鍋の吹きこぼれ防止——噴くのは「泡の膜」が壊れないから。すぐ効く6つの手と効く理由、麺類・味噌汁・煮豆・牛乳で違う対処、ガスとIHの差、噴いたあとの掃除

キッチン

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パスタをゆでながら洗濯物をたたんでいたら、台所から「しゅわしゅわ」と嫌な音。走っていったらコンロの上が白い泡だらけ、五徳のすき間にでんぷんの水が流れ込んで、拭いても拭いてもべたべた。夕方の忙しい時間に限って噴きますよね。味噌汁と牛乳で年に何度もやる、という家は多いと思います。

先に結論をひとつ。いちばん確実で、いちばん早いのは「火を弱めること」です。木べらも油も差し水もちゃんと効きますが、どれも火加減の代わりにはなりません。とはいえ「弱めると今度は沸かないんだけど」という声も分かるので、なぜ噴くのかという仕組みから、場面ごとの使い分けまで順番に見ていきましょう。

なぜ吹きこぼれる?——泡の膜が壊れずに積み上がる

お湯だけを沸かしても、実はあまり吹きこぼれません。水の泡は、水面まで上がってきたらすぐ弾けるからです。ところがでんぷんやたんぱく質が溶け込んだ湯だと話が変わります。溶けたものが泡のまわりに膜を作って、泡が弾けにくくなるんですね。

  • 弾けない泡が次々と生まれて、下から押し上げられる
  • 泡が泡を積み上げて、鍋のふちに向かってどんどん背が伸びる
  • ふたがあると泡の行き場がなくなり、いちばん近い出口(ふちやふたのすき間)へあふれる

だから吹きこぼれやすいのは、パスタ・そうめん・うどんのゆで汁、米、味噌汁、煮豆、牛乳。どれも膜を作る材料が入っています。逆に言えば、対策は「泡を減らす」「泡を壊す」「泡の行き場を作る」の3方向しかありません。この3つで整理すると、次の6つの手がすっきり分かれます。

すぐ効く6つの手——なぜ効くかも一言ずつ

  1. 火を弱める。泡そのものを減らす方法で、いちばん確実です。沸いたら中火以下に落とす。パスタも実は、ぼこぼこ煮立て続ける必要はなくて、静かにゆらぐくらいで十分ゆで上がります
  2. 木べらを鍋に渡す。上がってきた泡が乾いた木に触れると、そこで膜が壊れます。金属のおたまだと熱が伝わって手が触れられなくなるので、木か耐熱樹脂のものを。ただし木べらは万能ではなく、勢いよく噴いている時は乗り越えていきます。あくまで小さな保険です
  3. 油かバターをほんの少し落とす。油が膜の表面張力を壊すので、泡が持ち上がりにくくなります。入れるのは小さじ半分以下でじゅうぶん。たっぷり入れると熱い湯の中で跳ねますし、パスタなら麺にソースが絡まなくなります
  4. ふたをずらす。泡の行き場を作る方法。完全に外すより、半分ずらして蒸気の逃げ道を作るほうが、温度も保てて噴きにくいです
  5. 差し水をする。冷たい水をおたま1杯。一瞬で温度が下がって泡がしぼみます。ただしその場しのぎで、また沸けば同じことが起きます。手が離せない一瞬をしのぐ手だと思ってください
  6. 鍋を一回り大きくする。根本の対策です。中身が鍋の高さの半分から六分目までに収まっていれば、泡が積み上がる余裕があるので、そもそも届きません

順番としては、まず①、それでも噴きそうなら④、時間がない日は⑤でしのぐ。②と③は「ちょっと目を離したい」時の保険、⑥は次から噴かせないための引っ越し先、という感じで使い分けています。

やけどに気をつけて——噴いた瞬間がいちばん危ない

ここは強めに書かせてください。吹きこぼれた湯は100度近い熱湯で、泡と一緒にコンロの外まで飛びます。あわてて鍋に手を伸ばした時にかかるのが、いちばん多いパターンなんです。

  • 子どもを台所に近づけない。噴きそうな鍋があるときは、そばに立たせない。手前のコンロを使わず奥を使うだけでも、届く距離が変わります
  • ふたを取る時は、手前を上げて奥へ蒸気を逃がす。まっすぐ持ち上げると、たまった蒸気が顔と手首に直撃します
  • 鍋つかみを使う。噴いた湯で取っ手までぬれて熱くなっていることがあります。ぬれた布巾は蒸気を通すので、乾いたものを
  • 油を足すのは少量だけ。熱い湯に油をどぼどぼ入れると跳ねます
  • やけどをしたらまず流水で冷やす。しばらく冷やしても痛みが強い、水ぶくれができた、範囲が広い時は、迷わず受診してください
噴くのは泡の膜。まず火を弱めるのが最短すぐ効く6つ①火を弱める(最強)②木べらを鍋に渡す③油をごく少量落とす④ふたを半分ずらす⑤差し水(その場だけ)⑥鍋を一回り大きく中身で対処が違うパスタ:湯を多く中火味噌汁:煮立てない煮豆:アクをすくう牛乳:混ぜ続けるカレー:とろみで弱火→ 膜の正体が違うやけどに注意噴いた湯は熱い子どもを近づけないふたは手前を上げる鍋つかみは乾いた物油は少量だけ(跳ねる)→ 掃除は冷めてからガスは立ち消え安全装置がぬれると点かなくなることがある冷めてから乾いた布で拭き、しっかり乾かしてから点火するそれでも噴くなら鍋が小さい合図。中身は鍋の六分目まで、湯は多めに

道具で防ぐ——落としぶた・シリコンのふた・鍋の高さ

  • 吹きこぼれ防止の落としぶた。中央に穴が開いていたり、ふちに切り込みが入っていたりして、泡と蒸気を上に逃がしながら中身を押さえてくれます。煮物にもそのまま使えるので、1枚あると出番が多いです
  • シリコンのふた。柔らかくて鍋のふちに乗せておくタイプ。泡が押し上げるとふたが浮いて逃げ道ができる、という仕組みのものもあります。サイズが合うかだけ確認を
  • 深いパスタ鍋・寸胴鍋。高さがあるぶん泡の余裕ができます。麺類をよくゆでる家なら、これがいちばん効きます
  • クッキングシートを落としぶた代わりに。鍋の大きさに切って真ん中に穴を開ければ、落としぶたと同じ働きをします。煮物向き
  • 牛乳を温める時は電子レンジ。鍋を使わない、という発想の転換も立派な対策です。ただしレンジも吹きこぼれるので、深めの容器で、加熱の途中で一度混ぜてください

道具を足す前に、今使っている鍋の「中身の高さ」を一度見てほしいんです。鍋の半分より上まで入っているなら、道具よりも大きい鍋に替えるほうが効きます。

中身によって対処が変わります

  • パスタ・そうめん・うどん:湯を多めにして、沸いたら中火。麺を入れた直後がいちばん噴きます。入れたらすぐ火を落として、菜箸でほぐす。ゆで汁のでんぷんが濃いほど噴くので、少ない湯でたくさんゆでるのがそもそも噴きやすい条件です
  • 味噌汁:味噌を溶いたあとは煮立てない。火を止めてから溶くのが基本です。香りも飛ばないので一石二鳥
  • 煮豆・小豆:アクが泡の膜になります。ゆで始めのアクをこまめにすくって、落としぶたをして弱火でことこと。差し水(びっくり水)が昔から使われるのは、これが理由です
  • 牛乳・シチュー:ここだけ性質が違います。牛乳は表面にたんぱく質の膜が張って、その下で蒸気がふくらんで一気に押し上げる。だから混ぜ続けて膜を張らせないのが正解です。木べらを渡すより、そばで混ぜるほうが確実
  • カレー・シチュー(とろみが出たあと):とろみのある液は泡が壊れにくく、噴くというより「ぼこっ」と跳ねます。とろみが出たら弱火にして、ふたはずらす
  • 米を鍋で炊く時:沸くまでは中火、沸いたらすぐ弱火。ふきこぼれの多くは、沸騰に気づくのが遅れているだけです

ガスとIHで違うところ

同じ鍋でも、熱の入り方が違うので噴き方も変わります。

  • ガス:炎が鍋の側面まで回るので、ふち近くまで熱が入って泡が立ちやすい。鍋底からはみ出す炎は、火力の無駄でもあるので少し絞って大丈夫です
  • ガスの注意点五徳の中央にある立ち消え安全装置(センサー)が噴きこぼれでぬれると、点火しなくなったり途中で消えたりします。慌てて何度も点火ボタンを押さず、冷めてから乾いた布で拭いて、しっかり乾かしてから点けてください。それでも点かない時は無理をせず、メーカーやガス会社に相談を
  • IH:鍋底だけが集中して熱くなるので、底から一気に泡が立ちます。噴きこぼれた液がトッププレートに広がると、センサーが反応して勝手に加熱が止まることがあります。これは故障ではなく安全のための働きなので、拭いてから使い直せば大丈夫なことが多いです
  • IHの掃除:平らなぶん拭きやすいのですが、熱いうちに濡れ布巾を当てると急な温度差で危ないので、こちらも冷めてから

噴いたあとの掃除——冷めてから、が結局いちばん早い

  1. まず火を止めて、鍋をコンロから下ろす。この時、鍋つかみを忘れずに
  2. 冷めるまで待つ。熱いうちにこすると、やけどもしますし、乾いた汚れが余計に焼き付きます
  3. ぬるま湯で絞った布で、ふやかしながら拭く。5分ほど濡れた布を置いておくと、こするより先に浮いてきます
  4. それでも残るこびりつきは重曹。粉のまま振りかけて、少し水をかけてペースト状にし、10分置いてから拭き取ります
  5. 五徳は外して、重曹を溶かしたお湯につけ置き。焦げが厚い時は、鍋に入れて煮ると落ちやすくなります
  6. すき間に流れ込んだ分:割り箸の先に布を巻いて差し込むと届きます。ここを放っておくと、あとで焦げたにおいの原因になります

こびりついた焦げの落とし方は、鍋や機器ごとにコツが違います。ホットプレートの焦げの落とし方土鍋の焦げの落とし方も参考にしてみてください。

それでも噴くなら、鍋の大きさが合っていません

ここまで全部やっても毎回噴くなら、答えはたぶんシンプルです。その料理に対して鍋が小さい。とくに家族が増えて量が増えたのに、鍋だけ独身時代のままというのは、よくある話なんですよね。

  • 中身は鍋の高さの六分目まで。麺類なら半分まで
  • 麺をゆでる鍋は、直径より深さを見る。同じ直径でも深いほうが噴きません
  • ふたの形も見る。ふちが立ち上がっているふたは、泡が伝ってコンロに落ちにくいです
  • 取っ手が2つある両手鍋のほうが、噴いた時にすぐ下ろせて安全です

ゆきこ( ゚Д゚)『牛乳を入れてから電話に出た30秒でコンロが真っ白、という話は吹きこぼれの定番ですよね。木べらを渡しても、牛乳だけは容赦なく乗り越えてきます。うちなら、牛乳を入れたらその場を離れない、を一つ決めておくだけでだいぶ違うと思います』

毎日パスタや煮物を作る家なら、穴あきの落としぶたかシリコンのふたを1枚足しておくと、目を離せる時間が少し増えます。口コミを読んでいると「サイズが合わなかった」という声がいちばん多いので、自分ならまず手持ちの鍋の内径をはかってから選ぶと思います。


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噴いたあとのコンロや鍋の掃除つながりで、ホットプレートの焦げの落とし方中華鍋の焦げ付きと手入れもどうぞ。カレーやシチューを煮た鍋のにおいが取れない時は鍋についたカレーのにおいの取り方が役に立ちます。土鍋を噴かせてしまった人は土鍋の焦げの落とし方へ。

まとめ:火を弱めるが最短、道具はその次、鍋の大きさが最後の答え

  1. 噴くのは泡の膜が壊れずに積み上がるから。減らす・壊す・逃がすの3方向
  2. 火を弱めるのがいちばん確実。木べら・油・差し水は補助と割り切る
  3. 牛乳だけは混ぜ続ける。膜を張らせない。そばを離れないのが正解
  4. 熱湯はやけどの危険。子どもを近づけず、ふたは手前を上げて奥へ逃がす
  5. 掃除は冷めてから。ガスは立ち消え安全装置を乾かしてから点火する

保存版:この記事の早見表

手順を1枚にまとめました。

鍋の吹きこぼれ防止の早見表:噴くのはでんぷんやたんぱく質が泡の膜を作り、弾けない泡が積み上がるから。すぐ効く手は、火を弱めるのがいちばん確実、木べらを鍋に渡す、油かバターをごく少量落とす、ふたを半分ずらす、差し水はその場しのぎ、鍋を一回り大きくする。中身で対処が変わり、パスタは湯を多めにして中火、味噌汁は火を止めてから味噌を溶く、煮豆はアクをすくって落としぶた、牛乳は膜が張るので混ぜ続ける、とろみの出たカレーは弱火。熱湯の噴きこぼれはやけどの危険があるので子どもを近づけず、ふたは手前を上げて奥へ蒸気を逃がし、油は少量だけにする。掃除は必ず冷めてから、重曹でふやかして拭く。ガスは立ち消え安全装置がぬれると点かなくなるので乾かしてから点火する

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