ファスナーが布を深く噛んで動かない——力任せに引くのが一番ダメ。戻す方向、隙間を浮かせるコツ、それでも無理な時の最終手段

生活

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急いでバッグを閉めたら、内側の裏地がスライダーにガッチリ噛まれて、上にも下にも動かない。子どもの上着で、あごの下の生地を巻き込んで脱げなくなった。ワンピースの背中で噛んで、腕が届かないまま固まる。ファスナーの噛み込みって、なぜか一番急いでいる時に起きるんですよね。

先に一番大事なこと。力任せに引かないでください。引けば引くほど布は奥に巻き込まれ、最後は生地が裂けるか、スライダーが壊れます。直すコツは「進んだ方向と逆に戻す」「布をスライダーと直角に引く」のふたつ。深く噛んで動かない時は、そこに「布を薄くする」「隙間を浮かせる」「滑らせる」を足していきます。順番にお話しします。

最初に:絶対にやってはいけないこと

  • 引き手をそのまま強く引く——噛んだ布はスライダーの中で折り畳まれています。引くほど厚くなって、さらに動かなくなる。裂けるのは大抵、薄い裏地
  • 上下にガチャガチャ動かす——歯がズレて、噛み込みが取れた後もファスナーが閉まらなくなります
  • いきなりハサミで切る——最終手段としてはアリですが、順番が先。半分以上は切らずに外れます
  • 着たまま無理に脱ぐ——子どもの上着であごの皮膚まで噛んでいる時は、まず布を外側に引いて皮膚を離してから。泣かせる前に落ち着いて

基本の外し方:「進んだ方向と逆」+「直角に引く」

  1. どっちに動かして噛んだかを思い出す。閉めている時に噛んだなら、戻すのは下方向。開けている時なら上方向。噛んだ時の逆にしか、基本は抜けません
  2. 噛んだ布を、スライダーと直角の方向に引く。ファスナーに沿って引くのではなく、ファスナーから離す方向に。片手で布を張りながら、もう片手で引き手を逆方向に、ほんの少しずつ
  3. ゆっくり、小刻みに。1ミリ戻って、布を引き直して、また1ミリ。一気に動かそうとしないのがコツ
  4. 布が抜けたら、スライダーを一度端まで戻して、歯の噛み合わせを確認してから閉め直す

浅い噛み込みなら、ここまでで9割は外れます。外れないなら、次の「深く噛んだ時の4段階」へ。

深く噛んで動かない時の4段階

  1. 布を薄くする。噛んだ生地を、噛まれた場所の左右から引っ張って、シワを伸ばして平らにする。折り畳まれて厚くなっている布を薄くすると、スライダーの中に隙間ができて動きます。この状態で、逆方向にそっと
  2. 隙間を浮かせる。マイナスドライバーの先、定規の角、爪、コインなど薄くて硬い物を、スライダーと布の間に差し込んで、スライダーをほんの少し持ち上げる。テコのように使って、布が抜ける隙間を作る。ドライバーで生地を突き破らないように、先端は布と平行
  3. 滑らせる。噛んだ場所と、スライダーの周りの歯に、ロウソク・鉛筆の芯(黒鉛)・シリコンスプレーのどれかを塗る。鉛筆は先を歯にこすりつけるだけ。シリコンスプレーは布に直接吹きかけず、綿棒に取ってスライダーの中に。滑りが良くなると、同じ力でも動きます。食用油・ハンドクリーム・リップはNG。布に染みてシミになり、埃を呼びます
  4. それでも無理なら、噛んだ布を少し切る。次の見出しで

2の「浮かせる」で、金属のファスナーは歯の先端が鋭くて指を切ります。歯の列を握らないこと。子どもに着せたまま作業する時は、首の皮膚にドライバーが当たらないように、上着と首の間に自分の手を入れてから。

引かない。逆に戻す、直角に引く。深いなら薄く・浮かせ・滑らせる基本(浅い噛み込み)噛んだ時と逆方向に戻す布はファスナーと直角に引く1ミリずつ小刻みに外れたら端まで戻して確認浅ければ9割ここで外れる深く噛んだ時の4段階① 布を左右に引いて平らに② ドライバー・定規で浮かせる③ ロウ・鉛筆・シリコンで滑らす④ 裏地なら数ミリ切る食用油・クリームはNG(染みる・埃を呼ぶ)やってはいけない力任せに引く→裂けるガチャガチャ動かす→歯が歪むいきなり切る→順番が先金属の歯で指を切る注意子どもは皮膚を先に離す噛んでいないのに動かない:糸の絡み(ピンセット)/歯の歪み(1つずつ戻す)/サビ(ロウ)/スライダー(交換)表地の真ん中を噛んで外れない時は修理店へ(数百円〜1,500円前後が目安)予防:裏地を指で押さえて閉める/当て布を縫う/引き手は真っすぐ/子どもは「上見て」

それでも無理なら:噛んだ布を少し切る判断

「切る」と聞くと最悪に思えますが、スライダーが壊れて丸ごと交換になるより、布を数ミリ切る方がずっと安いことが多いです。判断はこうします。

  • 噛んだのが裏地→切っていい。裏地は外から見えず、切り口はほつれ止めか手縫いで数分。バッグの内側やスカートの裏地はほぼこれ
  • 噛んだのが表地の端(縫い代側)→縫い目に近ければ、そこを切って縫い直せば目立たない
  • 噛んだのが表地の真ん中→切ると穴が残る。ここは修理店の判断を仰いだ方が安全。持ち込んで「噛み込みを外してほしい」と言えば、数百円〜1,500円前後で外してくれる店が多い

切る時は、スライダーに一番近い布の折り目を、小さなハサミの先で数ミリだけ。布の張りが抜けて、スライダーがスッと動くことがほとんどです。一気に大きく切らない。

噛んでいないのに動かない・開かない時の原因

布を噛んでいないのに動かない・開かない時は、別の原因です。同じ手順では直らないので、切り分けます。

  • 糸の絡み——ほつれた糸・髪の毛・ペットの毛がスライダーの中に巻き付いている。ピンセットで抜くだけで直る。一番多い
  • エレメント(歯)の歪み——ある1か所で毎回止まる。歯を1つずつ見て、曲がった歯があればペンチで少し戻す(金属)か、つまようじで起こす(樹脂)。欠けているなら交換。歯が欠けた時の判断は別の記事に書きました
  • サビ・固着——金属ファスナーで、長くしまっていた服やバッグ。全体が重い。ロウか鉛筆で滑らせて、何度も開け閉め。ひどいサビは交換
  • スライダーのゆるみ・割れ——動くのに閉まらない、後ろから開く。スライダー交換の記事
  • 上着のファスナーが下で噛まない——蝶棒と箱の問題。蝶棒の記事

また噛ませないために

  • 裏地を指で押さえて閉める。バッグの内側で噛むのは、ほぼ裏地がたるんでいる時。片手で裏地を下に押さえながら閉めると、噛みません
  • 当て布を縫う。同じ場所で何度も噛むバッグは、噛む側のテープの内側に細いリボンや共布を縫い付けると、生地が入り込まなくなる
  • 引き手を真っすぐ引く。斜めに引くとスライダーが傾いて、片側の布を拾う
  • シーズン初めにロウを塗る。滑りが良いと、そもそも力を入れない
  • 子どもの上着は、あごを上げて閉める。首元まで閉める時に「上見て」と一言。皮膚を噛む事故はほぼこれで防げます

ゆきこ( ゚Д゚)『次男の上着、あごの下の肌まで噛んで大泣き。私も焦って引いて、余計に食い込ませました。落ち着いて布を外側に引いて、鉛筆でスライダーをこすったら3分で外れて、「もっと早くやってよ」と言われました。焦る方が長引く、を体で覚えた日です』


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ファスナーの困りごとは症状別です。片方だけ外れた時は片方外れた時の3パターンの直し方、上着の下で噛み合わない時は蝶棒と箱の直し方、スライダーが割れた・引き手が取れた時はスライダーを自分で交換する手順へ。

まとめ:引かない、逆に戻す、直角に引く。深いなら薄くして浮かせて滑らせる

  1. 力任せに引かない。裂けるか、スライダーが壊れる
  2. 基本は噛んだ時と逆方向に戻す+布をファスナーと直角に引く。1ミリずつ小刻みに
  3. 深く噛んだら布を平らに薄くする→ドライバーや定規で隙間を浮かせる→ロウ・鉛筆・シリコンで滑らせる。食用油はNG
  4. それでも無理なら裏地なら数ミリ切る。表地の真ん中なら修理店(数百円〜1,500円前後)
  5. 噛んでいないのに動かないなら糸の絡み・歯の歪み・サビ・スライダーを疑う。予防は裏地を押さえて真っすぐ引く

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

ファスナーが布を噛んで動かない時の早見表:力任せに引かない。基本は噛んだ時と逆方向に戻しながら布をファスナーと直角に引く、1ミリずつ小刻みに。深く噛んだら布を左右に引いて平らに薄くし、マイナスドライバーや定規でスライダーの隙間を浮かせ、ロウソク・鉛筆の芯・シリコンスプレーで滑らせる、食用油はNG。それでも無理なら裏地なら数ミリ切る、表地の真ん中は修理店へ数百円〜1,500円前後。噛んでいないのに動かないなら糸の絡み・歯の歪み・サビ・スライダーのゆるみを疑う。予防は裏地を指で押さえて真っすぐ引く、子どもは上を向かせる

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