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引き出しの奥から出てきたモバイルバッテリーが、なんだかぷっくりしている。ケースに入れていたはずなのに、いつのまにか蓋が閉まらなくなっている。手に取ると、平らだったはずの面がゆるく反っている。こうなると、多くの方がまず「これ、どうやって捨てるんだろう」と考えます。
ただ、捨て方を調べる前に、先にやめていただきたいことがあります。膨らんだモバイルバッテリーは、その時点で使用も充電も中止する。これが最初です。ふくらみは見た目の変形ではなく、中でガスが出ているという合図だからです。
そしてもうひとつ。ここが調べていていちばん行き止まりになりやすいところなのですが、家電量販店の店頭にあるリサイクルボックスは、膨らんだ電池を受け付けていません。持って行っても断られてしまう可能性が高い。じゃあどこへ持って行けばいいのか、というところまで、この記事でひととおり見ていきますね。
膨らんだと気づいたら、今すぐやめる三つ
順番として、捨て方より先にこちらです。ふくらんだ電池は、中身が変化している途中にあります。
ひとつめは充電です。ケーブルがつながっていたら抜いてください。膨らんでいる状態で電気を入れるのは、いちばん避けたい組み合わせです。
ふたつめは使うことそのもの。「まだスマホは充電できるから、使い切ってから捨てよう」と考えたくなりますが、放電も内部では反応です。使い切る必要はありません。残量が残ったままで大丈夫です。
三つめは置き場所。紙や布、カーテンのそばから離して、風通しのよい涼しいところに置いてください。特に車の中はやめてください。夏場の車内は温度がかなり上がりますし、熱は膨らみを進める側の条件です。
| 絶対にしないこと | 理由 |
|---|---|
| 針や画びょうで穴を開ける | 内部の短絡につながり、発火・破裂の危険があります |
| 分解する・ケースをこじ開ける | 同上。中の電極が傷つきます |
| 押して平らに戻そうとする | 圧力をかけること自体が危険です |
| 水につけて冷やす・鎮める | まだ発火していない電池を水に入れる必要はありません |
| 燃えるごみ・燃えないごみに出す | 収集車や処理施設の火災原因になっています |
| 車内やベランダに置いたままにする | 高温になり、膨らみが進みます |
ここは柔らかく書かないでおきます。膨張したリチウムイオン電池は、実際に火災の原因になっている製品です。上の六つは「なるべく避けたい」ではなく「しない」です。
なぜ膨らむのか、三十秒で
モバイルバッテリーの中には、リチウムイオン電池のセルが入っています。電気をためたり出したりする時、内部では電解液という液体の中をイオンが行き来しています。
この電解液は、使い続けたり、高温にさらされたり、年数が経ったりすると、少しずつ分解してガスになります。ガスは外へ逃げ場がありません。密閉された袋やケースの中でたまっていくので、外側から見ると「ふくらんでいる」という形で現れます。
つまり膨らみは、劣化の結果というより、内部でガスが発生し続けているという現在進行形のサインです。だから「まだ使えるから、しばらくこのまま」が向かない。ここが、他の家電の故障と少し性格が違うところです。
膨らむ前の段階、たとえば「急に熱くなる」「シューという音がする」といったサインについては、モバイルバッテリーの危険サインをまとめた記事のほうで切り分けを書いています。
一般ごみに出してはいけない理由は、ちゃんとあります
「小さいものだし、燃えないごみでいいのでは」と思いたくなるところですが、ここは本当にやめてください。
理由ははっきりしていて、ごみ収集車の中と、処理施設の破砕機の中で、実際に火災が起きているからです。収集車はごみを圧縮しながら走ります。破砕機はごみを砕きます。どちらも、電池にとっては「押しつぶされる」「穴が開く」に相当します。先ほどの表で「絶対にしないこと」に挙げた行為が、そのまま機械の中で起きるわけです。
しかも収集車の中は紙やプラスチックでいっぱいです。火がついたら燃え広がるものしかない。だから多くの自治体が、電池類だけは別のルートを用意しています。
これは懐中電灯のように電池が入ったまま捨てにくい製品に共通する話でもあります。懐中電灯の捨て方や、充電式の湯たんぽの捨て方でも、同じ壁にぶつかります。
持ち込み先は三つ。ただし膨らんだものは、そのままでは入りません
膨らんでいないモバイルバッテリーであれば、行き先は比較的はっきりしています。
| 持ち込み先 | 特徴 | 膨らんだものは |
|---|---|---|
| 家電量販店の店頭回収ボックス | 買い物のついでに出せる。店舗によって設置場所が違う | 受け付けていません |
| JBRC協力店・協力自治体の回収ボックス | 小型充電式電池のリサイクル団体の回収網。協力先はサイトで検索できる | 回収対象外です |
| 自治体の小型充電式電池の回収 | 市区町村ごとにルールが異なる。窓口持ち込み、戸別収集などさまざま | 自治体によって扱いが分かれます |
調べていて手が止まるのは、たいていここです。いちばん身近な回収ボックスが、膨らんだものだけは対象外になっている。理由は想像がつきます。ボックスに入れた後は誰も中身を見ないまま運ばれるので、危ない状態のものを混ぜられないわけです。
ですので、膨らんでいる場合は「ボックスを探す」から「人に相談する」へ切り替えるのが早道になります。
断られた、もしくは断られそうな時にどこへ聞くか
連絡先は、住んでいる市区町村の清掃事務所やごみ相談の窓口です。役所の代表番号にかけても、たいていつないでもらえます。
電話で伝えることは二つだけで足ります。
- モバイルバッテリー(リチウムイオン電池)であること
- 膨らんでいること。ここを必ず言ってください
膨らんでいると伝えるかどうかで、案内される方法が変わります。窓口へ直接持ち込んでくださいと言われる場合もあれば、戸別に取りに来てくれる自治体もあります。逆に「うちでは扱えないので、メーカーに問い合わせてください」という返事になることもあります。
メーカーの窓口が使えるのは、製品にリコールが出ている場合や、メーカーが独自の回収受付を持っている場合です。この場合は送料を負担してくれることが多く、専用の梱包材や伝票が送られてくることもあります。手元に型番が分かるものがあれば、電話の前に控えておくと話が早く進みます。
ゆきこ( ゚Д゚)『「膨らんでます」の一言を省くと、あとで持ち込み先で断られて往復することになります。最初に言ってしまいましょう』
出すまでの間の置き方と、絶縁の仕方
持ち込み日まで数日空くことは普通にあります。その間の置き方です。
- 金属のものと一緒にしない。鍵や小銭と同じ引き出しに入れない
- 紙箱や布の袋ではなく、燃えにくいものの上に置く。金属のトレーやタイルの上などが無難です
- 直射日光の当たる窓辺、暖房の近く、車内は避ける
- ふくらみが日ごとに大きくなる、熱を持つ、においがする場合は、持ち込みを待たずに窓口へ連絡してください
絶縁は、端子の部分にセロハンテープやビニールテープを貼って覆う作業です。USBの差し込み口が金属に触れて短絡するのを防ぐためのもので、多くの自治体が案内しています。ただし強く押しつけて貼らないでください。テープを貼るために本体を握りしめる必要はありません。上からそっと乗せるくらいで十分です。
それから、これはあまり書かれていないのですが、膨らんだ本体をポリ袋で二重にして密閉するのは、あまり良い手ではありません。ガスが出ている最中のものを密閉する形になるからです。持ち運びのために袋に入れるなら、口は縛らず軽くまとめる程度にしておいてください。
万一、発熱や発火が起きてしまったら
ここも柔らかくしません。
本体が熱くて触れない、白い煙が出ている、シューという音がする——この段階では、片付けようとせずにその場から離れて、家族を離してから119番してください。リチウムイオン電池の煙は吸い込んでよいものではありません。窓を開けられる状況なら開けて、部屋の扉を閉めて広がりを抑えます。
火が出た場合について、東京消防庁は火花や煙の勢いが収まってから、大量の水または消火器で消火するという順序を案内しています。勢いよく吹き出している最中に近づくのは危険だからです。そして、いったん火が消えたように見えても内部で反応が続いていて、時間をおいて再び燃えることがあります。消えたから片付けよう、ではなく、消防の指示を受けてください。
この段落を読んで「そこまでのことなの」と思われるかもしれません。ただ、膨らんだ電池を数か月引き出しに入れっぱなしにする、というのはよくある話で、そこが分かれ道になります。気づいた日に手を打てば、ほとんどの場合は静かに終わります。
買い替える前に、確かめておくと後悔が減ること
次の一台を選ぶ時、容量や値段より先に見ておくと違うのが、PSEマークの有無です。モバイルバッテリーは電気用品安全法の対象で、国内で販売されるものには丸いPSEマークの表示が必要とされています。本体の裏や側面の細かい印字に入っています。
それから、使い方の側で寿命に効くのが温度です。夏場の車内に置きっぱなしにしない、充電しながら布団の上に置かない。この二つを避けるだけで、膨らむまでの時間はずいぶん変わります。満充電のまま何か月も放置するのも、あまり良い保管ではありません。
容量やタイプの選び方で迷う場合は、モバイルバッテリーで後悔しやすいポイントをまとめた記事のほうが具体的です。「大容量にしたら重くて持ち歩かなくなった」のような、買ってから気づく類の話を集めています。
実際に選ぶ段になったら、楽天市場でPSE表示のあるモバイルバッテリーを見る/Amazonで見るのあたりから、表示と容量を見比べてみてください。安いものを何度も買い替えるより、表示のはっきりした一台を長く使うほうが、結果として手間が少なく済みます。
まとめ:気づいた日に、順番どおりに
- 膨らんだ時点で、充電も使用もやめてください。使い切ってから捨てる必要はありません
- 穴を開ける・分解する・押して戻す・水につける、はしないでください。どれも発火や破裂につながります
- 燃えるごみ・燃えないごみには絶対に出さないでください。収集車と処理施設の火災原因になっています
- 膨らみは劣化の跡ではなく、内部でガスが出ているサインです。放置すると進みます
- 店頭の回収ボックスとJBRCの回収は、膨張したものを受け付けていません。持って行っても入れられません
- 行き先は市区町村の清掃事務所へ電話。「膨らんでいます」と最初に伝えてください
- 出すまでは金属や燃えやすいものから離し、涼しい場所へ。車内には置かないでください
- 端子はテープで覆いますが、強く押しつけない。袋の口は密閉しないでおきます
- 発熱・異臭・音がある時は、離れて119番。火が出た場合は勢いが収まってから大量の水か消火器で消火し、再発火に備えて消防の指示を受けてください
- 次の一台はPSEマークの表示を確認し、車内放置と布団の上での充電を避けると長持ちします
保存版:この記事の早見表
やめること、してはいけないこと、どこへ電話するかを1枚にまとめました。膨らんだ本体を前にして手が止まった時に、この順番どおりに進めれば大丈夫です。



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