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モバイルバッテリーって、壊れる時にはっきり壊れてくれないところがあります。動かなくなれば諦めもつくのですが、たいていは「充電はできる。でも、なんだかいつもと違う」という中途半端なところで止まる。それでいて中身はリチウムイオン電池なので、放っておいていいのかどうか気になってしまう。
この記事では、よくある三つの「なんだかいつもと違う」を扱います。音がする・落とした・0%のまま何か月も置いてしまった。どれも検索されている症状ですが、危なさの度合いはずいぶん違います。
先に結論だけ言ってしまうと、判断の軸はひとつです。ふくらみ・発熱・においのどれかが出ているかどうか。この三つが出ていれば、他がどれだけ正常でも使用を終わりにしてください。逆にこの三つが無ければ、あわてる必要はありません。
音がする:シューとキーンは、まったく別のもの
「充電中にモバイルバッテリーから音がする」で調べると、危ないという話と、よくあることという話が両方出てきます。混乱するのは当然で、音の種類が二つあって、意味が正反対だからです。
ひとつめは、シューという空気が抜けるような音、プシュッという音。これは危険側の音です。内部でガスが発生して、逃げ場を探している時の音として説明されます。この音がしたら、充電をやめて、機器を外して、燃えるものから離してください。表面を触って熱くなっていないかも見ます。ふくらみが出ていれば、もう使用は終わりです。
ふたつめは、キーンとかジーという高い電子音。耳を近づけないと聞こえない程度のものが多いです。これは「コイル鳴き」と呼ばれることが多く、内部の電子部品が電流の変化で細かく振動して音になっている状態です。電気を変換する回路がある機器では珍しくありません。本体が熱くなっておらず、ふくらんでもいないなら、すぐに危険というものではありません。
ただしここは、あまり強く安心を保証したくないところでもあります。判断の軸は音そのものではなく、熱とふくらみが出ていないか。音がしていて、なおかつ充電中に持てないほど熱くなるようなら、そちらを理由に使用をやめてください。
落とした:割れていなくても、その日のうちに三つ確かめる
床に落とした、鞄ごと落とした、階段で転がした。外側が無事だと、そのまま使ってしまいがちです。ただリチウムイオン電池は、外装より中身のほうが衝撃に弱い部品です。
落とした日にやることは三つあります。
- 平らなテーブルに置いて、がたつくかどうかを見る。片側だけ浮く、ゆらゆら揺れる場合は、内部が変形している可能性があります
- 全面を指で触って、片側だけ厚くなっていないかを確かめる。膨らみは、正面から見るより、横から光にかざすと分かりやすいです
- 充電してみて、いつもより熱くならないかを見る。この時は目の届く場所で、燃えるものの上に置かないでください
そして翌日にもう一度触ってください。落下の影響は、その場ではなく一日二日おいて出てくることがあります。ここまでやって何もなければ、そのまま使って構いません。
| 落とした後の様子 | どうするか |
|---|---|
| 外装も形も変わらず、充電も普通 | そのまま使えます。念のため翌日も触って確認します |
| 置くとがたつく・片側が厚い | 使用をやめて処分に回してください |
| 充電中に持てないほど熱くなる | すぐ外して使用をやめてください |
| ケースにひびが入り、中が見える | 使用をやめてください。触る時も押さないように |
| 充電できるが、持ちが急に悪くなった | 危険ではありませんが、寿命として買い替えの時期です |
ふくらみが確認できた場合の捨て方は、行き先が少しややこしいので膨らんだモバイルバッテリーの処分方法のほうにまとめてあります。店頭の回収ボックスが使えないので、事前に読んでおくと二度手間になりません。
0%のまま放置した:起きているのは「過放電」です
引き出しから出てきたモバイルバッテリーが、うんともすんとも言わない。ボタンを押してもランプが点かない。これは過放電と呼ばれる状態です。
リチウムイオン電池は、使っていなくても少しずつ自然に放電しています。0%に近い状態で何か月も置くと、電圧が下がりすぎて、内部の保護回路が「これ以上は危ないので出力も入力も止めます」という判断をします。この停止は故障ではなく、安全のための仕組みです。
やることは、まず普通に充電してみることです。ケーブルをつないで、しばらく置いてみてください。数分から数十分してランプが点きはじめれば、その電池はまだ生きています。以後は残量を半分くらいにして保管すると、同じことになりにくくなります。
問題は、いくら待っても反応が無い場合です。ここで手を出したくなるのですが、強い電流を無理やり流して起こす、いわゆる復活のやり方は勧められません。保護回路が止めたものを回路の外から動かすことになるので、発熱や発火の側に近づきます。反応が無いものは、寿命として処分に回すのが結局いちばん安全で、早いです。
ゆきこ( ゚Д゚)『「復活したよ」という体験談はネットに転がっていますが、失敗した人はわざわざ書きません。分母が見えないやり方に、家の中の火事を賭けなくていいと思います』
使い続けてよい・やめるべきの線引き
ここまでの内容を、一枚にまとめておきます。左の列に一つでも当てはまったら、右の列がどうであっても使用終了という読み方をしてください。
| すぐ使用をやめる | あわてなくてよい |
|---|---|
| ふくらんでいる・置くとがたつく | 外形に変化がない |
| 充電中に持てないほど熱い | ほんのり温かい程度 |
| 甘いようなにおい・薬品のようなにおい | においがしない |
| シュー、プシュッという音 | キーンという小さな電子音だけ |
| ケースにひびがあり中が見える | 細かい擦り傷だけ |
| 液体がにじんでいる | 乾いている |
| —— | 持ちが悪くなっただけ(寿命。危険ではありません) |
「まだ使える気がする」という感覚と、この表が食い違うことがあります。その時は表のほうを採ってください。モバイルバッテリーは高価な機器ではありませんし、無理に延命して得られるものより、失うかもしれないもののほうが大きいです。
そもそも、こうなりにくい使い方
三つの症状はどれも、原因をたどると熱と時間に行き着きます。避けたいのはこのあたりです。
- 夏の車内に置きっぱなしにしない。ダッシュボードの上はとくに温度が上がります
- 充電しながら布団や座布団の上に置かない。熱がこもって逃げ場がなくなります
- 使わない期間は、残量を半分くらいにしてしまう。満充電でも空でもなく、真ん中が保管に向いています
- 三か月に一度は引き出しから出して、充電と放電をする。0%放置を防げます
- 鍵や小銭と同じポーチに入れない。端子が金属に触れるのは避けたい形です
それでも電池は消耗品なので、何年かすれば持ちは落ちます。買い替える時に何を見るかはモバイルバッテリーで後悔しやすい点をまとめた記事に書いていますが、最低限おさえるならPSEマークの表示です。次を探すなら楽天市場でPSE表示のあるモバイルバッテリーを見る/Amazonで見るあたりから、容量と重さのバランスを見比べてみてください。
まとめ:判断の軸はひとつでいい
- ふくらみ・発熱・においのどれかがあれば、他が正常でも使用と充電をやめてください
- シューという音は危険側。ガスが動いている音として説明されます。すぐ中止してください
- キーンという小さな電子音は部品の振動であることが多く、熱とふくらみが無ければ、すぐに危険なものではありません
- 落とした日はがたつき・厚み・充電中の熱の三点を確認し、翌日もう一度触ってください
- 落下後にがたつく、片側が厚い、熱い、ひびがある場合は使用をやめてください
- 0%放置で反応しないのは過放電で、保護回路が働いた結果です。故障ではありません
- 普通に充電して反応があれば使えます。反応が無いものを無理に起こすやり方は行わないでください
- 持ちが悪くなっただけなら、危険ではなく寿命です。あわてる必要はありません
- 予防は車内に置かない・布団の上で充電しない・保管は残量半分の三つ
- 迷ったら、使い続ける側ではなくやめる側に倒してください
保存版:この記事の早見表
音・落下・過放電の三つと、使用を続けてよいかの線引きを1枚にまとめました。手元のバッテリーを触りながら、上から順に当てはめてみてください。



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