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ベランダの物干しロープ、自転車カバーの固定、子どものテントの張り綱。しっかり結んだつもりなのに、翌朝見たらするんと緩んでいる。もう一度きつく結んでも、風が吹いた日にはまた同じ。「私の結び方が下手なのかな」と落ち込む前に、ひとつ知っておいてほしいことがあります。
結びには「向き不向き」があって、緩むのはたいてい、その場面に合わない結びを使っているだけなんです。先に結論を言うと、覚える結びは目的別に3つで足ります。柱に固定する結び、2本をつなぐ結び、ピンと張る結び。それぞれの手順と、ほどけない結びのつもりが「縦結び」になっている失敗の見分け方、緩む原因、そして「固く締まって外れない」時の外し方まで、順番に見ていきましょう。
「一番ほどけない結び方」は、目的で変わる
「一番ほどけない結び」を1つだけ教えてほしい、という気持ちはよく分かるのですが、正直に言うと万能の1つはありません。物干し竿に固定する時に強い結びが、ロープ同士をつなぐ場面では滑ってしまう、ということが普通にあるからです。
- 柱・棒・フックに固定したい→巻き結び、ふた結び
- 2本のロープをつなぎたい→本結び(同じ太さ)、テグス結び(太さが違う・滑る素材)
- ロープをピンと張って、たるませたくない→トラッカーズヒッチ
- あとで簡単に外したい→上の結びに「引き解け」を一段足す
この4行だけ覚えておけば、日常の「結ぶ」はほぼ全部まかなえます。ここからひとつずつ見ていきますね。
柱・棒に固定する——巻き結びとふた結び
巻き結びは、棒や横木に横方向の力で固定する時の定番です。
- ロープを棒に1周巻いて、端を長い方のロープの上に交差させる
- そのまま同じ方向にもう1周巻く
- 2周目の端を、最初の交差の下(棒とロープの間)にくぐらせて、両側を引いて締める
棒の上でロープが「×」に交差して見えたら成功です。物干し竿にロープを固定する、テントのポールに結ぶ、といった場面で力を発揮します。ただし、片方向にだけ力がかかり続けると、じわじわ回って緩むことがあるのが弱点なんですよね。
そこでふた結び。端を柱やフックに回して、長い方のロープに端でひと結び。それをもう1回、同じ向きで重ねます。ぶら下がる方向に力がかかるほど締まるので、植木鉢のハンギングや、ロープの端をフックに固定する場面に。巻き結びのあとにふた結びを1つ足しておくと、回って緩む弱点も消えます。私はベランダの物干しロープは「巻き結び+ふた結び」で落ち着きました。
2本のロープをつなぐ——本結びと、縦結びになる失敗
同じ太さのロープ2本をつなぐ、袋の口を縛る、包帯のように平らに結びたい時は本結びです。
- 右の端を左の端の上に乗せて、1回からめる(普通の一重結び)
- 次は左の端を右の端の上に乗せて、もう1回からめる
- 4本を左右に引いて締める
ポイントは手順2の「反対側を上に」。1回目に右を上にしたら、2回目は左を上に。ここで同じ側を上にしてしまうと、見た目は似ているのにするする滑る縦結びになります。靴紐がすぐほどける人の原因も、たいていこれと同じ理屈で、靴紐がすぐほどける原因で詳しく書いています。
太さの違うロープ同士、あるいは表面がつるつるした化繊のロープをつなぐなら、テグス結びのほうが確実です。2本を向かい合わせに並べて、それぞれの端で相手のロープに止め結び(ひと結び)をします。長い方同士を引くと、2つの結び目が寄ってきてぴたっと止まります。濡れても滑る素材でも緩みにくく、釣り糸の結びが名前の由来。外しにくいのが唯一の欠点なので、ずっとつないでおく場面向きです。
ピンと張る——トラッカーズヒッチ(引き解けの輪+滑車の理屈)
物干しロープやカバーの固定で、結んだ時はピンとしていたのに、時間がたつとたるむ。これは結びが緩んだのではなく、張る力が足りていなかったことが多いんです。人の手で引ける力には限りがあるので、そこで滑車の理屈を使います。
- 片方の端を柱に巻き結びかふた結びで固定する
- 反対側の柱の近く、ロープの途中に引き解け結びで小さな輪を作る。ロープを二つ折りにして、その折り目でひと結びをして、折り目の輪を残したまま締めると簡単
- 端を反対側の柱やフックに回して、戻ってきた端を手順2の輪に通す
- 端を柱の方へ引く。滑車と同じ仕組みで、手で引くより強く張れる
- 張った状態を片手で保ちながら、輪の下でふた結びをして止める
一度できると「今までの張り方は何だったんだろう」と思うくらい違いますよ。車の荷台や引っ越しの荷締めにも使われる結びですが、そこはあとで書く安全のところをぜひ読んでください。
縦結びの見分け方と、緩む原因3つ——濡れ・滑る素材・締め方
「本結びのつもりだったのにほどけた」の正体は、ほぼ縦結びです。結んだあとに一度見てみてください。
- 本結び:結び目が平たく、4本のロープのうち、同じ側の2本(端と元)が同じ方向に揃って結び目から出ている。結び目を左右に引いても形が変わらない
- 縦結び:結び目がねじれて立体的に見え、端が結び目に対して直角に飛び出している。左右に引くと結び目がくるっと回って、片方の端がするする抜けていく
見分けに自信がなければ、結んだあとに端と元を強めに引いてみるのが一番早いです。動いたら縦結び。ほどいて、2回目の上下を逆にして結び直せば直ります。「右上、左上」と声に出しながら結ぶと、子どもでも間違えませんよ。
縦結びではないのに緩む時は、次の3つのどれかを疑ってみてください。
- 濡れて乾いた。綿や麻は濡れると太くなり、乾くと縮んで、結び目の中にすき間ができます。屋外に置きっぱなしのロープが朝になると緩んでいるのは、たいていこれ。雨に当たる所は、伸び縮みの少ないポリエステルにするか、テグス結びのように濡れても締まる結びを
- 滑る素材。ポリプロピレンや表面がつるつるした化繊は、結び目の中でロープ同士が滑ります。巻きを1回増やす、端を長めに残す、端に止め結びを足す、の3つでかなり変わります
- 締め方が甘い。結び目を作ったあと、4本すべてを1本ずつ引いて形を整えてから、最後に全体を締める。まとめて一気に引くと、中の1本だけ緩んだままになります
簡単に外せるのに緩まない結び——「引き解け」を一段足す
「ほどけない」と「外せない」は別の話で、日常で本当にほしいのは使っている間は緩まず、片付ける時はさっと外せる結びですよね。方法は簡単で、最後のひと結びを、端を二つ折りにして通すだけ。蝶結びの片側だけを作るイメージです。
- ふた結びの2つ目を引き解けにする → 端を引くだけでほどける。物干しロープや自転車カバーの固定に
- 本結びの2回目を引き解けにする → 袋の口を縛る時の定番。片方の端を引けば一発
- トラッカーズヒッチの止めのふた結びを引き解けにする → 張ったまま止まり、片付けは数秒
それでも固く締まって外れない結び目ができてしまったら、無理に爪で引っかかずに、結び目を硬い床の上で転がして潰す、指で揉んで中の1本を少しずつ緩める、それでもだめなら千枚通しや目打ちの先を結び目のすき間に差し込んで、1本ずつ持ち上げます。先のとがった道具は手元をよく見て、子どもがいない所で。濡れて締まった綿のロープは、一度乾かしてから触ると素直にほどけることが多いですよ。
結ぶ前に、これだけは——ロープの安全のこと
- 人や動物を縛らない。遊びでも、しつけでも。ほどけない結びは、とっさの時にほどけません。首や体にロープを掛けない、子どもの手の届かない所に置く、は輪っかの記事と同じ約束です
- 車の荷締めは専用のベルト(ラチェット式など)を。ロープの結びは走行中の振動で少しずつ緩みます。荷崩れは自分だけでなく後ろの車にも関わることなので、家庭用ロープで代用しないでください
- 高い所で人が使うロープは専門家と専用品。ぶら下がる、登る、命を預ける用途は、この記事の結びで代用できません
- 屋外に長く張ったロープは、月に一度は結び目と擦れる所を触って確かめる。毛羽立ち、硬化、色あせが出たら交換を
ゆきこ( ゚Д゚)『自転車カバーが台風の夜に飛んでいって、翌朝マンションの植え込みから回収したことがあります。あの時の結びは、今思えば見事な縦結びでした。「右上、左上」を覚えてからは、次男の運動会の荷物も、ベランダのロープも、一度も緩んでいません』
結びの練習は、太さ5〜6mmくらいの綿ロープがいちばん覚えやすいです。手になじんで、結び目の形が見やすく、締めるとしっかり止まるので、「合っているかどうか」がすぐ分かります。屋外用には同じ太さのポリエステルを1本。
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「輪っかを作りたい」ならロープの輪っかの作り方へ。大きさが変わらない輪、すぐ外せる輪、大きさを変えられる輪を用途別に図解しています。縦結びの理屈は靴紐がすぐほどける原因と同じなので、あわせて読むと腑に落ちると思います。風で倒れる自転車は自転車スタンドの風対策で、ロープ以外の方法も書いています。
まとめ:目的で結びを選ぶ、縦結びを避ける、外し方を先に決める
- 万能の1つはない。固定・つなぐ・張るの目的で結びを選ぶ
- 固定は巻き結び+ふた結び。つなぐは本結び、滑るならテグス結び
- ピンと張るならトラッカーズヒッチ。引き解けの輪で滑車の理屈
- 本結びは「右上、左上」。同じ側を続けると縦結びで滑る
- 人や動物を縛らない。荷締めは専用ベルト、高所は専門家と専用品
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手順を1枚にまとめました。



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