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売り場でもインターネットでも、この2つは「ほったらかしで料理ができる家電」として、たいてい隣に並んでいます。どちらも便利そうで、どちらも決め手に欠ける。予算的に買えるのは1台だけ——ここで手が止まってしまう方、多いと思います。
先に結論を言ってしまうと、この2つは目的が正反対です。だから「どちらが優れているか」という比べ方をすると、いつまでも決まりません。
比べる軸はひとつだけ。使う温度帯です。ここが分かると、自分に必要なほうは自動的に決まります。順番に見ていきましょう。
違いはひとつ、使う温度帯です
| 低温調理器 | 電気圧力鍋 | |
|---|---|---|
| 温度帯 | お湯より低い温度帯を保つ | 100度を超える高温(加圧) |
| 時間 | 長い(数時間かかるものも) | 短い(十数分から数十分) |
| ねらい | たんぱく質を固めすぎない | 硬いものをやわらかく崩す |
| 得意 | 鶏むね肉、赤身のかたまり肉 | 角煮、カレー、おでん、豆、玄米、骨付き肉 |
| 苦手 | 繊維の硬い部位をほぐすこと | しっとりした食感を保つこと |
| 使う容器 | 別に深い鍋と袋が要る | 本体だけで完結する |
| 置き場所 | 棒だけなら小さい(鍋は別) | 常に場所を取る |
低温調理器はお湯を一定の低い温度に保ち続ける棒、電気圧力鍋はふたを閉じて圧をかけ、100度を超える温度をつくる鍋。やっていることが物理的に逆なので、一台で両方は成立しません。
作れるものが分かれる「境目」
境目はひとことで言えます。「肉を、しっとりさせたいのか、ほろほろに崩したいのか」です。
- しっとりさせたい(鶏むね、ヒレ、赤身のかたまり)→ 低温調理器。高い温度にするとたんぱく質が縮んで水分が抜け、パサついてしまいます
- ほろほろに崩したい(バラ肉、すね肉、スジ、骨付き)→ 電気圧力鍋。硬い部分をとろけさせるには、高い温度が要ります
ここが決まれば、あとは自然に決まります。「なんとなく便利そう」で選ぶと、どちらを買っても出番が来ません。先に、作りたいものを一皿だけ思い浮かべてみてください。
ふだんの食卓で選ぶなら
| こんな方 | 向いているほう |
|---|---|
| 作り置きの鶏むね肉が主な目的 | 低温調理器 |
| 平日の夕食を時短したい | 電気圧力鍋 |
| カレー、煮込み、豆をよく作る | 電気圧力鍋 |
| たんぱく質の量を意識して食べている | 低温調理器 |
| 台所が狭く、1台しか置けない | 電気圧力鍋(本体だけで完結するため) |
| 帰宅前にセットしておきたい | 電気圧力鍋 |
低温調理器のデメリット
買ってから気づかれやすいところを、正直に並べます。
1. 本体だけでは調理できない
低温調理器はお湯を温めて回す棒です。深めの鍋と、食材を入れる密封できる袋が別に要ります。「これ1台で完結する」と思って買うと、想定より場所も費用もかかった、ということになりがちです。
2. 時間がかかる
薄めの肉でも1時間以上、かたまり肉なら数時間。思い立ってすぐ食卓に出せる道具ではありません。前の晩か朝にセットする生活のリズムでないと、だんだん使わなくなります。
3. 温度と時間の管理が、そのまま安全に直結する
ここが最大の注意点です。低温調理が使うのは、ふつうの加熱よりずっと低い温度帯です。だからこそ、温度と時間はメーカーが決めた条件どおりにしてください。
- 製品の表示や付属のレシピにある温度と時間を、そのまま守る……「だいたいで大丈夫」「早く食べたいから短めに」は通用しません
- 自分で温度を下げたり、時間を縮めたりしない……その組み合わせは、メーカーが安全のために決めているものです
- 食材の厚みや大きさが変われば、必要な条件も変わります……レシピが想定している厚みを超えるものを、同じ時間で扱わないでください
- 調理が終わったら、すぐ食べるか、急いで冷やして冷蔵庫へ……常温に置いたままにしないでください
- 小さなお子さん、ご高齢の方、妊娠中の方、体調を崩している方が食べるものは、しっかり火を通したふつうの加熱を選んでください
少しでも不安があるなら、無理をせずふつうの加熱調理にする。それが恥ずかしいことでも、機械を使いこなせていないことでもありません。公的機関が出している食品の加熱についての案内も、一度目を通しておくと安心です。
4. 運転音と、置き場所
お湯を回すために部品が動くので、作動音があります。数時間つけっぱなしにする道具なので、寝室に近い台所だと気になることがあります。
ゆきこ( ゚Д゚)『「ほったらかし家電」って言葉、便利すぎると思うんです。ほったらかせる時間が家にあるかどうかで、同じ機械が神にも粗大ごみにもなりますから』
迷いが残るなら、失敗しにくいのはどちらか
作りたいものがはっきりしていないなら、本体だけで完結して、押したら放置できる電気圧力鍋のほうが、出番をつくりやすいのは確かです。鍋も袋も要らず、そのまま保温もできるので、「洗い物が増えるから今日はいいや」になりにくいんですね。
選ぶ時は容量に気をつけてください。家族の人数より、作り置きをするかどうかで決めたほうが後悔が少ないと言われています。小さすぎると2回に分けることになり、それだけで使わなくなります。
電気圧力鍋と、直火の圧力鍋はどちらがよいか
同じ「圧力」でも、電気式と直火式では向き不向きが分かれます。
| 電気圧力鍋 | 直火の圧力鍋 | |
|---|---|---|
| 操作 | ボタンを押すだけ。放置できる | 火加減の調整が要る。そばを離れにくい |
| 予約・保温 | できる | できない |
| 圧力の強さ | やや控えめ | 強い。時短の効果が大きい |
| 調理のあと | そのまま保温できる | 移し替えが要る |
| 置き場所 | 常に場所を取る | 戸棚にしまえる |
| 値段 | 高め | 安め |
「ほったらかしにしたい」なら電気式、「調理時間をとにかく短くしたい」なら直火式という分かれ方です。共働きで帰宅前にセットしておきたい、という使い方は電気式でしかできません。
どちらを選ぶにしても、圧がかかっている間はふたを開けようとしないでください。中は熱い蒸気でいっぱいです。開かない時の正しい抜き方は圧力鍋の蓋が開かない時にまとめています。持っていない場合の作り方は圧力鍋の代用へ。
ノンフライヤーとはどう違うか
同じ「時短家電」の棚に並びますが、こちらは水を使わない、乾いた加熱です。
| ノンフライヤー | 電気圧力鍋 | |
|---|---|---|
| 加熱の性格 | 乾かす(熱風) | 潤す(水と圧力) |
| 得意 | 唐揚げ、いも、焼き魚 | 煮込み、カレー、豆 |
| 仕上がり | 表面がカリッとする | やわらかくなる |
この2つは競合しません。役割が補い合う関係なので、両方持っている方が「使い分けられている」と感じやすい組み合わせです。どちらか選ぶなら、ふだん揚げ物を食べる頻度で判断すると外しません。手放した人の理由はノンフライヤーで後悔した理由にまとめています。
自動調理鍋を手放した人の理由
比較の場に、かき混ぜまでしてくれる自動調理鍋が挙がることもあります。手放した理由として重なるのは、性能ではなく運用の部分でした。
- 本体が大きく、置き場所を占め続ける……使わない日も場所を返してくれません
- 洗う部品が多い……内鍋、かき混ぜる部品、蒸気の出口。片付けの重さで使う回数が落ちます
- 結局いつも同じものを作る……レシピの幅が広くても、作るものは固定されがちです
- 時短にならない場面がある……圧をかけない機種は、煮込みに普通に時間がかかります
これは低温調理器が使われなくなる理由と、まったく同じ構造です。手放される要因は調理の性能ではなく、置き場所と洗い物に集まります。詳しくはホットクックをやめた理由へ。
結局どちらを買うか——3つの質問で決まります
- 作りたいのは、しっとりした肉か、崩れる肉か → しっとり=低温調理器/崩れる=電気圧力鍋
- 調理を始められるのは、食べる何時間前か → 数時間前に動ける=低温調理器/直前しか無理=電気圧力鍋
- 深い鍋と袋を、別に用意して置いておけるか → 無理なら電気圧力鍋
3問のうち2つ以上が電気圧力鍋に寄るなら、そちらが失敗しにくい選択です。低温調理器は目的がはっきりしている方には強い道具ですが、目的が曖昧なまま買うと使う回数が落ちやすい種類の家電にあたります。
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低温調理器のほうが気になっているけれど踏み切れない、という方は低温調理器はいらない?と低温調理器で後悔した理由を先に読んでみてください。使わなくなった方の共通点が分かります。電気圧力鍋のほうは電気圧力鍋で後悔した理由で、容量選びの失敗が見えてきます。
まとめ:温度帯で決まる、迷ったら押すだけのほうへ
- 違いは温度帯。低温調理器は低い温度で長く、電気圧力鍋は高温で短く
- 分かれ目はしっとりさせたいか、崩したいか。両立はしません
- 低温調理器の弱点は鍋と袋が別に要る・時間がかかる・音
- 低温調理の温度と時間は、必ず製品の表示どおりに。短くしない
- 迷うなら押すだけで完結する電気圧力鍋が出番をつくりやすい
保存版:この記事の早見表
選び分けを1枚にまとめました。

※加熱の条件や安全上の注意は製品によって異なります。必ずお使いの製品の取扱説明書と、公的機関が示す食品の加熱に関する情報をご確認ください。体調や食物アレルギーに関わる判断は、医師にご相談ください。


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