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筆箱から久しぶりに出したボールペンを握ったら、グリップがネチャッ。指に貼りつくし、消しゴムのカスまでくっついて黒ずんでいる。お気に入りのジェットストリームなのに、これはもう捨てるしかないの?と一瞬思いますよね。
先に結論。あのベタベタの正体は「加水分解」という、ゴムやシリコンの素材が湿気や皮脂でゆっくり壊れていく現象です。不良品でも、お手入れ不足でもなく、数年使えば誰のペンにも起きます。そして、軽いうちなら家にあるもので落とせますし、落ちなくても替えグリップやテープ巻きで復活できます。順番にお話しします。
正体は「加水分解」。不良でも汚れでもない
ボールペンの握る部分は、指がすべらないようにラバー(合成ゴム)やシリコン、エラストマーというやわらかい素材でできています。この素材は、空気中の湿気・手の皮脂・熱を長い時間かけて吸い続けると、分子のつながりが少しずつほどけて、表面がねっとり溶けたようになります。これが加水分解。スニーカーの靴底が崩れたり、ヘッドホンのイヤーパッドがボロボロになるのと同じ仕組みです。
- シリコンでもベタベタするのはなぜ?——シリコン自体は分解しにくいのですが、やわらかくするために混ぜてある「可塑剤」が表面ににじみ出て、そこに皮脂やホコリが混ざるとベタつきます。ゴムほど早くはないけれど、ゼロではありません
- ジェットストリームのグリップがベタベタするのはなぜ?——グリップがラバー系で、しかも書きやすさゆえに毎日握られて皮脂を吸いやすいから。人気のペンほど「ベタベタした」という声が多いのは、使われている本数が多いからで、特別に弱いわけではありません
- 時期の目安——買ってから2〜5年前後。筆箱の中で密閉されていた、夏の車の中に置いていた、といった条件があると早まります
落ちるかどうかは、分解の進み具合で決まります。
落とし方の順番:洗う→重曹→無水エタノール→粉
いきなり強いものから始めると、印字やロゴまで落ちてしまうことがあります。弱い順に、ひとつずつ試すのがコツです。
- 中性洗剤で洗う。食器用洗剤を1滴、ぬるま湯で泡立てて、グリップを指でくるくる。皮脂とホコリが混ざっただけの「軽いベタつき」はこれで落ちます。中の芯は抜いておくと安心。洗ったあとは水気をよく拭いて乾かします
- 重曹ペーストでこする。重曹に水を少し加えてペースト状にし、古い歯ブラシか指でこすります。重曹の細かい粒が、ベタベタの層をやさしく削ってくれます。5分ほど置いてから流すと落ちやすい
- 無水エタノールで拭く。ここまでで落ちない「溶けかけの層」には、コットンや布に無水エタノールを含ませて拭きます。換気をして、火気のそばでは使わないこと。手が荒れやすい人は手袋を。塗装や印字が落ちることがあるので、まず目立たない端で試してから全体へ。消毒用アルコールでも代用できますが、水分が多いぶん効きは弱め
- ベビーパウダーや片栗粉をまぶす(応急)。今すぐ使いたい時は、粉をまぶして余分を払うと表面がサラッとします。落としたわけではなく「覆っただけ」なので、あくまで一時しのぎ
重曹とアルコールまでやってもすぐにまたベタつくなら、分解が素材の奥まで進んでいます。ここから先は落とすのではなく、次の「交換」に切り替えるのが早いです。
取れないなら「交換」。替えグリップ・汎用グリップ・外して使う・テープ巻き
ペン本体は元気なのに、グリップだけがダメ。そんな時に捨てるのはもったいないので、選択肢を4つ。
- メーカーの替えグリップ。ジェットストリームの多色モデルやドクターグリップなど、人気のシリーズには交換用グリップが単品で売られているものがあります。文具店の補修部品コーナーや通販で「(ペンの名前)グリップ 交換」と探すと出てきます。数百円前後で新品の握り心地に戻るので、まずここを確認
- 汎用のペングリップ。太さが合えばどのペンにも付けられる、筒状のシリコングリップやスポンジグリップ。元のグリップを外して(または上から)はめるだけ。100均の文具コーナーにもあります
- グリップを外して使う。ラバーグリップは多くの場合、先端の口金を回して外すと引き抜けます。少し細くなりますが問題なく書けます
- マスキングテープやビニールテープを巻く裏ワザ。ベタベタの上から直接巻くとすぐ剥がれるので、先に無水エタノールで拭いて乾かしてから。ビニールテープは少し伸ばしながら巻くとしっかり留まる
グリップを外す時に固い場合は、無理にこじらず、お湯で少し温めるとゆるみます。ペンチでつかむと本体に傷が付くので、ゴム手袋をはめて手で回すのが安全です。
手やノートに移ったベタベタの落とし方
- 手——石けんで普通に洗えば落ちます。落ちにくければ、ハンドソープに砂糖を少し混ぜて(スクラブ代わり)こすってから流す
- ノートや本の表紙——消しゴムで軽くこすると、消しゴムのカスと一緒に取れます。ツルツルした表紙なら無水エタノールを少し含ませた布で。紙の部分はインクがにじむので避けて
- 筆箱の内側——布製なら中性洗剤で部分洗い。プラスチックやビニール製ならアルコールで拭く。放っておくと新しいペンにも移ります
もうベタベタさせない保管のコツ
加水分解を完全に止めることはできませんが、湿気・皮脂・熱の3つを減らせば、かなり遅らせられます。
- 筆箱の中で密閉しない。チャック付きの筆箱にぎゅうぎゅうに詰めると、湿気と皮脂が逃げません。ときどきフタを開けて風を通す
- 直射日光と車内を避ける。夏の車のダッシュボードは素材にとって拷問のような環境。熱で一気に進みます
- 手を拭いてから使う。ハンドクリームを塗った直後の手は、グリップにとって一番の敵。塗ったあとは少し置いてから
- 使わないペンは乾燥剤と一緒に。お菓子に入っている乾燥剤を袋に入れて、ペンと一緒に保管。予備で買ったストックはこの方法で
次に買うペンで「もうベタベタは嫌」という人は、グリップが樹脂や金属のモデル、または「グリップ交換可」のモデルを選ぶと、同じ悩みを繰り返しません。
ゆきこ( ゚Д゚)『長男の筆箱から出てきたジェットストリーム、消しカスまみれで固まってました。「もう捨てる」と言うのを止めて、洗って重曹で磨いて、最後は100均のシリコングリップに交換。ペンそのものは新品同様に書けるのに、3本まとめて捨てるところでした』
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まとめ:正体は加水分解、弱い順に落として、ダメなら交換
- ベタベタの正体は加水分解。数年で誰のペンにも起きる。不良でも扱いが悪かったわけでもない
- 落とす順番は中性洗剤→重曹ペースト→無水エタノール。粉をまぶすのは応急
- 無水エタノールは換気・火気厳禁、手荒れに注意、印字が落ちることがあるので端で試してから
- 落ちなければ替えグリップ・汎用グリップ・外して使う・テープ巻き。ペン本体は捨てなくていい
- 予防は密閉しない・日光と車内を避ける・手を拭く・乾燥剤と一緒に
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