梅干しの白いものはカビ?——塩・産膜酵母・白カビの見分け方と、色別の分かれ道

家事

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保存瓶のフタを開けたら、梅の表面に白いものが浮いている。せっかく漬けたのに、これカビ?——と、手が止まってしまう瞬間があります。市販の梅干しのパックを開けて、粒に白い粉が付いているのを見つけた時も、同じ不安がよぎりますよね。

ここで知っておくと気持ちがずいぶん楽になるのが、梅干しに出る「白いもの」は3種類あって、そのうち2つはカビではないということです。塩の結晶と、産膜酵母と、白カビ。この3つは見分けがつきますし、対処もそれぞれ違います。

この記事では、白いものの正体を分ける方法を先に片づけて、そのあと黒・青緑・ピンクといった色別の判断、ヘタのまわりだけ白い場合、漬けている最中にカビが出た時の対処までを順に見ていきます。最後に「迷ったらどうするか」の基準も置いておきます。

うめぼしの白いもの その正体は◎ しおの結晶(つぶで キラッと光る)指でこすると消える。においは しょっぱいだけ○ 産膜酵母(うすい膜が 水面に)シワっとした膜。無害とされるが 取りのぞく▲ 白カビ(まるく ふわふわ盛り上がる)綿毛のような形。かび臭い。取りのぞく対象× 黒・青みどりが出たら広がっているなら 瓶ごと処分してください※カビ毒は加熱しても なくなりません

白い付着物の正体は3つ——まず、どれかを決めます

白いものを見つけたら、次の3つのどれなのかを先に決めてしまうのが近道です。判断の材料は、形・指で触った感じ・匂い・出ている場所の4つになります。

1つめ:塩の結晶

市販の梅干しでも自家製でも、いちばんよくあるのがこれです。梅から出た梅酢の水分が飛んで、溶けきれなくなった塩が表面に出てきた状態を指します。粒が細かくキラキラと光り、指でこすると粉のように取れる、あるいは水にすっと溶けるのが特徴です。

とくに減塩ではない昔ながらの梅干しや、干したあとに乾き気味に保存していたものによく出ます。塩なので当然ながら害はありません。匂いも、梅と塩のいつもの匂いしかしないのが決め手になります。

2つめ:産膜酵母

梅酢の液面に、うすい白い膜が張ったように広がっているタイプ。これは産膜酵母(さんまくこうぼ)という酵母の一種で、塩分と酸のある環境でも生きられるため、梅干しやぬか床、漬物の表面によく出ます。

見た目は、水面にシワが寄った薄い膜。粉ではなく面で広がるので、そこが塩とは違います。産膜酵母そのものは一般に無害とされていますが、増えるとシンナーのような独特のにおいや、ぬめり、風味の劣化が出ます。だから「食べても平気」というより「取り除いたほうがおいしい」という位置づけです。

同じ産膜酵母は、ぬか床の表面にも同じ理由で出ます。あちらでも白カビと取り違えられやすいので、判断の感覚をつかむにはぬか床の白カビと産膜酵母の見分け方もあわせて読むと、白い膜への警戒心がほどよく落ち着きます。

3つめ:白カビ

問題はこれです。白カビは、梅の粒の上にまるく、綿毛のようにふわっと盛り上がって生えます。液面に平らに広がる産膜酵母と違って、立体的に育つのが最大の違いです。

匂いも違います。産膜酵母がツンとした発酵臭なのに対して、白カビは湿った押し入れのような、いわゆるかび臭さを出します。梅の香りに混じって「これは違うな」と感じる匂いなら、カビとして扱ってください。

3つを並べた見分け表

見るところ 塩の結晶 産膜酵母 白カビ
細かい粒・キラキラ光る 液面に張る薄い膜。面で広がる まるく盛り上がる。綿毛状
指で触ると ざらつく。こすると取れる 破れて崩れる ふわふわして、つぶれない芯がある
匂い 梅と塩のいつもの匂い ツンとした発酵臭・シンナー様 かび臭い・湿った土のような臭い
水に入れると 溶ける 溶けない。膜のまま漂う 溶けない。塊のまま浮く
扱い そのままで問題なし 取り除く。無害とされる 下の対処へ。範囲で判断する

いちばん簡単なテストは、白いものを少しすくって水に落としてみることです。すっと溶ければ塩、溶けずに残れば塩ではない——ここまでが誰でもその場でできる切り分けになります。

黒カビ・青緑のカビが出たら、範囲で判断してください

ここからは、やわらかい言い方をしません。

黒、青緑、緑、赤みがかった黒といった色のカビが出ている場合、その梅は食べないでください。白カビより明らかにリスクの高い側で、色付きのカビが育つ環境がすでにできているということでもあります。

判断の分かれ目は範囲です。

  • 1粒〜数粒に限られていて、梅酢が濁っておらず、においも異常がない場合——カビた梅とその周囲の梅、触れていた部分の梅酢を取り除いたうえで、下の「漬けている途中」の項目にある梅酢の手当てを行います。ただし、これは救済が保証される手順ではありません
  • 複数の梅にまたがっている、梅酢全体が濁っている、瓶を開けた瞬間に異臭がする、表面全体に膜と塊が広がっている場合——瓶ごと処分してください。中身を洗って選り分ける対応は取らないでください

そして、いちばん大事なところです。カビが作る「カビ毒(マイコトキシン)」は、加熱しても分解されません。煮ても焼いても電子レンジにかけても、毒性はそのまま残ります。「熱を通せば大丈夫」という考え方は、この点で成り立ちません。

また、カビは目に見える部分だけに存在しているわけではありません。菌糸は食品の内部へ伸びていて、とくに水分の多い梅干しでは、表面を削っても内部に残っている可能性があります。「カビの部分だけ取れば残りは食べられる」という民間の知恵は、梅干しでは推奨できません。取り除く対応が成り立つのは、あくまで「他の梅を助けるために、汚染された部分を除く」という意味合いにとどまります。

誤って食べてしまい、腹痛・嘔吐・下痢などの症状が出た場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。

ピンク色に見える時、何が起きているのか

梅干しがピンク色を帯びていると、これもカビかと不安になります。ここは正体が分かれるので、順に見ていきます。

1つめは、赤しその色です。しそ漬けの梅干しは当然ながら赤〜ピンク色になります。しそを入れた覚えがあるなら、まずここを疑ってください。しその色素(シソニン)は酸に反応して鮮やかに発色するので、梅酢の酸度によって濃さが変わります。

2つめは、産膜酵母が色づいたもの。産膜酵母のなかにはうっすらピンクがかって見えるものがあり、これは液面に膜として広がります。上の表の「産膜酵母」の判断がそのまま使えます。

3つめは、赤い色のカビです。粒の上にふわっと盛り上がってピンク〜サーモン色に見える場合は、カビを疑う側になります。膜として平らに広がっているのか、盛り上がって塊になっているのか——ここが分かれ目です。盛り上がっていて、かび臭さがあるなら、上の「黒カビ・青緑」と同じ扱いをしてください。

なお、しそを入れていないのに全体がうっすらピンクに染まっている、というだけなら、梅そのものに含まれる色素が酸で発色したケースもあります。この場合は形も匂いも変わらないので、判断は落ち着いてできます。

ヘタのまわりだけ白い時

梅のヘタ(なり口)のくぼみだけに白いものが集まっている、というのはよくあるパターンです。ここは構造的に理由があります。

ヘタのくぼみは梅酢がたまりやすく、乾きにくく、しかもヘタを取り除いた跡が果肉のむき出しになっている——つまり水分と栄養がそろった、いちばんカビが出やすい場所なんです。逆に言えば、塩の結晶も同じ理由でここに集まりやすい。

判断は、これまでと同じ手順で構いません。粒でキラキラして水に溶ければ塩、ふわっと盛り上がってかび臭ければカビです。ヘタ周りだけにカビが出ていて他の梅に広がっていないなら、その粒を取り除いて、周囲の梅の様子を見るという対応になります。

予防の面では、漬ける前にヘタをきれいに取り除き、水気を完全に拭いてから塩をまぶすことが効きます。ヘタが残っていると、そこに水分がたまってカビの起点になりやすいためです。

漬けている途中でカビが出た時の対処

いちばん切実なのが、仕込み中の瓶にカビを見つけた場面です。ここは手を打てば助かる可能性があるので、慌てずに順番にいきます。

  1. カビた梅とその周囲の梅を取り除く。もったいなくても、迷った粒は外してください
  2. 梅酢をこす。清潔なさらしやペーパーで、浮いているものを完全に取り除きます
  3. 梅酢を煮沸する。鍋に移して沸騰させ、アクを取ってから完全に冷まします。熱いまま梅に戻すと梅が煮えてしまいます
  4. 残った梅を、ホワイトリカー(35度以上の焼酎)で拭くか、さっとくぐらせる。アルコールがカビの再発を抑えます
  5. 瓶と重しを洗い、熱湯またはアルコールで消毒して、完全に乾かす。ここを省くと、瓶に残った菌からまた始まります
  6. 梅を戻し、冷ました梅酢を注いで、梅が液面から出ないようにする

ただし、この手当ては「まだ助かる範囲だった場合」にのみ意味があります。梅酢全体が濁っている、異臭がする、複数の梅に色付きのカビが広がっているなら、上に書いたとおり瓶ごと処分してください。手間をかけて助けたつもりが、口に入れて具合を悪くしたのでは元も子もありません。

そもそもカビが出た原因は、たいてい次のどれかです。塩分を下げすぎた、梅が梅酢から顔を出していた、瓶や手の消毒が不十分だった、梅の水気が残っていた、置き場所の温度が高かった。減塩で漬けたい気持ちは分かりますが、塩分18%前後の昔ながらの配合がカビに強いのは、単純に塩が水分活性を下げて微生物が生きにくくなるからです。次に漬ける時は、この5つを1つずつ潰しておくと結果が変わります。

ゆきこ( ゚Д゚)『梅が梅酢から顔を出してた…あれが原因だったのかも』

干す工程で失敗が起きるケースもあります。土用干しの日程や、雨に当たった時の戻し方は梅干しの土用干しのやり方にまとめてあるので、仕込みからやり直す場合の参考にしてください。

市販の梅干しにカビが出ることはある?

結論から言うと、めったにありません。市販品は塩分濃度と水分活性が管理されていて、多くは殺菌工程を経て密封されているためです。パックを開けて白いものが付いていた場合、まず疑うのは塩の結晶になります。

ただし、可能性がゼロというわけでもありません。とくに減塩タイプ・はちみつ漬けなどの調味梅干しは、塩分が低く糖分がある分だけ微生物にとって住みやすい環境です。これらは開封後の管理が甘いとカビが出ることがあります。

市販品でカビを疑う場面は、だいたい次の条件が重なった時です。

  • 開封後に常温で置いていた(減塩・調味タイプは要冷蔵のものが多いです)
  • 取り出す箸が濡れていた、直箸だった
  • フタが完全に閉まっていなかった
  • 賞味期限を大きく過ぎている

対処としては、開封後は冷蔵庫で保存し、乾いた清潔な箸で取り出すだけでかなり防げます。容器に水滴がついているようなら、それが原因になっているかもしれません。

ちなみに、白いものをカビと勘違いしやすい食品は他にもあります。干し柿の表面に吹く白い粉も、糖分が結晶化したもので、カビとは形も付き方も違います。判断の型は梅干しとよく似ているので、干し柿のカビの見分け方も参考になります。

迷ったら食べない——これがいちばん確かな基準です

ここまで見分け方を書いてきましたが、最後に置いておきたい基準はこれです。

迷ったら食べないでください。「たぶん塩だと思うんだけど」「においは平気そうだけど」という段階でとどまっているなら、それは判断がついていないということです。梅干しは長く置ける食品ですが、代わりのきかないものではありません。

とくに次の場面では、迷わず処分の側を選んでください。

  • 小さなお子さん、妊娠中の方、高齢の方、体調をくずしている方が食べる場合
  • 色付きのカビ(黒・青緑・緑・赤)が見えた場合
  • フタを開けた瞬間に異臭がした場合
  • 梅酢が濁っている、糸を引く、泡立っている場合

逆に安心していいのは、粒がキラキラして水に溶ける白いものが付いているだけのケース。あれは塩です。せっかく漬けた梅を、塩のせいで捨ててしまうことのほうが、実はよくある損失かもしれません。

なお、同じ「取り除いて続けられるのか」という悩みは、手作り味噌にも出てきます。味噌は塩分が高く扱いが少し違うので、仕込んでいる方は手作り味噌のカビの対処もどうぞ。お弁当箱の内側の黒ずみで悩んだ時は曲げわっぱの黒ずみとカビの見分け方が同じ考え方で使えます。

まとめ:形と匂いで分けて、色付きは処分に振る

  1. 白いものは3つ。粒でキラキラ・水に溶ける=塩、液面に薄い膜=産膜酵母、まるく盛り上がる=白カビです
  2. 産膜酵母は無害とされますが、取り除いたほうが風味が保てます。ぬか床に出るものと同じ仲間です
  3. 黒・青緑・緑のカビが出た梅は食べないでください。広範囲なら瓶ごと処分してください
  4. カビ毒は加熱で分解されません。削って食べる方法は推奨できません
  5. 漬けている途中なら、カビた梅の除去→梅酢の煮沸→焼酎で拭く→瓶の消毒の順に手を打てます
  6. 迷ったら食べない。体調に不安が出た場合は医療機関を受診してください

保存版:この記事の早見表

白いものの見分けと、色別の分かれ道を1枚にまとめました。保存瓶を開ける前にスマホで開いておくと、その場で判断できます。

梅干しの白いものの見分けカード:塩の結晶は粒でキラキラして水に溶ける、産膜酵母は液面に薄い膜が張り無害とされるが取り除く、白カビはまるく盛り上がりかび臭い、黒や青緑のカビが広がったら瓶ごと処分、カビ毒は加熱しても分解されないので迷ったら食べない

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