、いつの間にか「座ると沈む椅子」になっていました。
先に結論をひとつ。座面が下がるのはガスシリンダー、転がりが悪いのはキャスターの寿命で、どちらも部品だけ買って自分で替えられることが多いんです。ただしガスシリンダーは中に高圧のガスが入った部品なので、外し方と捨て方にだけは守ってほしい約束があります。症状の見分け方から、キャスター交換、ガスシリンダーの外し方、寿命の目安、メッシュ座面の掃除まで、順番に見ていきましょう。
まず症状で切り分け——下がる・ガタつく・鳴る、犯人はそれぞれ違う
「椅子が壊れた」と一口に言っても、悪くなっている部品はだいたい1つです。症状から見当をつけると、買う部品も1つで済みますよ。
- 座面が勝手に下がる/レバーを引いても上がらない/一番上で止まらない → ガスシリンダー(昇降シリンダー)。中のガスが抜けているか、内部の弁が傷んでいます
- 転がらない・引っかかる・床に跡がつく・ガタガタ揺れる → キャスター。車輪に髪の毛やホコリが巻きついているか、車輪そのものがすり減っています
- 回すとギシギシ・キーキー鳴る → キャスターの軸か、シリンダーと脚の差し込み部分にたまったホコリ。潤滑スプレーを少量で直ることが多いです
- 座面全体がぐらぐらする → 座面の裏のネジのゆるみ。六角レンチやドライバーで締め直すだけで直ります
「全部替えなきゃ」と思わなくて大丈夫ですよ。
キャスターの交換——引き抜いて差すだけ、差込軸の太さを測るのがコツ
キャスターは、椅子の5本脚の先に差さっているだけの部品です。ネジ止めではないので、工具はほとんどいりません。
- 椅子を横に倒す。床に毛布か段ボールを敷いてから
- キャスターを手でまっすぐ引き抜く。固いときは、車輪の付け根と脚の間にマイナスドライバーを差し込んで、てこの要領で少しずつ。脚を傷つけないよう、当て布をしてくださいね
- 抜いた軸の太さと長さを測る。差込軸は直径11mm・長さ22mm前後のものがいちばん多いのですが、10mmや他のサイズもあるので、必ず現物を定規で測ってから買います。ここを省くと「届いたのに入らない」になりがち
- 同じサイズの新しいキャスターを差し込む。最後は椅子を起こして体重をかけると、カチッと奥まではまります
買い替えるなら静音タイプがおすすめです。ウレタンやゴム巻きの車輪はフローリングに跡がつきにくく、転がる音も静か。逆にカーペットの上では、硬めの車輪のほうが転がりやすいです。髪の毛が巻きついているだけなら、交換しなくてもハサミやピンセットでほどくだけで見違えるほど転がりますよ。
ガスシリンダーの交換手順——座面を外して、脚から抜いて、新しいのを差すだけ
用意するものは、ゴムハンマー(なければ当て布をした金づち)、パイプレンチ(滑り止めの歯が付いた大きめのレンチ)、潤滑スプレー、軍手、床に敷く毛布か段ボール。それから、できれば手伝ってくれる人がひとり。脚を押さえてもらえるだけで全然違います。
- 座面を一番高い位置にしてから、椅子を横に倒す。床に毛布を敷いて、まわりに子どもがいない時間に
- 座面と脚を分ける。多くの椅子は、シリンダーが座面下の金具(受け皿)に「差さって固着している」だけです。座面裏の受け皿を、下からゴムハンマーでコツコツ叩くと、ある瞬間にスポッと抜けます
- 脚からシリンダーを抜く。ここが一番固いところ。シリンダーの下のほうをパイプレンチでつかんでひねりながら、脚の中央部分をゴムハンマーで叩きます
- 新しいシリンダーを脚の穴に差し込む。太いほうが下です。向きを間違えると入りません
- 座面の受け皿をシリンダーの上にかぶせて、椅子を起こして座る。体重でしっかりはまります。ネジも接着剤もいりません
買うときの確認はひとつだけ。差し込み部分の規格はほぼ共通なので、外したシリンダーの全長と新しいものの全長を見比べて、極端に違わないものを選びます。長さが違うと、座面の高さの範囲がずれてしまいます。
固着して抜けないとき——潤滑・叩く・回す、それでもダメなら無理をしない
何年も体重を受け止めてきたシリンダーは、脚にも座面にもがっちり食い込んでいます。抜けないのが普通、くらいの気持ちで順番に試してみてください。
- 潤滑スプレーを接合部に少しだけ吹いて、10分ほど置く。かけすぎると床が滑るので、下に新聞紙を敷いて、窓を開けて
- 座面側は、受け皿を下から均等に叩く。一点だけでなく、対角に回しながらコツコツ。受け皿が曲がると座面が傾きます
- 脚側は、レンチで回しながら叩く。もうひとりに脚を押さえてもらうと、力が逃げなくて楽です
- 逆さにして、脚の穴の下からシリンダーの底を叩き出す方法も。細い金属の棒を当てて、金づちで押し出します
- それでもダメなら、キャスター付きの脚ごと交換するか、買い替えの線で考えます
ここで一番大事な注意です。ガスシリンダーの中には高圧の窒素ガスが入っています。分解・穴あけ・加熱は絶対にしないでください。切ったり穴を開けたりすると中身が勢いよく飛び出しますし、ドライヤーやバーナーで温めるのも危険です。ハンマーで叩いていいのは脚や座面の金具の部分だけ。シリンダーの筒そのものを強く叩いたり、万力で挟んで潰したりしないでくださいね。工具とスプレーは、作業が終わったら子どもの手の届かない所へ。
ガスシリンダーの寿命の目安と、交換より買い替えを考える線
- 寿命の目安は、毎日使って5〜8年前後。座る・立つの回数と体重で前後します。在宅仕事で一日中座っている椅子は早め
- 弱り方には順番がある。まず一番上まで上がらなくなる → 次に座るとゆっくり沈む → 最後は一番下で固定。「上がりが悪いな」の段階で気づけると余裕があります
- 交換で済むのは、座面のクッションと背もたれがしっかりしていて、脚にひびがない場合。シリンダーだけで座り心地は買った頃に近く戻ります
- 買い替えを考える線は、座面のウレタンがぺたんこ、背もたれがぐらつく、脚にひび、そして部品代の合計が新品の3分の1を超えるとき
- 交換できない椅子もある。シリンダーが脚と一体だったり、ネジ止めの特殊な形だったりする椅子は、取扱説明書かメーカーの部品ページで先に確認を
「もう寿命かな」と椅子ごと替えるか迷ったときは、ゲーミングチェアを買って後悔した話も読んでみてください。座り心地だけで選ぶと失敗する、という実感を書いています。
メッシュ座面の掃除——洗剤は薄めて、ゴシゴシしない
メッシュの座面や背もたれは、網目にホコリと皮脂がたまって黒ずみます。手順は、掃除機のブラシで網目のホコリを吸う → 薄めた中性洗剤を布に含ませて叩くように拭く → 固く絞った布で水拭き → 陰干し、の4つで十分です。メッシュは張りが命なので、ゴシゴシこすったり、たわしを使ったりは避けてくださいね。椅子を倒すときも、メッシュの上に体重を乗せないように。月に1回の水拭きで、驚くほど長持ちします。布張りの座椅子の洗い方は座椅子の洗い方とカバーの話にまとめています。
外したガスシリンダーとキャスターの捨て方
- ガスシリンダーは高圧ガス入りのまま捨てることになります。多くの自治体では不燃ごみか粗大ごみですが、扱いが違う地域もあるので、分別表か窓口で「椅子の昇降シリンダー」と伝えて確認を。自分で穴を開けてガスを抜く、はしないでください
- キャスターは金属と樹脂が混ざった部品。自治体の区分に従います
- 椅子ごと処分するなら粗大ごみ。シリンダーを付けたままでよいかも聞いておくと二度手間になりません
ゆきこ( ゚Д゚)『夫の置き土産の椅子、座るたびに5cmずつ沈んでいくので、下の子が「エレベーター」と呼んで遊んでいました。シリンダーを替えた日、座っても沈まない椅子ってこんなに落ち着くんだな、としみじみ。ただ脚から抜くのは本当に固くて、長男に脚を押さえてもらってやっと。ひとりでやらなくてよかったです』
交換用のガスシリンダーは規格がほぼ共通なので、外したものの全長と見比べれば選べます。キャスターは差込軸を測ってから、静音タイプを選ぶと床の傷と音の両方が楽になりますよ。
あわせて読みたい
椅子まわりの話として、ゲーミングチェアを買って後悔した話では、買い替えで失敗しないための視点を書いています。床に直接座るタイプなら座椅子の洗い方とカバーの話を。椅子のキャスターと同じくホコリで動きが悪くなる家電として、サーキュレーターの掃除で外れない時の話もあわせてどうぞ。
まとめ:下がるならシリンダー、ガタつくならキャスター、高圧ガスは分解しない
- 座面が下がるのはガスシリンダー、転がらないのはキャスター。悪い部品は1つが多い
- キャスターは引き抜いて差すだけ。差込軸を測ってから買う(11mmが多い)
- シリンダーは受け皿を叩いて外し、脚から回しながら抜く。新品は座るだけで固定
- 寿命は5〜8年前後。座面や脚が傷んでいれば買い替えの線も
- 高圧ガス入りなので分解・穴あけ・加熱はしない。捨て方は自治体に確認
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手順を1枚にまとめました。



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