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肌寒くなってきて、去年しまったブーツを出してみたら、足首のあたりでくたっと折れて、そこにくっきり横ジワが入っている。においもなんとなくこもっていて、履く前から気持ちが下がってしまう——秋の玄関先で、わりとよくある光景だと思います。
ただ、これはブーツが古くなったから起きたわけではないことが多いです。しまっている間、ブーツの筒には支えるものが何もありません。人の足という支柱が抜けた状態で、自分の重さだけで何か月も立たされていれば、やわらかい素材ほど前に倒れて折れます。湿気やホコリも、閉じた空間に置かれた分だけじわじわ効いてきます。つまり、原因のほうがだいたい決まっているのです。
そして助かることに、この3つはどれも100円ショップで手に入るもので、かなりのところまで対処できます。ブーツキーパー、シューズハンガー、不織布のカバー、乾燥剤、突っ張り棒。名前だけ見ると似たようなグッズに見えますが、実はそれぞれ解いている問題が違います。そこでこの記事では、何がどの問題を担当しているのかを整理したうえで、家にあるもので代用できる範囲、しまう前にやっておきたいこと、置き場所別の考え方までまとめました。
ブーツがだめになるのは「型崩れ・湿気・ホコリ」の3つから
収納の話に入る前に、そもそも何がブーツを傷めているのかを分けておくと、グッズ選びで迷わなくなります。原因は大きく3つです。
①型崩れ——筒は、支えがないと立っていられません
ブーツの筒が形を保っていられるのは、履いている間だけ脚という芯が入っているからです。脱いだ瞬間にその芯は抜けます。やわらかい革、スエード、合成皮革、ムートンあたりは、自分の重さを支えられずに前へ倒れていきます。倒れると、いちばん細くてやわらかい足首の周りに折れ目が集中します。
怖いのは、その折れ目が何か月もそのままだということです。革でも合皮でも、表面の繊維や樹脂の層は、同じところに圧力がかかり続けると押しつぶされた形で落ち着いてしまいます。短時間の折れジワなら履いているうちに伸びますが、ワンシーズン置いた折れ目は戻りにくくなります。ロングブーツほど筒が長く倒れやすいので、この差がはっきり出ます。
②湿気——足の汗は、思っているより残ります
足は一日でコップ一杯ぶんほどの汗をかくといわれます。ブーツは足首から上が筒でふさがれていて、空気の出入りが履き口しかありません。スニーカーなら一晩で乾く量の水分が、ブーツだと数日残ることがあります。
そのまま袋やケースに入れてしまうと、閉じた中で温度・湿度・栄養(皮脂や汚れ)という条件が揃います。カビにとってはこれ以上ない環境です。さらに合成皮革の場合は、素材に使われるポリウレタンが水分と反応して少しずつ分解していく性質があるので、湿気を抱えたまま置くのは寿命そのものを縮めることになります。
③ホコリ——積もると、革の油分を吸い取ります
出しっぱなしのブーツにうっすら積もる白いホコリ。見た目の問題だけに思えますが、ホコリは繊維くずや皮脂を含んでいて、革の表面から油分を吸い出しますし、そのままカビや虫の栄養にもなります。
だからといってビニール袋で密閉すると、今度は②の湿気が逃げ場をなくします。ホコリは防ぎたいけれど空気は通したい。この矛盾を引き受けているのが、後で出てくる不織布のカバーです。
100円ショップで揃うものと、それぞれが解く問題
ここからが本題です。似たようなコーナーに並んでいても、担当している問題は見事に分かれています。表にすると選びやすくなると思います。
| 100均アイテム | 解決する問題 | 向かない場面 |
|---|---|---|
| ブーツキーパー(筒に差し込む支え) | 型崩れ。内側から筒を立てて折れ目を作らせない | 極端に細い筒。サイズが合わないと逆に筒が張って広がる |
| シューズハンガー・ブーツ用クリップ | 型崩れ+湿気。吊るすと全周に空気が当たる | 履き口がやわらかい素材(クリップ跡が残る)。重いロングブーツ |
| 不織布カバー・シューズ収納袋 | ホコリ。通気を保ったまま覆える | 乾ききっていないブーツ。湿気を抱えたまま包むことになる |
| 乾燥剤・除湿剤(シリカゲル、塩化カルシウム型) | 湿気。閉じた空間の水分を引き受ける | 入れっぱなしで交換しない使い方。効果は永久ではない |
| 突っ張り棒 | 下駄箱やクローゼットの空間不足。棚を増やす・吊るす場所を作る | 耐荷重を超える掛け方。ブーツは片方でも重い |
| すのこ・ワイヤーラック | 床からの湿気。底面に空気の層を作る | 不安定な積み方。倒れると型崩れの原因になる |
この表でいちばん伝えたいのは、ひとつのグッズが全部を解決してくれるわけではないということです。キーパーを入れても湿気は抜けませんし、乾燥剤を放り込んでも筒は立ちません。だから「型崩れ担当」と「湿気担当」と「ホコリ担当」を、ひとつずつ組み合わせる形になります。
組み合わせの基本形は、3点セットです
いちばん素直な組み合わせは、筒に支えを入れて、乾燥剤を足元に置いて、不織布で覆うという形になります。ここに置き場所の工夫として突っ張り棒やすのこが加わる、という考え方です。ロングブーツで倒れやすいものだけ吊るす方式に切り替える、というふうに、素材と長さで使い分けるのが現実的だと思います。
なお、ブーツキーパーは100円ショップのものでも十分に働いてくれますが、ロングブーツで筒が長い場合や、革が重くて自立しないものは、上まで支えの届く長さのあるタイプのほうが折れ目を防ぎやすくなります。バネ式で長さが伸び縮みするものや、履き口までカバーする樹脂製のものは、100円ショップの棚だとサイズ展開が限られることもあるので、そこだけ専用品を足すという選び方もあります。
ちなみに100円ショップの品揃えは店舗と時期でかなり変わります。ブーツ用品は秋から冬に並んで、春には棚ごと入れ替わることも珍しくないので、シーズン終わりにまとめて買おうとすると見つからない、ということが起こりがちです。
ブーツキーパーがない時、家にあるもので代用できるか
買いに行く前に、家にあるもので間に合わせたい日もあると思います。代用品はどれも「筒を内側から支える」という一点では同じ働きをしますが、向き不向きがはっきり分かれます。
| 代用品 | 得意なこと | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 丸めた新聞紙 | 太さを自由に調整できる。紙自体が水分を吸うので乾燥も兼ねる | インクが内側に色移りすることがある。淡い色の裏地は無地の紙を一枚挟む |
| 空のペットボトル(キャップを閉めて) | 硬さがあり、筒がしっかり立つ。長さのあるものなら上まで支えられる | 断面が丸いので筒が丸く広がりやすい。凹凸が跡になることがあるので布を巻く |
| 雑誌・カレンダーを丸めたもの | 紙が戻ろうとする力で内側から押し広げる。太さを細かく決められる | 輪ゴムで留めると跡がつく。厚みがあると重く、底に負担がかかる |
| ラップやキッチンペーパーの芯 | 軽く、まっすぐ。ショートブーツなら足りる | 細いので一本では支えきれない。数本を束ねる前提になる |
| タオル・古着を巻いたもの | やわらかく、当たりが優しい。スエードでも跡が残りにくい | 湿気を含みやすい。長期保管では中で湿ったままになることがある |
この中でワンシーズン置く長期保管に向くのは、丸めた新聞紙かペットボトルのほうです。タオルや古着は当たりが優しくて短期には便利なのですが、周りの湿気を吸って抱え込むので、長く入れっぱなしにするとカビの側に味方してしまいます。
それから、どの代用品でも共通して気をつけたいのが詰めすぎです。ぎゅうぎゅうに押し込むと筒が外側へ張って、今度は「広がった形」で癖がついてしまいます。手を離しても倒れない、けれど押すとへこむくらいの、ゆるい支えで十分に足ります。
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しまう前にやっておきたい、汚れ落としと乾燥
収納グッズをどれだけ揃えても、汚れたまま・湿ったまましまうと、その状態を密閉して保存することになります。順番としては、こちらが先です。
汚れは、乾かしてから落とすほうがきれいに落ちます
泥や砂は濡れているうちに拭くと、かえって革の目に押し込んでしまいます。いったん乾かして、ブラシで払うほうが落ちます。ブラシは馬毛のような柔らかいもので、縫い目やヒールの付け根に沿って。ここに残った皮脂や泥が、そのままカビの栄養になります。
雪の日に出かけたあと、白い粉が浮いたようになることがあります。これは融雪剤の塩分が乾いて出てきたもので、放っておくと革の水分と油分を奪います。かたく絞った布で軽く拭き取り、そのあとしっかり乾かしてもらえたらと思います。子ども用の長靴も同じ理屈で、洗ってからの乾かし方のほうが仕上がりを左右します。そのあたりは子どもの長靴の洗い方のほうで詳しく書いています。
乾かすのは、風。熱ではありません
安全メモ:ドライヤーの熱風、ストーブの前、直射日光での乾燥は避けてください。革は熱で急に水分が抜けると縮んで硬くなり、ひび割れの原因になります。ソールを貼り合わせている接着剤も熱に弱く、はがれやすくなります。合成皮革も同様に、熱で表面の樹脂が変質します。
やることは地味で、風通しのいい日陰に、履き口を大きく開けて立てておくだけです。中に新聞紙を丸めて入れておくと水分を吸ってくれるので、はじめのうちは半日ごとに新しいものへ替えると早く抜けます。目安としては、雨の日に履いたあとなら2日から3日。シーズンの最後にしまう前は、余裕をみて1週間くらい置いてからのほうが安心だと思います。
革のブーツなら、乾いたあとに保革クリームを薄く塗っておくと、しまっている間の乾燥によるひび割れを防げます。ただし塗りすぎは逆効果で、表面に残った油分そのものがカビの栄養になります。布に取ってのばし、余分を乾いた布で拭き取るくらいの量で足ります。
置き場所別——下駄箱・クローゼット・押し入れ
同じようにしまっても、場所によって効いてくる条件が変わります。共通しているのは「床に直置きしない」「壁にぴったりつけない」の2つで、どちらも空気の通り道を作るためです。
下駄箱にしまう場合
下駄箱は扉で閉じられていて、家の中でもかなり空気がよどむ場所です。しかも一日履いた靴が並ぶので、湿気と皮脂が集まります。除湿剤は下の段に置くと働きやすくなります。湿った空気は重く、下にたまるからです。
高さの問題でロングブーツが入らないときに便利なのが突っ張り棒で、棚板を一枚抜いて縦に長い空間を作り、そこに渡した棒へブーツ用クリップで吊るす、という使い方ができます。あとは、天気のいい日に扉をしばらく開けておくだけでも、中の空気はずいぶん入れ替わります。
クローゼットにしまう場合
クローゼットの利点は、ハンガーの竿がそのまま吊るす場所になることです。吊るして保管すると、筒の全周に空気が当たるうえ、自重で倒れることもありません。型崩れと湿気を同時に解けるので、ロングブーツとは相性がいい方法だと思います。
気をつけたいのは、衣類と同じ空間になるという点です。ブーツから出た湿気は隣の服にも移りますし、逆にしまったコートに残った湿気がブーツに来ることもあります。冬物をまとめてしまう場所なので、衣類のほうも乾かしてから入れるのが結局は近道になります。コートについた毛やホコリを落としてからしまいたいときは、コートについた猫の毛が取れない理由のほうも参考になるかもしれません。マフラーやストールを同じ棚に詰め込むと通気が落ちるので、そもそも本当に要るものだけに絞る、という手もあります。ダウンジャケットにマフラーはいらないのかでは、そのあたりの判断のしかたを書いています。
押し入れにしまう場合
3つの中でいちばん湿気がこもるのが押し入れです。壁の内側と接していて、床にも近く、扉を開ける回数も少ないためです。ここに直接置くのはあまりおすすめできません。
使うのであれば、すのこを敷いて床から浮かせ、上段のほうを選ぶと条件が良くなります。プラスチックの収納ケースを使う場合は、密閉できるタイプほど中の湿気が逃げないので、フタを完全に閉め切らないか、乾燥剤を一緒に入れて定期的に交換する形になります。
安全メモ:乾燥剤や除湿剤は、小さなお子さんやペットのいるご家庭では置き場所に注意してください。シリカゲルの粒はお菓子の袋に入っているものと見た目が変わらず、口に入れてしまう事故が起きています。塩化カルシウムを使ったタンク型の除湿剤は、たまった液が皮膚や目に付くと刺激になります。手の届く高さの下駄箱ではなく、高い棚やケースの中にまとめるほうが安全です。万一口に入れてしまった場合は、自己判断で吐かせず、製品パッケージを持って医療機関か中毒110番に相談してください。
シーズン中、脱いだ日の置き方でだいぶ変わります
長期保管の話をしてきましたが、実のところ型崩れも湿気も、履いている期間のうちに仕込まれています。冬のあいだの置き方を少し変えるだけで、春にしまう時の状態がまるで違ってきます。
- 帰宅したら履き口を開けて、玄関の風が通るところへ——たたきの隅より、少し高い位置のほうが乾きます
- 同じブーツを毎日履かない——中の水分が抜けるには丸一日以上かかるので、2足を交互にするだけで湿気の量が半分になります
- 脱いだ直後に新聞紙を軽く入れておく——汗を吸い、同時に筒の支えにもなります
- 玄関に出しておく期間も、支えは入れたまま——出しっぱなしの数か月でも折れ癖はつきます
- 雨や雪の日のあとは、その日のうちに表面の水気を拭く——濡れたまま一晩置くと、シミと塩吹きが残りやすくなります
このうち効きめが大きいのは、2足を交互に履くことだと思います。乾かす時間を確保するという意味では、どんな乾燥剤より確実です。お気に入りの一足を毎日履きたくなる気持ちは本当によく分かるのですが、休ませたぶんだけ長くもってくれます。
もしカビが生えてしまっていたら
ここまでは「生やさないための話」でした。けれど、出してみたら白い粉のようなもの、あるいは緑や黒の点が浮いていた、ということもあると思います。その場合の扱いは、少し慎重にしていただきたいところです。
安全メモ:乾いた布やブラシで、その場でこすらないでください。カビの胞子はとても軽く、こすった勢いで空気中に舞い上がります。室内でやると部屋じゅうに広がり、吸い込めばアレルギー症状や呼吸器の不調につながることがあります。とくに小さなお子さんや、ぜんそくのある方がいるご家庭では避けたい作業です。
触れる必要がある場合は、屋外またはしっかり換気した場所で、マスクと使い捨ての手袋を着けて行うのが前提になります。拭き取ったあとの布やティッシュは、袋に入れて口を閉じてから捨ててください。
そのうえで、素材によって手が変わります。革・スエード・ムートンは、家庭での自己処理でシミや色抜けが起きやすい素材です。市販のアルコールを吹きかけると、カビは弱っても革の染料や油分まで一緒に抜けて、白っぽい輪ジミが残ることがあります。大切な一足であれば、革製品を扱えるクリーニング店や、靴の修理・クリーニングの専門店に相談するほうが結果的に安く済みます。ゴムやビニールのように水に強い素材なら、洗って完全に乾かすことで対処できる範囲が広がります。
そしてカビが残ったまま履き続けるのは避けてください。足は汗で湿りやすく、皮膚に触れ続けることになるので、かゆみや水虫のような皮膚トラブルの引き金になり得ます。もし肌に異常が出た場合は皮膚科で相談してもらえたらと思います。
もうひとつ忘れられがちなのが、しまっていた場所そのものです。ブーツだけきれいにして同じ下駄箱に戻すと、また同じことが起きます。棚を空にして拭き、しっかり乾かし、風を通してから戻すところまでが一区切りになります。
まとめ:支えと風、この2つでだいたい足ります
- ブーツがだめになる原因は「型崩れ・湿気・ホコリ」の3つ。グッズはそれぞれ担当が違うので、ひとつで全部は解けません
- 100円ショップで揃うのは、キーパー・ハンガー・不織布カバー・乾燥剤・突っ張り棒。筒を支える、湿気を引き受ける、ホコリを防ぐ、を組み合わせる形になります
- 代用するなら丸めた新聞紙か空のペットボトル。タオルは湿気を抱えるので長期保管には向きません。どれも詰めすぎると筒が広がります
- しまう前に、汚れを落として完全に乾かす。乾かすのは風であって熱ではありません。熱風は革の縮みと接着剥がれの原因になります
- 乾燥剤は子どもやペットの手の届かない場所へ。生えてしまったカビはその場でこすらず、換気とマスク・手袋を前提に。革やスエードは専門店に相談してください
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どのグッズがどの問題を担当しているかを、1枚の画像にまとめました。スマホに入れておくと、100円ショップの棚の前で迷わずに済むと思います。



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